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小説の世界の住人があこがれる小説の住人(本の旅 星②後編)吉田篤弘さんとガズオイシグロさんの短編集から。
只今お借りしている本、吉田篤弘さんの「空ばかり見ていた」の中の2番目のお話。
「彼女の冬の読書」を読み、以前読んだ、
カズオイシグロさんの「夜想曲集」の中の「降っても晴れても」
の主人公を思い出した。
--------後編です。----------
↓前編
https://note.com/si_mosaic/n/n69d56beb1844
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なぜ思い出したかというと、
吉田篤弘さんの「彼女の冬の読書」の中の、主人公と友人との関係だ。主人公の彼は、絶対友人の彼女のことが好きだろうし、きっと彼女もそうだろう。夜中にジャムの蓋が開かないと、呼び出しにあったり、飲めない二人のレストラン「ライオン」でのガラナの夜遊び(おしゃべり)は、夜の話だけど、ほんのりと眩しい。
ガズオイシグロさんの「降っても晴れても」の主人公は、大企業で働く友達夫婦に、「そんな暮らし、いつまで続けるの?」「こんな歳になって、一体どうするの?」の説教をされる。挙げ句の果て、好きだった彼女に勘違いされて、、、、可哀想がられてしまう。
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主人公の気持ちになると、
説教をされた親友夫婦に、聞き返したくなる。
「こんなはずじゃなかった?」
大学の時好きだったことを引きずっていないといえば、嘘にになる。
そんな人いるの?そんな昔のこと、まだ?
そう思われてしまいそうでいつも平気な顔をしている。
そこへ好きだった本人にあのころのことをに突かれると、ずっと隠していた平気な顔がくずれる。大好だった共通の音楽。時代の流れとは違う昔のジャズ。レコード。。。。
「あなたはあの時のままでいて。」なんて、調子がいいと思う。どっちみち、先を考えれば、自分と彼女がくっ付くとは思えなかった。わかっている。。。。
なぜか、「降っても晴れても」の主人公の気持ちを代弁している私。
すっかり、主人公の気持ちになっていた私がいた。
はきはきしない、ぱっとしない私。いつまでも過去を引きずった、私。
そういう時は、記憶力の悪い私でも、その話を異様に覚えている。
そして、
吉田篤弘さんの、「彼女の冬の読書」の二人に出会ってしまった。
時代の流れとは関係ない、二人のだけの時間と静かな暮らしの出来事。2度と戻らないなんでもないあの時間が、この二人には永遠に続くような、きっと続けてくれるような、、、。
「いいな~。」
絶対に、カズオイシグロさんの「降っても晴れても」の主人公は、
この吉田篤弘さんの「彼女の冬の読書」の二人に憧れる。
きっとそうだと、確信した。