2月10日 フェイク
昨日はふて寝した。
朝もなかなか起きたくなかった。
今日は雪の予報だったので在宅勤務するようにとお達しが出ていて久しぶりの在宅勤務。窓の外を見るとうっすら積もっていた。
仕事、昨日の問題をまとめて報告する。なんとか丸くおさまる。はぁ〜〜、これで週末を暗くない気持ちで過ごせる〜〜。
やった方が良い作業が少し残っていたけど、もう疲れたと思って19時にパソコンを閉じる。
一旦ベッドに横になりスマホをダラダラ見て、頭をリセットする。画面をオフにして、真っ暗になった画面に写る自分の顔は疲れていた。
雪が積もってるが、近所のワインバーへ向かう。歩道には思ったより雪が残っていて、足を真上に上げるようにして歩く。それでも3回くらいすべった。これ、酔った帰りこけそうだな、フラグか?とか考えながら歩いた。
1杯目は、樽の強いシャルドネ。寒い冬はこういうコクがあるやつだよね〜。
キッシュを注文したら、品切れということで、「食べ物はもう少し考えます…」と言ったつもりが、「タコのカルパッチョですね」と注文が通ってしまった。しかし断れないおれ。
けど、2杯目に頼んだアルバリーニョがミネラル感満載、若干の塩味もあって、タコとばっちり合う。オリーブオイル、トマト、セルフィーユ、タコの食感、じんわりとタコの味が順番に立ち上がる。追いかけるようにワインを飲む。ナイスチョイス、ナイスリカバリー。
3杯目、ネロターヴォラとカベルネ。これは本当にブドウから出来ているんだろうかと思うくらいの、カカオのような風味と、なめらかな飲み心地。
4杯目、他の席の人が頼んだボトルをお裾分けしてもらったソーヴィニョンブラン。ミネラルとトロピカルっぽいフルーツ感。美味しいけど、結構飲み疲れしてしまい。かなりちびちびと飲む。
隣の席の人が元バンドマンで、俺の青春というようなバンドと一緒にライブしてた人だった。その人は今は裏方で、仲間のバンドが売れてることや、自分も音楽を盛り上げたいということを嬉しそうに話していた。おれも嬉しくなって、その人が挙げたバンド1つ1つにどんな思い出があるのかを喋りに喋った。
とても楽しく嬉しかった。一方で、おれから出た言葉は「そのバンドめちゃくちゃ聴いて"ました"」と過去形だった。熱量を持って喋る自分と、この過去形がどう伝わっているだろうかと思う自分の両方がいた。
隣の隣の席のお客さんがニガテな人だった。どの会話にも、権威的存在が出てきていた。会社名、肩書き、誰それと仕事をした、出張が多い…。その人の話からは核の部分が見えてこなくて、そこで出てくる権威的存在は空虚だなと思った。帰り、名刺を置いていってた。そうだろうなぁと思った。
フェイクはバレる。じゃあ、俺の過去形はどう伝わっていただろうか。
気づいたら、1時半になってた。長居してすみませんと言って店を出る。そんなことないですよと言って欲しい気持ちがある。
雪は結構溶けていて、無事に帰れた。フラグは回収しなくて済んだ。