コンサルの勉強記録:製造業/製番管理方式
コンサルをしていると、多種多様な会社と関わることになるのですが、その前の知識のインプットが必要不可欠です。
製造業のお客さんと関わる際に必要となった知識の中で、製番管理方式(オーダーコントロールシステム)について備忘もかねてまとめてみました。
・製造業に初めて関わる方、これからコンサルで入る方
・製造、生産関連の資格取得(中小企業診断士やビジネスキャリア検定など)目指す方
そんな方に読んで頂けると嬉しいです。
生産管理方式とは
同一規格の大量生産や完全なフルオーダーなどの製品仕様や、その製品が年中大量に売れるのか季節性があるのかの需要、工場設備などを鑑みた上で決定するそのものの生産方法です。
トヨタのかんばん方式などが有名ですね。
いかに余分な在庫を持たず、欠品させず、作業効率をよくするか、ということがポイントとなってきます。
今回紹介する製番管理方式以外にも、常備品管理方式、追番管理方式やかんばん、MRPなど様々な生産管理方式があり、企業や製品によってこれらを組み合わせしたりしながらモノづくりが行われています。
製番管理方式(オーダーコントロールシステム)とは
対象となる品目
対象となる品目は、個別仕様の生産や小ロットの生産品が主となります。
個別受注生産、BTO(Build To Order)、フルオーダー、セミオーダーなど現場で呼ばれるような生産で使われることが多いです。
製番とは、製造番号のことで完成品に対して付与する管理番号です。
単に受注番号を付けたり、製品毎にシリアルコードを振っていたりします。
概要
製造計画を作成する際に、製品単位あるいは製品ロット単位に製番を付与して、部品の発注などを行います。
この部品にも製品と同じ製番が付与され、部品展開、購買指示、生産指示、進捗管理、原価管理はこの製番で行います。
中には一部部品、仕掛品は他の製品と共通使用するため製番を持たせない場合もあります。
基本的には受注に紐づいて生産指示を行うので、在庫は持ちませんが、納品スピードや安全在庫を踏まえる場合、共通使用の仕掛品がある場合などは在庫が発生します。この場合も、出荷までのタイミングで引当され、製番紐づきとなります。
メリットとデメリット
メリットは大きく3つです。
得意先からの要求に答えやすい
製番によって顧客や納期が分かるので、納期調整などに対応しやすいです。仕様変更に柔軟に対応できる
購買指示、生産指示が製番単位で行われるので、使用部品の変更などに柔軟に対応できます。個別原価管理が可能
使用部品や設計を製番単位で行うので製番別の原価管理や実際原価管理が可能になります。
一方でデメリットも大きく3つです。
キャンセルや余剰が発生した場合の柔軟性に欠ける
得意先からのキャンセル発生時や、部品・仕掛品の余剰が発生した時に、他の製番に付け替えることが難しいです。
分解して再利用などの方法、費用計上の検討が必要となります。管理コストがかさむ
発注、生産ロットが製番毎と小さくなるのでその分管理コストがかさみます。また、多くの製品に共通して使用する部品の発注にはあまり向きません。1部品の遅延が全体の遅延に繋がる
部品の発注も製番単位となるので、1部品納入が遅れるとそれが製品全体の完成スケジュールにも影響します。
まとめ、コンサルで入るときの注意点
製番管理方式は、製番単位でつくるため計画時の小回りが利く分、コストが発生したり計画からずれると影響が大きいです。
また、製品の特性上その会社のオリジナリティが強くでているものが大きく、他社との差別化のためにも個別要件やそれに基づく独自プロセスが多い印象です。
現行調査や改善提案時には、
大きいところでいくと差別化のためにコストをかけてでも譲れないポイントはなにか、
細かいところでいくとキャンセルなどイレギュラー発生時のオペレーションの合意等がポイントとなってきます。