ヨシムネ物語 ~スロプロ編~
前回のヨシムネ物語のスロプロ編です。
登場人物
安田先輩・・・ホールで知り合った人。ヨシムネより4個上。偏差値20くらいの私立大学に6年くらい通っている。仕送りで朝から毎日パチスロ。収支はマイナス。
ゴリラ・・・地元の893。そしてホールの主。この人の前では並びも台取りも全て無効に。影ではゴリラと呼んでいた。どうみてもゴリラだからだ。
舎弟A,B,C・・・ゴリラの舎弟達。名前はまだない。パンチパーマでおそろ。
隊長・・・乗り打ち軍団の隊長。イベントに応じて5-10人ほどで攻めてくる。自ら打つことは無い。管理職。
手下A,B,C・・・乗り打ち軍団の手下達。名前はまだない。全員神眼で目押しの達人。
高校3年生のまさに今頃、放課後は同じホールへ直行していた。
毎日必ずだ。
その頃ハマっていた機種はたった一つ。不二子2だ。
この頃はパンチパーマ率も落ち着きホールに平和が訪れていた。
(ちなみに不二子2の製造メーカーは平和だ)。
と言っても今と比較したらまだコロンビアの深夜の裏路地くらいのデンジャラス度はあったか。
そんな中、車で私服に着替えてホールへ早足に入店。大体16時頃。
その時間帯は朝から来ている人達が割と帰宅しがちな時間でもある。
そのためAタイプである不二子2の高設定もしばしば拾えた。
もちろん世はAT機全盛期なのでAタイプの不二子2はそこまで人気ではなかった。
しかし高校生のヨシムネにAT機を打てるほどの軍資金が無い。
観察をしていると1万円など一瞬。10万円勝つか負けるかのような印象だった。そのため少資金でも勝ちやすいAタイプ、その中で爆発力のある初心者向けと言えば不二子2しかなかった。
Aタイプと言えば今では業界一の人気機種と言っても過言ではないジャグラーシリーズ。
この頃から存在していたが打ち手の平均年齢は70歳オーバー。
ジジババ専用機とも言われていた。今のシリーズのようにちょっとした演出は皆無。先光りすら無い。そしてMAX BETもない。BETボタンを3回トントントンと押す。
この数年後に発売されたジャグラーガールでペカリ時に音が鳴るようになった。ホールは当たりをアピールしようと音量をMAXに。そしてその音に驚いて心臓麻痺で昇天した紳士も・・・。実話なのでここまでにしておこう。
話を戻すが不二子2は回転数に関係なくいつからでも打てて設定6の機械割は140%超え。万枚確定レベルだ。
総回転数をBIG/REGの回数で割って確率を出し設定4以上の数値なら打つということを繰り返していた。BIG中のビタ押しが出来なければ機械割がかなり下がってしまう。初心者にはハードルが高く50%くらいしか成功しなかった。そして台選択も総回転数1500などで判断していたこともあり収支は何ヶ月も続けてプラマイ0。
「収支はうまくいないけど打ちのが楽しいから実質プラスだな。」
そんな気持ちになれるのは18歳だから。今となっては時間の無駄と即損切りしているレベル。若いっていいですね・・・。
卒業前月の2月は丸々完全に学校に行く必要が無い。
ヨシムネは某企業へ就職が決まっていた。しかしそれは卒業するためにもらった内定。成績が学年で最下位のヨシムネ。留年チャンス待ったなし。
だが内定すれば留年はさせれないだろうと秋くらいから計画していた。
一通り求人票を見て一番不人気であろう企業へ応募。1名のみ。内定。
そして卒業も確定。しかしこのまま辞退する理由も無し…。どうしたものか。
とにかく今は不二子2。2月も毎日行くぞ!
普段は16時頃からしか行ったことがなかったがホールは朝、昼とまた違う顔を見せている。AT機は鉄火場。明らかに怖い人たちが占拠。ジャグラーシリーズでは疑似老人ホームの完成だ。
不二子2の客層は普段とあまり変わらない。見たことあるメンツばかりだ。
だが早い時間は回転数が少ないため設定が読みにくい。打ちたい気持ちを我慢してマッサージチェアに漫画で開店数が上がるのを待つ毎日。ここで楽しみたいからと言って無駄打ちしないのがプロ。
この時期は収支も目押しも全然だがこの考えは今日に至るまでブレていない。それは現在取り組んでいる各投資に大いに役立っている。多少逆に値動きをしたからと言って安易な買い増し売り増しをしない。待つのも仕事だと。
そして余裕を持った資金を。1万円しか持っていないのにAT機を打つなんてただのギャンブル。
ヨシムネは少なくとも不二子2はギャンブルではないと確信して毎日研究を重ねつつコインを投入していた。待ってろよ不二子ちゃん。いつかヒイヒイ言わせるからな。
時には10時間近く打たないこともあった。帰宅すれば?ホール変えれば?聞こえてきます。もちろん理由がある。ホールにいて歩き回ることでわかることが多数。いくつかの例えをあげる。
XXX番台は30分でBIG4も増えてる。高設定ぽい。
XXX番台のおばさんは毎日15時には帰る。
XXX番台とXXX番台はカップル。どちらかが出たら1台はやめる。
XXX番台のおっさんは昨日軽く10万円は負けて今日も同じくらい負けてる。
この辺りは余裕で頭に入る。引退直後はほぼ全台の回転数と打ち手とやめるタイミングまで把握できていた。そのため打ち子を常に近場に待機させて毎日爆益だった。
そして後者。ホールは変えない。打ち手のレベルや設定師の癖がある。色々なホールを把握できればいいのだろうがまだ初心者だったためまずはこのホールの一等賞になろうとしていたのだ。
徹底していたため2月の収支は右肩上がり。月末頃には30万円ほどプラスに。今ではさほどインパクトはないが当時の高3で30万円はかなりでかい。
そしてとどめ。ホールの月末イベントで不二子2が対象になった。あとからわかったことだが16台あって6が1台、残り15台は均等に1,2,3,4,5だそうだ。なので約1/2で456と激熱。なんせ不二子2の4でも5000枚確定レベルだ。
ここで初めて前日夜に下見をした。この頃には前日凹んだ台に次の日いい設定が入ることくらい気づいていた。
123番台。今日ダントツで一番負けている。明日はこの台に設定6が入る!
そう確信をし、初めての朝から勝負。興奮で寝れない・・・。そして疲れから即寝落ち。
9時開店なので気合を入れて8時に到着だ!1時間も前から並ぶ人なんていないだろう!
なんてこった。100人以上は並んでいるぞ。
先頭は隊長と手下達。
この一ヶ月で気づいたのだがコインをシェアして多数の台を打っている軍団がいた。それが隊長と手下達。今日も先頭グループ5-10人だ。
「(まずいな・・・123番台取れるかな・・・とりあえず開店ダッシュ決めよう)」
ガラガラ。カイテンデス。ハシラナイデ。
全員Bダッシュ。絶対に123番台は確保するんだ!
見てると先頭グループは全員違うところへ。当時はわからなかったがこの店はATを残すようだ。前日AT中の台は朝イチからそのままAT。時給5000枚確定台が何台もある。異常な時代だ以上。
しかしイベントいうことで普段見慣れない非不二子マン達が攻めてきている。島につくとパッと見で人人人・・・。123番台なんて全員狙うだろう。
そう思いながら到着して目を疑った。下皿に何も置いていない・・・。
急いでガラケーをIN。え!?確保できた!?周りを見渡すと他の台は全て埋まっている。とにかくラッキーだ。
開店までのこの時間のドキドキが止まらない。
当時は開店30分前くらいに店内に入れて台の確保が出来た。
数分である程度落ち着き、さあ今日はどうなるかと皆ソワソワわくわくしながら談笑をしていたあの時代。
そして開店。1本でBIG。その後も常に右肩上がり。設定6ツモ。
昼過ぎには5000枚オーバー。10万円。
しかしやりすぎ。普段だとここから減るのはわかっている。減るのが怖い。やめよう。そう思ったがおそらく初体験の設定6。雑誌によると15,000枚もあるとか。
今月は30万円も勝っているし今日もここからの負けはありえない。
ここは勝負か!?
👼「いやいや10万円で十分よ!もうやめて帰りましょう!」
😈「へへへ!あと20万円でるかもしれないぜ!」
頭の中で天使と悪魔がバトル。悪魔2秒KO勝利。
そのまま閉店まで続行し8,000枚。目押しミス、演出楽しみ、休憩多数が響いている。7,000回転くらいしか回せていない。
1年後に打てていたら9,000Gで15,000枚は出ていたはずだ。
しかしヨシムネは打ちながら決めたことがある。就職辞退だ。このまま3月からも不二子2で勝つ。
そう胸に誓い14時間ほどリールを叩いていたのは卒業式前日のことだった。翌日3月1日卒業式。最後にクラスで一言づつお別れの言葉をいう流れに。
ヨシムネの順番が来た。クラスメイト30-40人ほど、保護者50-60人ほど。
「3年間有難う!ヨシムネは好きなこと(不二子2)で生きていく!上のステージで待ってるぜ!皆も頑張ってくれよな!」
とマジトーンで言ったにも関わらずなぜか爆笑の渦に。
しかし今日から成人式までに1,000馬身差がつくことになるとは露知らず…。
卒業式から帰宅後に早速内定を辞退。今思えば非常に迷惑をかけてしまった…。※もし企業の方で心当たりがあればDM下さい。Switchあげます。
3月2日から本格的に始動開始。プロになるには朝イチから勝負。
毎日前日夜の回転数と大当たりをノートにメモし帰宅。世界地図くらいの大きい紙を壁に貼って毎日のデータを記録。もちろんスマホがない時代。
朝イチで設定が入りそうな台をひたすら回す。日当を2万円に設定したため確保できれば終了しあとはホールを徘徊。しかし中々うまくいかず収支はずっとプラマイゼロ付近。
そんな生活を1ヶ月くらい続けていたある日、ホールで声を掛けられた。
不二子2、よく打ってますよね。俺も好きなんです。
安田先輩だ。
スペックは冒頭で記載のとおり「ヨシムネより4個上。偏差値20くらいの私立大学に6年くらい通っている。仕送りで朝から毎日パチスロ。収支はマイナス。」と今思えばカイジクラスのクズだ…。
そんな安田先輩が話かけてきたのだ。確かによく見る顔だ。そして柔らかい物腰で色々と好きな演出やリーチ目を語ってきた。中々面白そうな人だな。それが最初の安田先輩の印象。しかし10分ほどで全てひっくり返される。
この台あと1,000円で出ると思うので・・・貸してもらえませんか?
こいつ、金を借りるために話掛けてきたのか?しかも台の話で場を盛り上げカツアゲではない感じにして断りにくい演出も!何が好きな演出だ!お前は劇団ひまわりか!
と脳内で考えているとなんと土下座。ホール土下座。今では1円も人に貸すことはないが18歳ヨシムネ、予期せぬ出来事に飲まれて1,000円貸すことに。
ありがとう!BIG引いてすぐ返しますんで!
・・・飲まれた。
聞けば明日も来るらしい。必ず返すと約束をして帰宅。
そして次の日、なんと安田先輩は先頭に並んでいた。
「おはようございます!昨日はありがとうございました!これ2,000円!」
なんと半日で倍になって戻ってきた。
「今日どの不二子打つのですか?俺は左4の・・・昨日BIG35出て・・・」
安田先輩はいい奴だったのだ。初めてのスロット仲間が出来た。ここから毎日ホールで顔を合わせることになりしばらくするとプライベートの話も出てきた。
「ヨシムネさん何歳なのですか?俺は22歳です。」
「ぼ、ぼくは18歳です。先日卒業したばかりで・・・」
ここから安田先輩が急変した。
「ええー!4つも年下かよ!先に言えよなwww」
その後はランチ、飲み物、場所取りなど何でもしてくれた。勝った時は小遣いもくれた。おそらく兄貴分的立ち位置に憧れていたのだろう。
しかしランチや飲み物はまだわかるとして場所取りが疑問に思えてきた。なぜなら安田先輩は毎日先頭で入店しても必ずAT機コーナーへ行ってから不二子2へ来る。それから特に狙い台もなくゆっくり台を選ぶのだ。
ヨシムネは狙い台があるので即不二子2へ行っているがAT機コーナーで何をしているか確認もできず、特に気にもしていなかったが急に気になりだし質問してみた。
「安田先輩、毎日先頭に並んでも意味ないのでは?遅く来ても不二子2なら余裕ですよw」
軽くジャブを入れてみる。そして安田先輩。
「お、おう。まあ早起きはなんとかって言うだろ?それだよ!」
3浪の偏差値20の大学生だとこんなものか。
その後もしつこく聞くと安田先輩は完落ち。白状してくれた。
「誰にも言うなよ!いつもベロアのジャージきてる2mくらいの人いるだろ?ゴリラさんって言うんだけど・・・あの人の代わりに並んでるんだ。指定台を抑えないとポアするぞって脅されてる・・・。」
確かにいる。見た目から完全に893。ほぼ毎日見るがすぐ帰る印象だ。
いつも一般客は30分前に入店してゴリラと舎弟達はギリギリの5分前くらいに現れる。そのためヨシムネはゴリラ達の存在をあまり把握していなかった。
聞けば安田先輩はヨシムネに話掛けた感じでゴリラの女に話し掛けたそうだ。その時も1,000円貸して欲しいと言う内容。そこへ運悪くゴリラが戻ってきて連れ出しからのY32シーマトランクINで色々あって結果毎日先頭に並んで指定台を抑えるという流れになったらしい・・・。ゴリラ怖すぎ🍌
しかし指定台と言っても6やサクラではなく前日のAT残りや回転数狙いのようだ。誰でもわかる美味しい台なので先頭ではないと確保できない。
ゴリラが暴れたら余裕で確保できるが、時代的にもうそこまでの無茶苦茶は通らない。紳士ゴリラなのだ。
今までは記載したように乗り打ち軍団の隊長と手下達が先頭でうまうま台を抑えていた。ゴリラはそれに気づいてシノギにしようとしていた。
安田先輩が先頭に並びだしてから隊長と手下達は消えた。ゴリラが裏で何かしたのかもしれないが…。
毎日安田先輩が先頭に並んでホールを走り回って5-6台の指定台を抑えればいいだけの簡単なお仕事。たまに最後の方が間に合わず別人に確保された時はゴリラの出番。
5分前にやってくるゴリラと舎弟。状況説明の安田先輩。
安田先輩に超オコのゴリラ。GOの舎弟。連れ出しの他人。Y32シーマトランクIN。アーメン
週に1度くらいは見掛ける光景だ。
そんな光景も見慣れたある日、いつものように開店30分ほど前にホールへ行くと安田先輩の姿がない。3-4ヶ月経つが初めてだ。一応電話をしてみるが出ない。そうこうしているうちに開店。ヨシムネはいつものように不二子2へダッシュ。無事確保し珈琲片手に鼻歌ふんふんとホールを巡回していると怒号が!!!
「ウルァァァーー!さらうぞテメェーー!」
ゴリラの舎弟達の声だ。前日AT中の台を確保した全ての客5人に怒鳴っていた。マンツーマンオコだ。
しかしさすがに客達も反論。
「いや…自分3番目に並んでいたんで…サセン。」
「下皿には何もなかったです。本当です。」
どう見ても舎弟達の分が悪い。1台ならいつもの具合で囲んで強奪できるが5台ともなると無茶苦茶だ。
遠くから見ているとゴリラが話しかけてきた。
「ニイチャン。安田は今日どうしたか知らねーか?いねーんだわ。」
安田先輩が飛んだ。
「し、知りません。ここでしか会わないので…。あんな奴友達でもなんでもありません!ただの顔見知りです。そもそももう顔も忘れたかもしれません。。」
友達だと思われたら困るので必死で否定した。
「まあ連絡があったら教えてくれよな・・・。」
これは大変なことになった。安田先輩に何があったのか…。
その日から安田先輩は完全に音信不通になった。
あれだけ好きだったパチスロ。辞めることはできないはず。
そう思いヨシムネは暇な時に近隣のホールを徘徊した。
まずはすぐ隣にある系列店。
いつも行っているホールが「パーラー出る出るA」だとすれば「パーラー出る出るB」だ。完全な系列店。同じ系列店だがBは閑古鳥が鳴いている。
それくらい設定は入っていない。まあいないだろうが一応・・・
いた。
呑気にGOGOランプをペカらせていた。
B店はパチンコメインでスロットはジャグラーくらいしかないのだ。
「安田先輩!何してるんですか!ゴリラが超オコでしたよ!」
「おうヨシムネ!見てくれ!ランプがペカペカだぜ!」
確かにめちゃくちゃ出ていた。GOGOジャグラー夕方で約8,000枚。下手したらその日の全国TOPだ。
「あの日から毎日ここで打ってるが50万円以上勝ってるぜ!」
なんとジャグラーメインのB店は設定6祭りだった。
毎日大量の設定6が。しかも老人さんが打ち手なので簡単にGET出来る。
まさに盲点。当時液晶全盛期に何の演出もないジャグラーは完全な労働。
乗り気はしないが勝つためにはやるしかない。明日からここに来ることを約束してその日は解散。安田先輩が飛んだ結果ナイスな状況に。
ヨシムネはA店に戻る。
しばらくしてゴリラが話しかけてきた。
「安田見つけたぞ。舎弟が隣のB店で見つけた。今から行ってくる。」
これはまずい・・・。安田先輩がY32トランクINされてしまう・・・。
ヨシムネは考えた。すぐに電話をして教えるべきか。
しかし安田先輩が携帯を強奪されたらバレてしまう。やめておこう。安全最優先。自業自得。アーメン。
いつも明るくしゃべり上手、楽しかった安田先輩。
毎朝場所取りをしてくれた、優しかった安田先輩。
時にはおこずかいも、太っ腹な安田先輩。
本当にありがとうございました。お元気でアーメン…。
そう思いながら不二子2を打っていたその時!
カタトントン・・・
!!!!!!!!!!
ゴ、ゴリラか?それとも舎弟か?恐る恐る振り返る。
「ようヨシムネ!今日も出してるな!これ6だろ?ハハハ!!」
安田先輩だった。無事だったのか!?というよりこっちきて大丈夫なのか?
「安田先輩!ゴリラに見つかったらヤバくないですか?というよりさっきB店で見つけたって興奮してましたよ!」
「お、おう。それならもう大丈夫。明日からまた来るぜ!」
一体何があったのだろう。不思議そうにしているとゴリラと手下がやってきた。爆音のホール内、ゴリラがヨシムネの耳元で囁いてきた。
「ニイチャン。安田がB店にいたの知ってたんだって?何で教えてくれないのよ?ん?・・・まあもういいけどハハハ。」
そう言って帰路についた。助かった。寿命が711年短くなった。
とにかく理由を知りたい。安田先輩を外へ連れ出した。
安田先輩は詳細に説明をしてくれた。
いつものようにGOGOランプをペカペカさせていたところ急に宙に浮いたらしい。首根っこゴリラダンクだ。
そして安田先輩が顔を上げると般若ゴリラの姿が。安田先輩は0.1秒で高速土下座。
昔から下手打ちの達人だったようで謝罪慣れしているそうだ。さすがのゴリラもいきなり全力の高速土下座、ジャグラー老人会からの視線。ここで一瞬の間がうまれた。そこでトドメ。
「ゴリラさん!この台をどうぞ!コインもそのまま使って下さい!」
軽く5,000枚は出ている設定6。予想外の展開に驚くゴリラ。
「安田。わしはお前をY32シーマのトランクINして山に連れていくつもりだったがやめだ。閉店までこいつを打つ。わしの舎弟がな。オイ!!」
舎弟が台に座りブン回しを開始。安田先輩は晴れて自由の身に!
「ゴリラさん!私安田!A店に戻ります!明日から並び宜しくお願いします!」
そう言ってヨシムネのところへ来たらしい。そういえば初対面の時にも即土下座してきたな。この人の土下座のハードルは0.02ミリくらいなのかな?
先頭確保の日々は明日からまた続くようだ。家からホールまで30分以上かかる安田家。少しでも多くの睡眠確保のためになんとホールの目の前に引っ越し!物件はゴリラ抑え。
「安田!4畳半で5段ベットだけど寝るだけだからいいよな!フィリピン人が
何人かいるけど気にするな!ガハハ!」
完全にゴリラ界に足が浸かっている。安田先輩と深く関わるのはもうやめよう。。。このままではゴリラ舎弟待ったなしだ。偏差値20ではそんなこともわからないのか!?
明日は月一イベントの日。ゴリラ達も気合が入っている。
当日の先頭は当然安田先輩。
そして二番目は・・・乗り打ち軍団の隊長と手下達!
しかも大群だ!10人近くいるぞ!月一イベントだからなのか!なんとやって来たのだ!
しかし安田先輩は前日16時頃から並んでいる(ヨシムネのカタポンポンの1時間後)。もはや別荘だ。隊長と手下達は朝4時に到着したらしいがそこには住み慣れた安田先輩の姿があり大変驚いたことだろう。しかし軍団のBダッシュはプロ級。これでは先頭で入って台確保できても1-2台…。大丈夫なのか?
ガラガラ。カイテンデス。ハシラナイデ。
よっしゃぁー!行くぜー!
ロケットダッシュの安田先輩。後を追う隊長と手下達。
不二子2へ走るヨシムネ。何とか狙い台確保。
無事確保し珈琲片手に鼻歌ふんふんとホールを巡回していると怒号が!!!
「ウルァァァーー!さらうぞテメェーー!」
もちろんゴリラの舎弟達だ。相手は隊長と手下達。
舎弟5人vs軍団10人の全面戦争。
安田先輩は1台しか確保できなかったようだ。相手はプロ。当然の結果だ。
「自分たちが確保した台なので」
「一人一台なので」
「朝4時から並んでるんで」
そう色々と反論をしている。しかし相手はゴリラ舎弟。引くはずもない。
「ウルァァァーー!さらうぞテメェーー!」
まさにオールマイティワード。
しかし隊長達も引かない。そこへゴリラが遅れて到着。
「おうおう。万枚確定のGOD残しにサバ中の猛獣王にスーパーアラチャンが取れてないだと?ん?安田?」
ガクブルガクブル…。ジャアアアア------。
なんと安田先輩が失禁をしてしまったのだ!
「うぉ!?」
ここで一瞬の間がうまれた。必殺安田ストップ。ここでトドメ。
「ゴリラさん!こいつら並んでません!順番抜かしです!この安田が全台抑えていたのに奪われました!」
大ぼら吹きだ。
あまりにも大胆な大ウソに隊長と手下達も逆に動揺。
隊長「な、なにを言ってる?お前の後ろに全員並んでただろ!」
安田「嘘つけ!おいらの後ろはXXX番台の爺さんだ!うまうま台は全台おいらが押さえた!」
隊長「で、でたらめだ!アタフタ」
形勢逆転。安田先輩の勝ちだ。
その様子を静かに見ていたゴリラが口を開く。
「わかった。もういい安田。全部こいつらに打たせてやれ。」
なんと意外 of 意外。全台軍団に譲るとのころ。安田先輩にも罰は無し。
そう言ってゴリラ軍団は帰路についた。
安田先輩も拍子抜け。ヨシムネも頭の中が?????だらけのまま開店。
ヨシムネは狙い台の不二子2を回す。
安田先輩はB店でハマったジャグラーをA店でも。
軍団は全員朝一から爆連。
こうして月一イベントの長くて短い祭が始まった。
・・・
13時間後、ヨシムネの台は推定4。
5,000枚ほどのコインを獲得。
島には6も入っていたが5,000枚はまあ上出来。
安田先輩は相変わらずペカペカ祭り。
ランプだけで4,000枚オーバー。
そして軍団。全員で10万枚以上出している。
朝一から爆連、設定6祭り。隊長もウハウハだ。
店内に蛍の光が流れ出した。閉店だ。
静まり返ったホール。メダルを流すために長い行列が出来ていた。月一イベントなのでいつもの倍増しだ。
「今日もペカペカだったぜ。明日もペカペカ!エブリディペカペカ!」
安田先輩は疲れから頭がペカっていた。
そんなくだらない話を聞き流していたその時、ホールから怒号と悲鳴が。
「ウルァァァーー!いてまうぞテメェーー!」ボコドカボコドカ
当然ゴリラ軍団だ。
なんと舎弟が朝の倍以上はいる!大乱闘ゴリラブラザーズ!
相手はもちろん隊長と手下達。
ゥゥゥゥゥ…イタイ…ボスケテ…
一通り終わりとゴリラが現れた。
「おうおう!代打ちご苦労さん!ほな一人一万円な。」
なんということでしょう。
ゴリラの言い分は台を打つのは諦めたが台の権利は自分のものだと。
マジゴリラ・・・。
10万枚以上で200万円以上。当然引けないゴリラ。
マジゴリラを止めれる者は誰もいない。10万枚奪取。軍団さん。アーメン。
その後、軍団員の姿を見た者は誰もいない・・・。
こうして長くて短い祭は終わった。
まずまずの結果。うまく立ち回れたと自分を褒めたい。
まだまだ初心者だがこれからもっと勉強をして腕を磨いて一流のスロプロになってやる。胸に強く刻んだ誓い…。
さあ安田先輩と食事でも行こう。
誘ってみたところ意外な答えが。
「悪いヨシムネ。早く風呂入ってパンツ履き替えたいから帰る!」
朝一失禁していたのを忘れていた。
次の日に聞いた話だが蒸れてパンパンに腫れていたらしい。
夏だったからな…。
~完~
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