ふじみ野たてこもり事件は在宅医療に関わる多くの医療者にも大きな衝撃を与えた。
同じ埼玉県で在宅医療に従事している者のひとりとして、今回のふじみ野の在宅医が射殺された痛ましい事件と向き合うのは大変辛いことだ。
以前から指摘されていた在宅の密室性は、稀にこのような形の結末に至ることがあるのは想定されていたはずだ。
良くいえば使命感なのか、性なのか、医療職はこうしたリスクを積極的に引き受けてしまう傾向にある。
一方で、ヤングケアラーに対して、政治が意図的に無視してきた印象さえあるケアラー家族、特に8050とも表現される中高年ケアラーへのソーシャルワーク的介入が必要であることも今回の事件において強調されるべき点と思う。
やはり、カテゴリーや属性に分けないコミュニティソーシャルワークが必要不可欠と痛感させられる。
このことは僕はずっと発信し続けてきた。
すなわち、患者、家族だけでなく在宅チームも支援の対象とするべきだろう。地域包括ケアは属性ではなくエコシステム全体に対する支援体制が求められる。
医療介護連携ばかり強調されてきたが、やはり地域包括ケアの枠組みで地域福祉も含んだ福祉との共同が必要不可欠だろう。
個人的には、家族による介護への介護保険の適応による、介護離職の予防と社会保障の自動給付化は必要不可欠だと思う。
少なくともベーシックインカム導入より障壁は低いと言える。
しかし、最も重要なのはマクロな話ではなく、この事件の詳細がどのような問題のエコシステムをもっていたかどうかだ。
冷静な事件の解明が待たれる。