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スカート

11/3
私らしくない一日だった。
一言で片付けてしまうには勿体ない今日を日記に記してみることにする(因みに日記も私らしくない)。

男,女と分けることで性別に胡座をかく周りの人達を昔から疑問に思っていた。
差別,男尊女卑,男勝り,女々しい,レディースデーetc,その話題にはいつもネタが尽きない。

戦争の歴史は宗教の他にも男女という性別に固着した人達に起きた物語かもしれないと歴史の授業中に考えていたのを思い出す。
学生の頃,付き合ったとカウントするに値しない付き合いを除くと私は今まで一度も交際をしたことがない。だから今日誘われたデートは新鮮そのものだった。

大学生になって初めてはいたスカートを彼はとても喜んでくれた。

慣れない化粧をしたせいで笑われた。たしかに笑えるものだと認めたらおかしくなっちゃって,お互い涙を流しながら腹を抱えた。

人混みで手を繋いで歩いてくれた。もう全てが初めてのことだったから,操作方法を知らないゲームをしている感覚が所々で私に起きていた。

ああでもやっぱりスカートで喜んだ彼を見たときから,私は。私から何かが芽吹いたんだと今になって思う。

別れ際にもらった薔薇をしばらくその場で見つめていた。駅のホームで見送ってもらった後も見つめたし家の近くの公園でも見つめた。
「私は女性だ」ということがこの花に集約されていた気がして,それが嬉しくていつまでも見ていられた。
私は生まれ変わるのかもしれない。明日の講義が楽しみ。
おやすみなさい。ちゃんと眠れるかわからないけど。



アンソロジー薔薇の花

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