なぜ各国は国のデジタル通貨をつくるのか

 近年中国でオリンピックに合わせてデジタル人民元が発行された。今現在広く使われている硬貨や紙幣には、流通コストの高さ、セキュリティとデジタル社会における利便性に乏しいという問題がある。
*セキュリティリスクも問題とされるがこれは、銀行などが存在しない発展途上国などがわかりやすい例である。
 そんな中、なぜ各国がデジタル通貨を発行するのか、ほかの既存のデジタル決済とどう違うのか、先進国(中国)と途上国(カンボジア)に分けてその利点をまとめてみたい。

 まずデジタル通貨とはその名の通り、通貨自体がデジタル情報になることで、中国のアプリを例に挙げればアプリ上で銀行預金されている紙幣をデジタル人民元としてチャージすることで変換することが可能になる。アプリ内に存在するQRコード決済などの決済方法を使って利用可能となる。
*これは間接的な方法だが直接的にデジタル通貨を発行し配布している国もある

 そこでまず通貨発行を行う国の機関がお金をデジタル化することで異なる大きな利点の一つは、手数料である。
 手数料は現在日本で多く使われるpaypayなどのサービスでは銀行と個人の間で、paypayという業者が仲介することによってシステム上で決済が可能になる。業者が扱うのは実際のお金ではなくその決済が行われてという情報のため、改めて現金を移動させたりというタイムラグも存在する。その一方でデジタル通貨による決済はデータそのものがお金であるため、間に入る仲介がいないかつ、扱うお金は法定通貨なため、決済をおこなえる加盟店も含めて手数料がかからない。

そのほか中国を例にとれば、そのお金の信用度や互換性がなどがあげられる。その一方で、デジタル通貨は中国に先駆けて特に途上国で多く扱われている。先進国と比べてネットワークの整備などが遅れている途上国で使われる主要な目的についてまとめてみたい。

 世界初のデジタル通貨を発行したのはカンボジアである。さらにはその導入を支援したのが日本企業という点も注目に値する。ただし今回はなぜカンボジアがデジタル決済を導入しているのか、途上国特有の問題をまとめてみたい。

 導入している主要目的は2つあり、お金の預金や送金を容易にすることと自国の通貨をより使ってもらうようにすることだ。まずカンボジアでは住民1600万人のうち20万人ほどしか銀行口座をもっていない。そもそも、農村部では住まいの近くに銀行の支店が存在しない。そんな中でもインターネットは使われており、アプリでデジタル通貨を利用することで、預金や都市部への送金をしやすくすることができる。
 もう一つは自国の通貨を使用してもらえるようにすることだ。カンボジアでは米ドルが流入し自国の通貨があまり使われていない現状がある。これの何が問題化というと金融政策をしようとしても自国の通貨でないため有効な政策ができないということだ。デジタル通貨で自国通貨の利便性を向上させることで、より多くの人に自国通貨を使ってもらいたいという目的がある。

各国でデジタル通貨がなぜ導入されているのか、先進国と途上国を例に利点を考えてみた。今回利点についてあげているがネットのセキュリティ上の問題がネックになることは目に見えている。今後デジタル通貨が普及していくのかも含めて注目していきたい。

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