煌めき揺れるバルーンのもとで
「2022佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」4日目。11月5日土曜の夜は、夜間係留「ラモンゴルフィエノクチューン」(初日)。
この日の午後の競技飛行は風が強く、サーマルも活発となり中止となったが、夜に近づくにつれ、地上風は時折強く吹きつつも穏やかな風が河川敷を吹き抜けていく。
きっと、夜間係留はフルバージョンで開催できる!!と思っていた。
18時30分。ローンチエリア北側、バルーン広場の端にあるプレスルームからローンチエリアに顔を向けると、ティアドロップのカタチをした色鮮やかなバルーンが観客やクルー、河川敷を煌々と光っている。
プレスルームから広報チームみんなでコンテナの入り口に立ち、視線を向けた。なんだか、とっても暖かい気持ちになれたと同時に、明日で最終日をむかえてしまうと思うと切なさを感じた。
たくさんのバルーンが「バーナーズオン!!」の掛け声と共に真っ赤な炎がバーナーからあがり、球皮に灯りが灯る。
風に揺られて、夜空を彩るバルーンたちもゆらゆら。隣のバルーンに寄り添ったり、離れたり。
プレスルームから見え、風上側にあるサロンパスの2機と兵庫県加西市からきた1機は横揺れが続く。
揺られる気球を見た私は、「ちょっと行ってきます!」と、プレスルームを後にし、バルーンに駆け寄る。
クルーに話しかけ、バスケットを支える。
全体重をかけても、思うようにバルーンをコントロールするのが難しい。
「もうすぐ花火があがる、それまで頑張ろう!」と心を一つにしていたが、ついに横への動きが強くなってきたと思った瞬間。
「リップアウトッ!!」という声とともに、バルーンの天頂部のリップパネルを開けて、バルーンの中の熱い空気を放っていく。
その瞬間、花火が上がった。
バルーンは風を受けながらも斜めになる。
蓄えた空気を逃すその最中、僕の心は満たされ始めていた。
限られた少人数のクルーでこうして夜間係留に参加して、観客や関係者を魅了する時間を作ってくれたチームに感謝の気持ちでいっぱいだった。
夜空をゆらゆらと揺れるバルーン。
その根っこのバスケットでは、パイロットとクルーが力を合わせて頑張っている。もちろん、安全を最優先に。
あなたに届けたい瞬間がある。
そんなドラマをこれからも届けたい。
(文 / 寒風澤 啓太,写真 / 小野 有美子、古賀 正保、押切 洋子、大橋仁美、今村仁、TOMY)