2021年に起こったこと
恋をした
久方ぶりに恋をした。
一体いつぶりだっただろうか。
逢いたくて逢いたくて、抱きしめてほしくて、ぬくもりが欲しくて、
彼の何もかもを欲しくなった。
ただ、何も考えず温もりを分け合って、愛の言葉を囁いて、
彼の胸の鼓動を聴いていた。
永遠に続かないことは、最初から分かっていたけれど、
一秒でも長く、彼が私のことを考えてくれればいいのにと願っていた。
手をつないで歩いた街の灯りは今も覚えている。
幸せだったと、断言できるほどの、確かにあれは恋だった。
恋に恋する高校生のような、そんな素敵な恋をした。
離婚をした
14年の歳月を共に過ごした、もはや戦友のような、
とてもとても優しい旦那だった。
一緒の墓に入ることも厭わない、覚悟を持った結婚だった。
きっとずっと一緒にいるのだろうと、一緒に年を取っていくのだろうと、
若い時はこんな苦労をしたね、でも今はのんびり幸せだね、そんな風に二人で笑って過ごすことになるだろうと、ずっとそう思ってた。
離れる提案をしたのは私ではないけれど、どこかでそう望んでいたのは、
私だったのかもしれない。
二つの宝物をあなたに預けたのは、きっと私が子供であなたが大人だから、
あなたでしか与えられないものの方が多かったから。
私では与えられないものがたくさんあったから。
どこにいても愛は伝わると信じている。
愛してる。
あなたから愛されていると、信じて疑わなかった。
いったいいつから、あなたからの愛を失っていたのだろう。
砂の城がさらさらと風に溶けていくように
愛情を信じていた、あの時の写真を見ることができなくなった。
幸せそうな自分と私たちを見ることができなくなった。
幸せを置いてきたと思いたくない。
今が幸せだと、言い聞かせないと今を生きていけない。
柴崎紫