随筆 金髪はお好き?

マリリン・モンローと並ぶセックス・シンボルと言われ、26歳の若さでこの世を去った女優、ジーン・ハーロウの映画が観たい。
いくつか(民衆の敵とか)はAmazon プライムビデオにあるのだが「プラチナ・ブロンド」などは扱いがない。
彼女らのスター性はしばしば「頭が悪い金髪女」のイメージの元になったとされる。
ハワード・ホークスの「紳士は金髪がお好き」に登場するマリリン・モンロー演じるローレライ・リーは確かに感情的に、わがままに振る舞いおバカな金髪女の像に相違ないだろうが、黒髪でローレライの親友であるドロシー・ショー(演:ジェーン・ラッセル)はそうではないというのだろうか?
確かにドロシーは、ローレライのために知恵を巡らせて矢面に立つ姿が出るが、彼女も金が無くたって面が良ければ靡いてしまうような惚れっぽさがある。
コメディ映画でこんなことを言うのはお門違いなのだが、彼女たちは二人とも方向性が違うバカなのだ。
最終的に彼女たちとダブル結婚する金持ちのガスと私立探偵マローンも同様ではあるのだが。
大衆娯楽とは、ミームとして拡散しやすい物である。今のネット社会は特に簡単に認識が広まっていく物である。しかしながら原典に戻ってみれば、そんなに言うことかと思うようなことも多々ある。話にヒレがついてしまうものだから、当然だ。
マリリン・モンローの紳士は金髪がお好きは、モンローが主演となった初期の作品でもあるのでその時から、おバカな金髪女という図が出来ていたのかもしれないのだが、そのようなイメージを作り出し、同時にセックス・シンボルとしても話題に上がるようになった両女優が二人とも20代30代でこの世を去ってしまったという事実は、このイメージの先行がいかに鋭い刃なのかということを考えたくなる。
こういったことを込々、かつ寺山修司の「ポケットに名言を」に出てくる「ある人がききました。何もかけずに寝るのか? と(一寸ながし目で私をみつめて)目覚しをかけて寝るわ」というこのセリフがとても良い掛け合いであると思ったので、ぜひこのシーンをお目にかかりたい。

いいなと思ったら応援しよう!