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vs大分トリニータ プレビュー編

ついに開幕を迎えるJリーグ。東京五輪等の影響でいつもよりも過密日程な今季、セレッソは開幕戦で前年度昇格組ながら大躍進を果たした知将片野坂率いる大分トリニータを長居で迎え撃つ。前年度の最終節では「自分たちの形を出せた」と選手が言っていたように完勝だったが、片野坂軍師は試合後に「完敗だったが、学ぶことが多かった試合。これを経験値にしたい」とコメントしていた通り、必ず足りない部分を埋めてくるはずだ
そこでまずは大分の補強を振り返る。藤本(シーズン途中)、後藤、オナイウ等の主軸攻撃陣がチームを離れた一方、知念、渡、町田、野村といぶし銀な実力者達をしっかりと補強。五輪代表候補の岩田なども残っており、戦力は下振れることなく既存戦術の上積みを図って来そうだ。最近の記事などから類推される大分の予想スタメンは以下の通り

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まず大分の攻撃スタイルを2段階に分けてみよう。1段階目は後ろでボールを保持して相手の出方をコントロールする(おびき寄せて守備の後方にスペースを作らせる)こと、2段階目は相手の網を掻い潜ってフィニッシュまで素早くたどり着くこと。昨今の戦術用語を用いれば前半は空間を支配する「ポジショナルプレー」、後半は時間を支配する「ストーミング」の発想に近く、大分は片野坂流のハイブリッド型と言えるだろう。特に2段回目では岩田、三竿の両CBが持ち前のアグレッシブな攻撃参加で厚みを増す点が特徴。加えて左サイドの田中はカットインからのシュートもあり、左サイドはボール保持時に選択肢を多く持っている

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一方、失った時点から始まる守備はこの攻撃方針に基づいて構築されている。大分は相手陣地にスペースを作らせたい。そうなるとまずは下がって5バック気味にブロックを作り、しっかりと自陣までおびき寄せて奪い返す。この時、相手の距離を広くさせてスペースを作り出すことが重要になる。記事によれば、このスタイルはG大阪のコーチ時代に長谷川健太(現FC東京監督)のもとでリトリートする戦術を高めたことも起因しているとのこと。実際に2019年の大分は「ボール奪取回数」や「ボールロストからボールを10秒以内に奪回した回数」がJ1の中で低位だった。
2019シーズン序盤には大分をあまり分析できずに挑んだチームが悉く片野坂軍に滅殺されていたが、多大なるリスペクトを受ける2020シーズンはそうもいかなくなるだろう

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気がかりなのはルヴァンカップでのGK高木がファンブルしたこと。人間は短期間において同じミスをしないよう徹底的に注意する生き物だ。しかも天気予報はルヴァンカップと同じく雨。おかげさまでセレッソ戦はいつもより注意深く試合に入るはずであり、丁寧で厄介なセービングになるだろう。どれだけ良いシュートを放ってもゴールに決まらない時もある。そんな時には天王寺で串カツをバカ食いして帰ることにする

【大分対策】「前に出て行ってしっかり取りきる」と「後ろで構えてスペースを消す」のハイブリッドになるのでは?
大分だろうと他のチームだろうとロティーナの守備はまず中央を消す。中央の選手は釣り出されないことが大原則となっている。最初は引きすぎてミスして点を取られたりもしたが、しっかり機能すると中央を固めることがいかに素晴らしいかわかった。そりゃJR東日本も中央線は混雑するわけだ。しかしそんなロティーナの守備戦術に対して、大分はDFの後ろを突きたいはず。なので、東京V時代を含めてロティーナの「真ん中を固めて出ていかない守備」には手を焼いている印象だ。ただ(チーム戦術は違えど)セレッソも昨年のアウェイ川崎戦では知念の前へ推進力にやられたりしており、今季もヨニッチを中心にしぶとく守り切ることが大事になる。
また、PSMレビューでも触れたが、昨季途中から取り組み始めた前へ押し込んで取り切る守備も場合に応じては良い選択肢になり得る。この時、相手を引き出したい大分、ボール回しに長けてる大分から前線でボールを取り切れれば、相当な自信に繋がるはずだ。この時のキーマンは前への推進力が強い右サイド(奥埜、坂元、松田)になる。この点で西川よりも坂元の方が序列が高くなってるのかもしれない。京都戦で見せていた前からのハイプレスを効果的に使えるようになれば、ロティーナセレッソの守備スタイルの幅が広がりより強固になる。さらには、ルヴァンカップで奥埜と代わって出場した豊川も前へのアグレッシブな守備意識がある選手だった。特徴が違うので同じ役割とはならないが、交代しても同じ意識で戦えるのは強みだろう。京都と大分のフォーメーションは同じ3-4-2-1なのでPSMの図を掲載する。

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ルヴァンカップではまだ知念がハマりきってない様子。以下サッカーダイジェストより知念のコメントを転記する。《しかし、大分特有のビルドアップにはまだフィットしきれていない印象で、大きな違いは「川崎は中から、大分はサイドから」だと知念は説明する。さらに「初めての大分での公式戦だったので、練習試合とはまた違う内容でした。ボールを触る機会が少なかったですし、もう少しボールに絡みつつゴール前に入りたかったです。攻めの形が一辺倒だったかな」と反省を口にした》片野坂大分であれば、この1週間で課題を解決してくるだろう。

しかしセレッソはどんな相手であっても開幕から勝って流れに乗りたい。攻撃ではPSMやルヴァンカップで示していた通り坂元、柿谷の両サイドからのドリブル⇒SBが押し上げる⇒SHや逆サイドのSBがペナルティエリアに侵入することで中の厚みを増すというスタイルを多用するだろう。その中でも坂元への期待値は益々高まっている。一人で縦への突破もカットインも可能。松田とのコンビネーションも可能。また、坂元がCKのほうへ走って中央のスペースをあければ、PSMやルヴァンカップで得点したB・メンデスや奥埜、清武、万全の状態の柿谷、鋭い推進力のあった豊川らがいる。昨年に比べて攻撃パターンが多様化かつ強力になっている印象のある2試合を見ている。懸念はいずれ坂元が個の力で通用しないDFとぶつかるタイミング。ただそれまではノッている状況に違いないので、声援・歓声で後押ししたい。

さて、昨季は大分が持つ年間史上最少失点24に1つ届かなかったが、そのリベンジを果たすべく、まずは大記録を持つ大分を封殺したい。さぁ2020の幕開けだ!

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