嫁は鬼であり、理解者

嫁ブロックというフレーズをどこかで耳にしたことがありますでしょうか。
大きな決断を果たす際、敵となるのは味方だと思っていた人間かもしれません。
4月より新天地にて仕事を始めるワタクシが1月から現在に至るまでの攻防戦と反省会を本日はお話ししたいと思います。


・嫁ブロックとは

端的に言えば「条件が悪くなる」「家族の時間が取れなくなる」等の理由より、今の会社へ残れ、内定辞退しろ。と配偶者様からありがたきお言葉を頂戴することです。
自分が発言をするときは相手の立場になって考えろ。とよく言われます。
ただ上記を踏まえ発言をしたところで、自分の理解と相手の理解を100%すり合わせることなど不可能に等しいことは言わずもがなでしょう。

・転職の理由

あんまり詳細に書くとよろしくないことも多いのでぼかしますが、専門的なことを追及していきたい。ということでした。
この話は会社と1月初旬から始め、退職交渉で1か月程度かかったかと。

前回卸売業であるということをお話しさせていただいたと思うのですが、私の属する業界の多くは「顧客毎の担当」でなく「商材毎の担当」であることが最大の特徴です。
要は「〇〇専門の◇◇商店」という個人商店が会社の看板を背負って、商売をしているようなものです。
私も担当商材を勿論持っております。自身の性格上生粋の凝り性なんです。
それをどんどん突き詰めて、博士といわれるレベルまでに自身を引っ張り上げ、自身の業界におけるポジションを確立したい。と感じていました。
それを踏まえ現在の会社でできることと、将来自分がこうありたい、というビジョンの乖離は年々大きくなってしまいました。
現在所属している会社は様々な挑戦をさせてくれる上に、上長は責任をしっかりとってくれる。素晴らしい会社であるとは思います。

ではなぜ転職をするのか。人員不足です。
会社規模で見ても、業界全体でも大きなウェイトを占める商材を担当させていただいていますが、一人なんです。切磋琢磨する同僚も、叱ってくれる先輩も、生意気な後輩も誰もいないんです。
勿論、同じチーム(部、課単位)で話はするものの、担当する商材は異なるわけで。話は聞いてくれても深堀していく話は難しい。
一人でやるのは気楽ですが、到達可能な限界点もそれなりです。
仲間がいれば?チームがあれば?普段時間を割いているルーティンに別な業務をできるかもしれない。などと思いはふつふつと大きくなったのです。

・失敗

同業他社(モロに競合)へ転職予定でした。
業績も遥か上。人員も年の近い先輩プレイヤーとガッツある若手。という自身の考えうる中でベストな選択であった会社です。
給与も前職キープに近い水準を約束してくれた。とここまではなにが失敗なのかわからない選択。
バレたんですよ。いまの会社の上層部に。
「おまえ〇〇行くんだろ」と挨拶もなしに社長から話しかけられたときは冷や汗が出ました。
狭い業界ですので、噂は早いんです。
当事者同士で内密に話を進めていても、どこからかボロは出るものなのです。
一つ面白かったのは、噂の転職先が数えられるだけで8社程度あったということ。噂が噂を呼び、全然関係ない会社まで名前が上がるほど。
その噂の何社かの方から「おまえ4月からうちに来るらしいけど本当?」なんて直接言われることもありました。

ここまで来てしまうと内定先に迷惑をかけてしまう。
そう考え内定を辞退させていただきました。
先述の通り、嫌いで辞めるわけではないので内定先と現会社の双方に迷惑をかけないためにはどうしたらいいのか。少ない頭を振り絞り結構考えました。

・転職の結論

結論から言えば業界の立ち位置を一つ上へ上げました。
同じ卸業界でも専門商社へ行くことにしました。
取引先としても現会社と内定先両方ありますし、いままで携わってきた顧客も多くいるということ。
そしてもっと言えば”新”内定先は現会社と非常に仲がいいということ。
会社のメンツを潰さない転職です。
そこまでは良かったんですが条件がねえ…

・”新”内定先の条件

年収100万ダウン。これが現実です。
労働環境はかなり良くなり、専門性も上がる。将来の収入の上り幅も現職と比較するとかなり良い。
しかし小さな子供を二人抱える父でございます。
妻も働いてはいますが(一応)大黒柱の収入が100万減ること。
これが嫁ブロック、家庭内大戦争の引き金を引くことになりました。

・なにを考えているのかまったくもって理解できない

妻に言われた言葉です。ぐうの音も出ない。
私の業界の構造や現状を詳細に説明したところで異業種で働いている妻は
理解してくれないでしょう。正確に言うと理解はしてくれるけど、私の発言のすべてを鵜呑みにできない。ということでしょう。
そりゃそうさ。
仮に「うちの会社が潰れそう」「やりたいことができるんだ」「転職先は安泰だよ」こんなことをこの状況で言ったところでその場しのぎのウソにしか聞こえないもん。仮に事実だとしても。
じゃあ、どうしたらいい。私の出した結論は沈黙でした。マジです。
妻からLINEが来ても返事はしない。日常でも最低限の会話のみ。
沸騰した頭と、私への愛が冷めるのをただ淡々と待つだけです。
そして子供たちが寝静まった中、機嫌のよさそうなタイミングを見て話しをしたのです。

・私からの条件

まずは自身の不手際の謝罪でした。当たり前だ、ありがとうとごめんなさいが言えない人間は私が大嫌いさ。無視してる段階でなりかけてたけど。
再度冷静になったところで状況を再度説明。
妻の考えるネックは給与。
私から提示した条件は下記の通り。

・小遣いなし
→もともと副業していたので無しだったのですが、今度の会社は完全に禁止とのこと。
・欲しいものを要望として挙げるので精査してお金を頂きたい。
・昼食は自炊。食材費用は家計より負担願いたい。

これは「給与の上り幅は現職より良い。」と説明したことの証明のために提示をしました。だから今はこれで凌いでほしいという意図です。
それ以前に100万減るのだからこれくらいの努力はしなきゃいけないなというけじめも兼ねていますが。

このおかげか意外にもすんなり承諾。

・反省会

今回の最大の失敗は「退職届を提出した後に状況が二転三転してしまったこと」です。これは完全に私のミス。
先を見たら悪くない条件だと今も思っていますが、当事者以外は不安を煽られるだけですよね。計画性ってすごく大事です。
ただ、今回のように強引に進めざるを得ないケースは自分を強くしてくれたと思っています。
考えに考え、計画通りにコトを運ぶことも大事ですが、アクシデントに対しどう前向きに取り組むか、現在置かれている状況を俯瞰的に見ることができるか。
家庭内だけでなく他社の方からの意見も多く頂き、自分自身も悩むことが多かった三か月でした。
最後に信じられるのは自分自身だなあ。と

最後に

こんな文章で嫁ブロックにあっている方は参考になるのでしょうか。
言いたいことはいっぱいありますが、やはり家族無しでは生活が成り立たないことも事実。金銭的には独身の方が楽でしょうが。
ただ、自分の人生ですから配偶者が何を言おうが結論を出すのは自分自身。
今じゃなくていいから「この人と結婚してよかった」と思ってもらえるようにいまはただただ行動に移すことしか私にはできません。

最後に一言言うのであれば転職は独身のうちにするべき。

本日もありがとうございました。

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