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ワーホリ 日本食レストランでの仕事を乗り越えて得た学び
なんとか乗り切った2ヶ月間のお寿司レストランのお仕事。
「お寿司レストラン」というと、手で握るイメージがあるけど、オーストラリアにあるお寿司は一般的にロールタイプ。寿司マシンを使って作っていく。私が担当させていただいたのは、レジと洗い場、食材準備。手が空いた時に仕事を見つけて取り組んでいく。
ところで、海外にいる日本人は日本人に対してなかなか厳しい印象がある。これは友達と話していて思ったことだけど、日本人専用のシェアハウスだったり、日本人のために仕事探しを手伝っている仲介者とか…とにかく費用がとても高い。例えば、紹介料に20万円、家賃は週に400ドル(食事込み)300ドル(食事なし)
日本人のためというより、日本人むけにビジネスをしている人が多いイメージがあった。(たまたまかもしれない)
一方で、私のお寿司レストランの日本人オーナーはとても親切で、ワーホリに来る日本人を助けたいと言う思いで日本人を積極的に採用されていた。最初から最後まで私を支えて励ましてくださったのはオーナーだった。彼女がいなかったら本当に続かなかった仕事だと思う。
苦い経験
私は日本で飲食店で働いた経験もなかったため、わからないことだらけで毎日が大変だった。中でも、私が一番辛かったのは、ある1人の従業員の冷たい態度である。
紅生姜を小分けに入れていく単純な作業。
教わったことのない作業であったため、どのくらい入れたら良いのかわからず既存のものと見比べて確認しながら用意をしていたら、
「これ、あなたが一つに1分かけるのと僕が30秒で作るのとで、単価が変わってくるよね」
なかなか心にグサっときた言葉だった。周りの従業員も聞いているから、あまり雰囲気を悪くしないように明るく返事をしたら、
「注意しているときは笑わない方が良いよ」
とまたチクリとする言葉を言われた。
今でも鮮明に覚えている…あの時の気持ち。
でも、彼の言葉のおかげで、お金をいただいて労働しているという緊張感が2ヶ月間、常にあって、
・私語をしない
・テキパキ動く
・お客さんに喜んでもらえるためにどんな声がけ態度を取ることができるか
を必死に考えることができた。人は作業に慣れると、仕事を与えてくださっていることが当たり前になってしまいがち。だけど私は違って、彼の言葉が常に心にささっていたからいつも緊張状態で仕事をすることができた。
やりがい
日本食レストランのお仕事のやりがいは、お客さんに日本食や音楽などのカルチャーを知ってもらうことである。バナナファームで働いていた時には体験できなかった、お客さんとの「対話」や、丁寧さよりもスピードが求められる「労働環境」の中で、いつの間にか失いかけていた日本人としてのアイデンティティ。欧米人の考え方に成りきろうとしていた。
だけど、日本に行ったことあるお客さん、日本語を勉強しているお客さん、日本をリスペクトされているお客さんに会う中で、日本人らしくあって良いんだなと気づくことができた。自分のルーツを共有する中でお客さんを笑顔にできることは毎日の喜びだった。
他にも、何名かのお客さんから連絡先をいただいたり、今後メキシコ留学のアドバイスに乗ってくださったりもした。接客業のやりがいを初めてオーストラリアで体験できたことはかけがえのない思い出である。
お別れ会
2ヶ月しか働かなかったにも関わらず、オーナーは私のお別れ会を開いてくださった。みんなで夕食を食べながら私の今後の旅の予定を話したり、日本での職歴、なぜオーストラリアに住むことに決めたのかなど、キャリア相談も含めていろんなお話をした。
最後の最後に、ある従業員(ずっと私に冷たかった方)がかけてくださった言葉
「よくがんばりました」
拳でグータッチをしました。本当に本当に嬉しかった。達成感を身に染みて感じた瞬間だった。
素敵な人に恵まれた環境だったとつくづく思う。オーストラリアでの労働体験を、卒業後の進路に活かしたい。