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解答例文つき 昇進・昇格試験(論文編)|職場を活性化にするにはどうすればよいか?
今回は『職場の活性化』をテーマに小論文の解答例文を公開していきたいと思います。
職場の活性化は、小論文以外に面接でも、よく質問されるテーマであるため、昇進試験を検討されている方であれば、「職場の活性化」に対する自分の考え(理想)を整理しておく必要あります。
職場の活性化に対する自分のスタンスを明確にできていなければ、昇進試験で問われたときに、解答の軸がどうしてもぶれてしまうのです。
自分の思考や理想を言語化するには、自分の手で書くしか方法はありません。今回は、『職場の活性化』をテーマに小論文の作成方法を解説して聞きますが、ご自身でも書いてみることをおススメします。
小論文作成の準備|キーワードの洗い出し
足の着いた具体的な小論文とするため、必要なキーワードの洗い出しから始めましょう。
以下は、私が考える「職場の活性化」に関するキーワードです。みなさんも余力があれば自分の手を動かして考てください。
① 言葉の定義を必ず調べる
職場の活性化とは何か?
職場活性化とは、メンバーが組織の一員として、共通の目的に向かって、主体的に意識を持って活動している状態のこと。
どうやら私が調べた限りだと、公的機関は、用語の定義をしていない模様です。効率よくに人的資源、時間的資源、金銭的資源が活用されている状況といった所でしょうか。
以下私が考える職場活性化のイメージ。
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② 理想の状態をイメージする
仕事がスムーズに進む。
メンバーが仕事の意味を理解して、想定している以上の成果がでてくる。
コミュニケーションが活発で、常に情報が共有されている。
適切に評価される。成果だけでなく、行動に対しても一定評価される。
担当者だけでなくチーム全体から、どんどん良いアイディアがでてくる。
改善のアイディアは職場全体の課題として理解される(発言者の仕事にはならない。言った者に損にならない)。
メンバーは、リーダーや同僚に、気兼ねなく質問できる。
失敗しても、フォローされる。
③ 現実をイメージする
仕事の意味が分からず、やらされ感が強い。ゴールが見えない。やりがいがない。
部下の気持ちを理解しない管理職。
評価面談や目標管理が納得できない。モチベーションが下がる。
仕事の割り振りが不公平で、納得できないメンバーがいる。
個人主義。担当者の力量によって、成果が左右される。良いアイディアが出ない。
人間関係が悪い。
自分の仕事は頑張るけど、チームでやる仕事には協力しない、協調性のないメンバーがいる。
減点主義。行動すればするほど、損。
褒められないけど、叱責される。パワハラ。
分からないことが聞けないから常に不安。
④ 余力があれば、マイナス要因も考えておく
マイナス要因は、特になし。強いて言えば、職場全体のモチベーションや雰囲気は、個々のメンバーの総和であることが多い。
人事異動でメンバーが刷新されたとき、組織として、どうやってチームの雰囲気を維持するのかを考えておかないとダメかも。
⑤ 具体的な解決方法をイメージする(メモレベルでOK)
ご自身の職場における理想と現実をそれぞれ見比べてください。例えば管理職として、職場の活性化について、どう貢献できるかを考えてください。
理想と現実のギャップを比較して、具体的に取り組めそうな解決方法をイメージします。
ちなみに私が、具体的な解決方法を思いついたのは、『定期的なチームミーティング』及び『1on1ミーティング』の実施、『それぞれの業務難易度を明確にすることにより、人事評価を透明に』だったので、以下の模範解答のなかで示したいと思います。
小論文 解答例文
小論文を作成するにあたっての論理構成
作成するにあたっては、先ほど準備した①~⑤の材料を組み合わせて、論理的な文章を構築します。論理展開としては以下の順番がおススメです。
用語の定義(今回は職場の活性化とは)
現状(どんな課題があるか)
理想
その為に何をするのか
解答例文 『職場を活性化にするにはどうすればよいか?』
職場を活性化について、本論文の中では以下のとおり定義する。
『職場の活性化とは、仕事をするために構成されたチームのメンバーがそれぞれ、目的を理解し主体的に活動している』状態を指すものとする。
この定義に沿って、職場の活性化に管理職として貢献するには、『目標の共有、チーム内のコミュニケーションの活性化、適切な評価制度の運用』等が求められると考える。
以下に活性化の阻害要因(課題)と具体的な対策について詳細に論じる。
1.職場の活性化を阻害する主たる要因
職場の活性化を阻害する主たる要因して考えらえるのは、
(1)メンバーが仕事の内容に納得できない・理解できておらず、部署の目標にズレが生じている。
(2)柔軟性を欠いた業務担当制(メンバー間の協力体制が不十分)
担当者ひとりで、全てを抱え込んでしまっているので、よいアイディアがでない。担当者の力量でプロジェクトの成否が決まってしまう。
(3)仕事が適切に評価がされないため、メンバーがモチベーションを維持できない
これらの状況が生じると、業務効率は著しく下がり、職場の活性化を阻害してしまう。
2.具体的な対策について
次に、上記の活性化を妨げる要因をどのように排除するのか、ここでは管理職として、これら課題へのどう対応できるのか、私が考える具体的な対応策を挙げる。
(1)及び(2)への対策、定期的な『チームミーティング』及び『1on1ミーティング』の実施
先日、読んだ書籍の中に、示唆に富んだ一節があったので引用する。
ある日、老人が散歩をしており、道沿いでレンガ積みをしている青年に出会った、老人が何をしているかを青年に尋ねると青年は「レンガを積んでいるんです」とぶっきらぼうに答えた。
さらに進むと、さっきと同じようにレンガ積みをしている青年に出会った、老人が青年に何をしているかと尋ねると、笑顔で「教会をつくっているんです」と答えた。
仕事に置き換えて考えると、チーム員それぞれが、仕事の意味を目的を理解しているか、そこに意義を見出しているか否かは、モチベーションに大きく影響する。職場の活性化には、部署が有している仕事の意味とその目的を全てのチーム員が理解しておくことが不可欠である。
そのために、年度当初にチームが担うプロジェクトの意義、そして達成すべきゴール、達成にあたっての制約条件を共有する必要がある(予算額、人的資源、物的資源、納期)。
この際に注意するべきことは、管理職が会社の経営方針をかみ砕いて、自らの部署の業務(個々のチーム員の作業)が、その経営目標にどうかかわっているのか、そしてチーム1人1人は、何をどうすれば貢献できるのか、伝わるように説明することである。
目的とスケジュールの共有が完了したら、その後は毎月(必要に応じて毎週)単位で、実際の業務の進捗状況とその時々の課題を共有する。この目的は、①経験値の高い社員のアイディアをチーム全体で共有すること、②遅延が生じている事業を洗い出し、その繁忙期には、担当を柔軟に組み替えて、集中的に支援するなど、柔軟な体制を組めるようにするためである。
そして、このチームミーティングと並行して、1on1ミーティングを適時実施する。
なぜ1on1ミーティングが必要になるかといえば、優秀なチーム員は職場の活性化に必要な課題を的確に把握しているからである。
例えば仕事が属人化していてボトルネックなっているといった場合、優秀なチーム員は、人間関係が悪化することや、(一時的に)チーム全体の業務量が増えるといったことを見越して、みんなの前では発言しないということが起こりうるためである。
このように『チームミーティング』でチームの自発性・柔軟性を高めるとともに、『1on1ミーティング』で目に見えにくい職場活性化の阻害要因を洗い出すことに取り組むことができる。
(3)への対策、それぞれの業務難易度を明確にすることにより、人事評価を透明に
チーム員の不満の1つに、「私の方が、長時間残業をして業務をこなしているのに、なぜ定時で退社しているAさんと同じ評価なのか」というものがある。
この手の不満は、積み重なることで組織に対して理不尽を感じて、著しくモチベーションを下げてしまうということにつながる。
人事評価の基本は、その人の経験・スキル(職位、入社年数)に対してどの程度の難易度の仕事をしたかである。
例えば、ベテラン社員が多少難しい業務をこなしても評価があがるということはないが、新入社員はマニュアルに沿った定例的な作業を独力でこなせば、それは評価されるということである。
つまり、この不満が生じる背景は、『仕事の難易度を主観的に見ている』ということに本人が気づいていないからである。
チームのメンバーの誰が、どのくらいの経験を積んでいるか(職位、在職年数)は全てのチームメンバーに共有されているが、業務の難易度は共有されていない。
その結果、冒頭に書いたように「私が担当しているプロジェクトが、一番困難な業務なのに、なぜ評価されないのか」と主観的な感情を抱くメンバーがでてくる。
この問題への対応策の1つとして、どのプロジェクトのどの作業が困難であるか(より高いスキルや調整力が求められているか)を、一定示すことで、冒頭の不満の解消につながり、モチベーションの低下を回避することができると考える。
上記の取り組みを進めれば、自発的に行動する社員が増え、職場が活性化し、当初想定していた成果以上のものが生まれる環境に近づくと考える。
管理職への昇進が叶ったなら、これらの取り組みにより職場の活性化に貢献したい。
(文字数1,900字)
その他テーマの解答例文が気になる方はこちらのリンクからどうぞ
追伸:下準備したけど、使わない項目があったよ(理想の状況や達成後のマイナス要因)と思われた方。
大丈夫です、無駄にはなっていません。
色んな情報を揃えて、いちばん説得力のある組み合わせを考える方が、絶対良い小論文になります。少ない情報では、どんなに文章の上手い人でも、説得力ある小論文は作れません。
まとめ
学校のテストとは異なり、昇進・昇格試験は、その勉強方法や手順を誰も教えてくれません。
職場の親切な上司や先輩に聞けば、ふわっとしたアドバイスをくれると思いますが、注意してください。
その方法は、その上司や先輩が『たまたまうまくいった方法』に過ぎません。鵜呑みにすると、失敗します。
少なくとも、タイムロスをすることになります。
多くの人は、昇格試験・昇進試験に合格するための学習プランをメソッド(手順)として確立できるほど、多くの受験経験は有していません。
加えて、受験者である『あなた』と『その上司・先輩』は、経験もスキルも違うので、同じ学習計画をたてても、結局、うまくいきません。
合格するために必要なのは、『合格までのロードマップ』には、何があって、自分が何を対策しなければならないかを、把握することです。
昇格・昇進試験に、志望動機の提出や筆記試験(択一式)、面接なども課されていて、何をやったら良いか、よくわからないという方向けに昇進・昇格試験全体のロードマップに関する記事も用意したいと思っています。
ご参考にしていただければ。
皆さんの昇進試験が上手くいくことを祈っています。