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卓上遊技再現演義『楊範・鄭令蔓伝』とは③

前回に引き続いて、2001年8月に発行した「楊範伝映像的中原導覧」の記事を元に、「楊範・鄭令蔓伝」の小説中では詳しく語ることができなかった設定や、TRPGとしてプレーされた時の様子などを紹介したいと思います。

4:現王朝の関係者

「楊範・鄭令蔓伝」の舞台となる中原の現政権、劉衛の王朝とその関係者について紹介する。

皇帝劉衛

中原南部を支配する政権の皇帝。ただの貴族ではなく、彼自身が中原の大神の一柱である太陽神祝融を背負う英雄でもある。陽気で開放的な性格だが、狡猾さも持ち合わせる複雑な人物である。
劉衛の若いころの話はかなり脚色された話が伝わっている。祝融氏族の宗家に連なる彼だが、冒険者として中原を渡り歩いたらしい。叔父である劉珠(ヤンを助けた劉珠将軍である)は、放蕩を続ける劉衛に困り果てたという。しかし当時の王朝の混乱をその目で確かめた彼は、祝融氏族をまとめて旗揚げした。その際に帝国から資金などの援助を受けたことが、後々禍根となって劉衛政権を苦しめることになる。

皇帝劉衛(絵:竜門寺ユカラ)

中書令黄門

宦官の筆頭にして後宮を取り仕切り、かつ中書令という文官の要職を占める人物。前王朝を見限り、地方政権だったころから劉衛に仕えている。
中原世界の後宮は皇帝の妻の住居という意味とは別に、古代の魔法儀式を伝え、また皇帝の私的な諜報活動を行う側面を持っている。(後宮を取り仕切る一族はいくつかの流派があり、それそれが各地方政権や豪族と提携している。)男子禁制の後宮において、宦官である黄門が率いる寺人の一党だけは皇帝の身の回りの世話をするため、中で活動が許されている。閻楚という剣豪の寺人を側近にしている。
口が悪いうえに寝業師と言われるほどずるがしこい彼だが、皇帝劉衛にだけは心服しており、またヤン達にとっても心強い味方である。特にファンとリンクスにはとても親身になって協力してくれる。

中書令 黄門(絵:竜門寺ユカラ)

劉珠将軍

劉衛皇帝の叔父であり、老練な将軍。若き劉衛には相当手を焼いたらしい。しかし劉衛の旗上げ時には全財産を投じて彼を支援した。その後も劉衛の転戦に付き従い武勲を重ねる。宿将というにふさわしい手堅い用兵が売り。ただあまりに物堅い性格なので、黄門にはいつもいいように使われてしまう。(もっとも黄門は劉珠のことを密かに買っていると思われる。)
本編でも絶妙なタイミングでヤン達を救援、見事な用兵ぶりを見せるだけでなく、待つことの重要さをヤンに説くなど、宿将らしいところを見せていた。

衛将軍 劉珠(絵:竜門寺ユカラ)

5:北方諸侯

賓眉人

北方諸侯を裏で束ねる儒者の氏大老。年齢を感じさせない少年のような顔と強大な呪力を持つ。泰山の神々を操る力を持ち、そのパワーはテレマコスすらパンゲラッサの石なしでは太刀打ちできない。帝国、特に聖母教会との魔法的戦いにおいて、彼の率いる儒者は中心的な役割を果たしている。

賓眉人(絵:竜門寺ユカラ)

剔成君

北方諸侯、宋国の国君。若く野心にあふれている。昆梧剣という剣術の達人であり、中原では珍しい重装騎兵を育成している。ただ、裏で帝国ともつながっており、重装騎兵の技術そのものも帝国から得たものと思われる。
彼が帝国と裏で取引をしていることは、賓美人には見抜かれている。

6:その他の人物

会稽の関氏

関子邑率いる会稽の豪族。任侠に厚い人物で、一族だけでなく使用人や交友のある人物を良く保護している。大都市である会稽では一番の名士とみなされ、裏社会にも通じていることもあって太守よりも人望がある。逆に言えば彼ほどの豪族でなければ、ヤンのような危険人物をかくまうことはできなかったかもしれない。
ヤンの旗揚げに背中を押した一番の功労者だろう。

関子邑とテレマコスの歓談(絵:竜門寺ユカラ)

鬼谷庵

鬼谷子と呼ばれる謎の学者が開いた学園。鬼谷子は来歴こそ不明だが、中原南方では一番の大学者と言われている。彼の私塾は儒学、兵法、歴史学、仙道、農学などの幅広い学問を網羅しており、斉の稷下に匹敵するとすら言われている。ユウジンもこの私塾出身。

ヤンと鬼谷子、蘇秦(絵:竜門寺ユカラ)

次回予告

今回は舞台となる中原地方のその他の登場人物について説明した。
次回は本シリーズで固有の特殊な用語について解説する。



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