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恋呼ぶ石

ひとつで二度美味しい。
そんな言葉大好き。
ひとつで二度も三度も美味しけりゃ、尚いい!
そんなピアスを作ってみたのです。
その名も「着せ替えピアス」

シンプルな赤いガーネットの一粒ピアス。
そこに太陽の石と呼ばれるペリドットやキラキラの水晶。
色々シーンに合わせて付け替え出来たら、なんて素敵♡

そんなお得感満載のピアスをモチーフにした胸キュンストーリーです。


【こんなシーンでつけて欲しい☆その1】

朝から良いお天気に恵まれた日曜日。
予定もないので、溜まりに溜まった洗濯をする。
さすがにシーツはランドリーに持っていくか。

パーカーに適当に巻いたお団子頭。
休みだし、すっぴんでいっか。
出かける前に鏡をのぞいて、ちょっと考えたあと、ガーネットのピアスをつけた。
休みだけど・・・ちょっとは「女」残してみるか。

ランドリーバスケットを抱えて車に乗り込む。

職場と自宅の往復で過ごしてきたここ数年。
友達もほとんど結婚して、飲み行く仲間も激減してしまった。
彼氏なんて単語、口にした記憶も遥か昔。
はぁぁ・・・このまま、私はどんどん干からびていくのだろうか。
ルームミラーに映る自分に向かってため息をつく。
せめてもの抵抗が、赤いピアス。

さすがに晴れた日のランドリーは人が少ない。
乾燥機に放り込んで、ぐるぐる回るシーツを眺める。
なんだか、これ見てるの癒されるなぁ・・・なぜだ?
そんなことをぼんやり考えていると、どこからか視線を感じる。
ふと横を見ると眼鏡をかけた見知らぬ男性がこちらを見ていた。

「!」
や、やばい・・・。このランドリーには他に人がいない。
変な人だったらどうしよう。

目を合わせないように携帯を見るふりをする。

「あの・・・」
「!!」
思わず叫びそうになるのをこらえる。

「すみません。その石ってアメジストですか?」
「へっ?!・・・」
予想外の質問に、間の抜けた声が出る。
「あぁ、ごめんなさい。僕、天然石が好きなんですけど、その石ってアメジストのわりに赤いなぁと思って・・」
彼は申し訳なさそうに、私の耳元を指さす。

「あ、あぁ、えっと、アメジストじゃなくてガーネットです。ロードライトガーネット。ちょっと赤紫っぽいですよね。」
そう答えると、彼は笑って
「そっか。ロードライトなんですね。すごくいい色ですよね。」
「あ、ありがとうございます・・・」

その後、乾燥が終わるまでのわずかな時間、天然石についての雑談を交わした。
びっくりした・・・。
けど、まぁ、悪い人ではなくて、良かった。
というか・・・。
感じ良すぎ。
うん。いや、待って。
そんな感じ良い人とランドリーでの出会いとかってある?
いやいやいや、ない。
そんなドラマみたいな話が、こんな平凡な日常に転がってるなんて。
ドッキリ?!
え?!一般人に?!
あははは、あるわけないない!
え?じゃ、なんだ?

脳内会議がせわしなく続く間も、彼は誕生石や珍しい石について語っている。
けっこうな石マニアなんだな。

そうこうしているうちにお互いの乾燥が終わり、ブザーが鳴る。
なんだか会話の終了合図のようだ。

すみませんと言い合ってお互い洗濯物を取り出しに行く。
「えっと・・・で、ではお先に~・・・・」と帰ろうとバスケットを抱えたとき
彼が洗濯物を抱えたまま振り向いて言った。
「あの!このあと、もしよかったらコーヒーでもいかがですか?」
へ?
「すぐ近くに美味しいチーズケーキの店があるんですが。」
へ??
一瞬のうちに脳内会議が始まって結論を出した。
「・・・行きます!」

そういうと彼はにっこりとほほ笑んだ。
まばゆい!!こ、これは!!
神様、私の一生ぶんの運をここで使ってしまって良いのでしょうか?!
いや!ここで使わねば、何のための運だ!

バクバクする心臓をなだめながら、力の限り穏やかな笑顔を浮かべた。
「一旦、洗濯物を置いてまた来ますね。ここから5分もかからないので。」
そう言ってランドリーから飛ぶような勢いで帰宅する。

こんなことって。こんなことってある?
いや、ない!もしかして、だまされてる?
うん、そうだ。きっとそうだ。
いやマテ。好青年だったぞ。
あの清潔そうな笑顔に悪者はいない。はず。

またもや脳内で繰り広げられる天使と悪魔の会議を聞きながら、
とりあえず着替えてメイクする。
「よし。」
鏡の前で、今つけているピアスにムーンストーンとペリドットのパーツを付け足す。
そう、このピアスは優れもので、好きな石を変えたり付け足したり出来る着せ替えピアスなのだ。
さっきよりもボリュームと輝きが増して、華やかになる。
鏡に映る自分を見つめながら、これからの展開に胸が高鳴る。
こんなことって・・・。
今日の星占い、私一位だっけ??
いやいや、のぼせたら痛い目あうよ、きっと。
でも、もしかしたら・・・。
現実?夢なんじゃない?

忙しい脳内の声を無視して待ち合わせたカフェに入ると、彼が手をあげる。
あ、やっぱり、ほら、現実。
「あ、今度は石が増えたんですね。」
彼はすぐにピアスに気が付いて目を輝かせる。
「えーっと、これはペリドットと、えーっと」
「!」
ふいに耳元に彼の手が伸びて、瞬間顔が熱くなる。
「あ、ごめんなさい!」
彼はバツが悪そうにパッと手をひっこめた。

「でも、こうやって石を楽しめるのって、いいですね。」
そう笑う彼の顔をまともに見れずに、照れ隠しで前髪を触る。
舞い上がるな。舞い上がるな。
自分に言い聞かせる。

そういえば・・・
ガーネットの石言葉は「誠実な愛」だった。
赤い情熱を秘めたガーネット。
ルビーのような燃え上がる情熱ではなく、真っ直ぐで純粋な愛。
そんな愛を引き寄せると言われて購入したんだっけ。

相変わらず、脳内の天使と悪魔の攻防は続いているけれど
もしかしたら、この出会いは、どっかの未来へと繋がっているのかもしれない。

そうだったら・・
いいな。

小さなガーネットが運んだ
予定のない日曜に突然舞い込んだ
彼との出会い・・・。



脳内会議、いや独り言多すぎ(笑)
ほぼ、私まんまですが(笑)
毎日このような脳内での一人漫才をやってるわけでして。
実際、独り言も多いので、まわりは不気味だろうなぁ。。。
(スマン、旦那)

ま、ちょっとした突然のイベントにも、この着せ替えピアスは対応できるよって話なんです。
変化のない日常に、ひとつ何かを加えるだけで印象ががらりと変わることもある。世界が変わることもある。
そんなアクセサリーを作っていきたいSiesta bloomでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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