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立つ青

今でも眠れなかったり死にたくなったりするけど、そこに生を感じてしまうから人間らしくいられていると思う。ぼんやりとした不安なんてものにははっきりとした理由があったりする。そこにスモォクを吹きかけて見えなくしているのだとしたら人間は、人間は、人間は、きっと誰だってそうに違いないのだ。少なくとも私はそう言い切れる。だけれどぼんやりとした不安や唐突な憂鬱は確かに実在する。彼奴等はいつだって影よりも近く背中越しに此方をジリと見てくる。舐め回すような粘度の高い視線、湿った空気を擦り付けてくる。影より近い陰は私にも、貴方にも、顔の無い街行く人々にもまとわりついている。上手に生きている人間なんてものは、やはり大嘘吐きで何かズルをしているのかもしれない。いつだって救い出してくれるような、私にとっての会いたい人に会えないのは、彼方の陰がちらついているせいなのかもしれない。そんなことは双方にとって関係のないことなのかもしれないけれど。夏の夜は短い。カーテンに遇らわれた星に朝日が差し込んで、暗い部屋に星が見えてくる。星が見えない夜がいいことだってある。朝が来なければいいと思うことだってある。頭の霧が晴れないうちはそんな思いを抱えたまま呼吸をしていかなければならない。あれやこれが落ち着いたら、いつかまた愛が救い出してくれるといい。愛が聴こえることを信じている。信じていいか。

地球の未来のためにできることなんて、愛しかないだろうよ。

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