「世界でいちばん透きとおった物語」 杉井光
「急死した父への複雑な感情、
女性編集者に対するほのかな恋心。
そして、
『世界でいちばん透きとおった物語』という遺稿。
絶対に予測不能な衝撃のラスト ━
あなたの見る世界は『透きとおる』」（本の帯より）
「世界でいちばん透きとおった物語」 杉井光
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なにか気づかれましたでしょうか？
なんと
この本の電子書籍はないのですね。
また
文庫書下ろしなんです。
どういうことかといいますと
電子書籍では再現できない「仕掛け」があるというのです。
紙の本が好きな僕は「これは読まなくては！」と積まれている本を、あとまわしにして読みました。
しかし
読めども、読めども、「仕掛け」はわからないし、そのまま後半へ。
ただ
物語に引き込まれていたので、そんな仕掛けやトリックのことを忘れかけていました。
すると
その瞬間がきました。
えっ！
ほんとに！
僕はページをはじめからめくりかえし、なんども、なんども見返しました。
ようやく
「よくこんなことができたな！」と口から零れ出た次第です。
「ネタバレ厳禁！」だと帯に書かれていたので、これ以上言うことはできませんが、たしかに、この本のあらすじとか情報等を知らないで読まないと、この本の価値はなくなってしまうのかもしれません。
かといって、物語としても最後まで息をつく暇もないほどハラハラさせられ一気読みできました。
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。
宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。
「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。
編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。
とても読みやすくて、読後感も透きとおります。
そして
「言葉で心臓を刺される」
そんな感覚を味わってみてください。
【出典】
「世界でいちばん透きとおった物語」 杉井光 新潮文庫
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