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ヨシムネ物語 ~中編~

続きです。

前編はこちらから

とそんなA君と初打ちに行ったのは地元の駅前にあるホール。

歴代の悪い先輩達がたまり場にしている悪い意味で有名なホールだ。

しかしこちらの方がまだ安全。A君が行っていたホールはパンチ率が100%を超えている。

え?店員100%の客25%で125%だ。

駅前ホールには朝8時は到着した。9時開店。1時間前で先客0人。

A君はシャッターの隙間から中を確認してヨシムネに指示をした。

「一番奥の上にリールが付いてる台あるだろ?あれが大花火。1回当たれば少なくとも8,000円にはなる。俺は技術があるから12,000円は狙える。」

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どうやらA君は兄貴に色々教えてもらってリプレイ外しを学んだようだ。

しかも野球部のキャッチャーだったこともあり動体視力がよくBARビタもほぼ100%可能だとか。

ちなみにA君兄貴はプロのマジシャン。ネタを買うお金がないからパチスロで稼いでいたらしい。稼いだお金で海外から最新のトリックを輸入し某有名マジシャンの弟子になったそうだ。

1時間の待ち時間、A君から色々と説明を受けるがいまいちピンとこない。

1枚入れて左に3連ドンちゃんが止まればA君を呼ぶということしか決まらなかった。

左3連ドンちゃんでリーチ目、モーニングなのでBIG確定だ。

気づけば後ろに20人くらい並んでいるパンチ率は約20%。想定通り!

「いいかヨシムネ。シャッターが空いたら全速で走れ。俺が後ろでブロックするからその内に当たり台2つ押さえろ!」

開店ダッシュ、進路妨害、掛け持ち遊戯。

令和のホールならレッドカード3枚か?

~軍艦マーチ~♪♪

「シャッターガラガラ。シャッセ。」

開いた!行くぜ!!!

とにかく一番奥を目指して走った。途中パンチ店員が通路の真ん中に立っていて思いっきりぶつかった。

「ナアアァァァ!!!!!」

今は恐怖よりも台確保だ!!!

一番奥に到着。すぐにポケットからコインを出し1枚投入。A君からもらった他店コイン。レッドカード4枚目!!!

ポッ。テロレロン!!ポポッ!

3兄弟来ず。隣へ。

ポッ。テロレロン!!ポポッ!

3兄弟来ず。隣へ。

ポッ。テロレロン!!ポポッ!

3兄弟来ず。隣へ…

ふと気が付くと誰もいない。入口が何か騒がしい。

まあとにかく今は全台確認が先!待ってろA君!

・・・・・

全台スルー。ヨシムネの目押しが出来ていないのか?とにかくA君を探そう!

「ゴルァ~!!!いてまうぞワレ~!!!」

入口の方からだ!近づくとラオウと竹内力を足して2で割ったような明らかに怖い人が怒鳴っていた。相手は血だらけのA君!!!血だらけ!?



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「ハアハア…本当すいません…勘弁して下さい…」

そう項垂れる血だらけのA君。後に聞いたのだがどうやらA君は2番目に入場する際に赤木キャプテン顔負けのスクリーンアウトを披露し、後ろの20名弱を全員店内に入れなかったようだ。



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その結果、後ろにいた怖い人がガチギレ。A君はボコボコにされてしまったのだ。

「ホールは何でもありだから。早い者勝ち。強い者が勝つ。」

そう教えてくれたA君、アーメンとしか言いようがない…。

「マアマア...XXサン。ガキデスシ。」

パンチ店員が必死に止めてくれる。この力王はここの主のようだ。

「テメエ!次見たらやっちまうぞ?もう行けー!」

力王から許しが出たA君はダッシュで逃げた。仲間とバレないようにヨシムネは別ドアからこっそりと出る。

まずはA君に電話だ!

プルプル…プルプル…ガチャ

「ウウウ…駅の中にいる。痛てぇ…。」

急いでA君の元へ!

と思ったがモーニングが気になりだした。ヨシムネが打った大花火に当たりはあったのか?他の台はどうなのか?中に戻ろう!

並んでいる時にA君とずっと喋っていたので仲間とバレる可能性がある。

なるべく見られないように台だけチェックしてみよう。

しかし素人ヨシムネ。当たりがどれかもわからない。困った。

狭いホール。20名弱の客。

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すぐにバレた。

「お前さっきのガキの仲間だろ!何してる!力王さん!力王さん!」

下っ端ンチにさっきの力王を呼ばれた…。

「ん?なんだ?お前誰や?」

力王は後ろに並んでいたためヨシムネ達の関係を把握していなかった。

ちなみに力王は襟足残しめのオールバックだ。今思うと本当に竹内力を意識していたかもしれない。

下っ端ンチ「こいつさっきのスクリーンアウトのガキの連れです。まだ中にいたようでした!」

下っ端ンチはボロボロのジャージに歯がほとんどない低身長の親父。

THE・手下といった感じだ。

「おおそうか。もう来るな。さっきのにも言っとけよ。」

力王は先ほどと違い、なぜか緩やかモードになっていた。

その後少しだけ様子を見ていて気づいたが力王はモーニングをGETしていたのだ。明らかに台が賑やかになりコインがジャラジャラ出ていた。よく見ると下っ端ンチも。その仲間達も。

さすがに出ないとまずいと思い駅の中へBダッシュ。A君待ってろよ!(2回目)

「ウウウ…痛てぇ…。ドンちゃんは?ウウウ…」

若さもあり怪我よりもモーニングが気になる模様。血だらけのA君。

とりあえず全てを報告。

「A君。ノードンちゃんだ。モーニングは大花火以外もあるのでは?しかも力王達が確保してたぜ?」

素人なりに思った一般論をぶつけてみた。

そう嘆くヨシムネに対し、血だらけのA君が言い渡した回答は…。

「あ、兄貴が言っていた。大花火が一番勝てるって。それに俺が行ってたホールは大花火にモーニングあるし。ハアハア…ブファッ!!!」

今行くのは確実に病院だ。軽い人だかりも出来はじめた。

A君に肩を貸し、乗ってきたZX (A君はDio) まで2人でダッシュ。

駐輪場に到着。そこでA君が驚愕の雄たけびを。

「キィェェェェェ-!!!!! ヌスマレタァァァァァァ-!!!!!」

A君のDioが盗まれていた。ハンドルロックをしていなかったようだ。

後日わかったがホールで殴られた時に財布も取られていた。

傷害、強盗、窃盗 (全て被害者) と3連単的中である。

これがヨシムネのパチスロ人生初日。


※後編へ続く。12月21日解禁。

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