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聖餐のマルシェ(せいせん の マルシェ)|葬送のフリーレンパロディ下書き


葬送のフリーレンとは、(物語のストーリー)
魔王のデビルを倒した後の世界のワールドを舞台にしたファンタジー漫画『葬送のフリーレン』は、1000年生きるエルフの魔法使い・フリーレンが、残党の魔族と戦い、バトルしながら、仲間と旅や冒険を通して成長していく姿を描いたファンタジー漫画です。

このブログは、その作品をおちょくることを目的としたパロディ創作です。




聖餐のマルシェ



七宝剣のアウラたちを討伐したフリーレン一行は、グラナト領をあとにし、次の目的地へ向かう。


ふと、フリーレンは今回の戦いを振り返える。
師匠のフランメの言葉を思い起こしたあのときのことを。

フランメ
「フリーレン、魔族が言葉で人を欺くなら、お前は魔力で魔族を欺くんだ」

魔族は言葉で人を欺く。

あの勇者ヒンメルでさえ、冒険をはじめたばかりのころは魔族の言葉に欺かれた。

「(あの村は結局、すべての村人が殺された。)」

フリーレンの思考は独り言のように自問自答している。
今となっては心残りの当時の事件。

あのときのフリーレンには、「ヒンメルがそういうなら・・・」と、どうでもいいという思いもあった。

だから

ヒンメル「フリーレン、僕達には言葉がある。あの魔族の子は村長とこの村の人たちに任せて僕らは次の目的地まで急ごう」

このヒンメルの言葉に「愚かだ」と思いながらも「どうせ彼らはすぐ死んじゃうから同じことか」と、彼の言葉に従った。

その後、魔王を討伐しヒンメルたちと別れたフリーレンは、気ままな一人旅の中で、魔族に襲われたあの村の人たちはすべて殺されたことを知ることになる。

老人となったヒンメルと再会したときも、フリーレンはあえて触れなかった。ヒンメルたちとの寿命の差に「どうでもいいことだ」と諦めがフリーレンにはあったからだ。

しかし、ヒンメルの死を、ハイターの死を、弟子となったフェルンとの出会いと、アイゼンから託されたシュタルクとの出会いと・・・

多くの後悔がフリーレンを襲うこととなり、以来フリーレンの心の片隅にあの村の事件が鈍い痛みとして居座り続けていた。

お母さん、痛いよ」

ヒンメルは、魔族の子供のこの言葉によって欺かれた。
まだ子供だということで見逃し、村を出た。

フリーレン「ヒンメル、今殺しておかないと後悔するよ。」

ヒンメル「フリーレン、僕達には言葉がある。あとは村長に任せて次へ急ごう。」

フリーレン「そう。わかった。」

(今になって後悔しているのは私だよ、ヒンメル)
フリーレンの頭の中のおしゃべりは自身の変化を客観的に見つめる機会となった。


フェルン「フリーレンさま? どうかされました?」

母親のように心配そうな顔で声をかけてきたのは弟子のフェルンだった。

フリーレン「いや、ちょっとヒンメルたちと冒険をしていた時のことを思い出していたんだ。」

フェルン「どんな思い出話ですか。ハイターさまも活躍された話なら聞いてみたいです。」

フリーレン「そんな思い出話なんて言えるような良いモノじゃないよ。なにせ一人の魔族の子供に666人の村人が殺されたって話だからね。」

フェルン「!? 666人も・・・・?」

フリーレン「うん。しかも、その村を襲った魔族の子供は私たちの手で殺せたはずなんだ。」

フェルン「どうしてその時、殺さなかったのですか? ヒンメルさまやフリーレンさまがその場にいたにも関わらず、なんで666人も人が殺されるのを見過ごしたんですか?」

フリーレン「いやごめん、伝え方が悪かったね。 666人の村人が殺されたのは、私たちがその村を出たあとのことなんだ。」

フリーレンは1からフェルンに当時のことを話した。

フェルン「『お母さん』ですか。 魔族の子供がそう話したことでヒンメルさま油断をしてしまい見逃してしまったと・・・。」

フリーレン「そう。 だからね、フェルン。 魔族は子育ての習慣がなく、産み落とされれば天涯孤独に過ごす。 家族やお母さんなんて概念は本来はない。 そうやって人を欺くんだ。『お母さん』って。」




魔族の子供「・・・・お姉ちゃん?」

666人の村人全員が魔族の子供に殺された村はオーメン村という村だった。

魔王討伐のために旅立ったヒンメルが初めて出会った魔族がこの魔族の子供であった。

実は、ヒンメルたちが立ち去ったあと、オーメン村で何が起きたか、本当のことをフリーレンは知らないでいた。

オーメン村で起きた真実と魔族の子供のその後の物語。
そのプロローグをここに綴る。




魔族の子供「お母さん・・・」

ヒンメル「まだ・・子供だ・・・。」

「それがどうしたというの!? そいつは私達の娘を食い殺したのよ!! 勇者様!! 早くそいつに止めをさしてください!!!」

魔族の子供「痛いよ・・・、お母さん・・・」

ヒンメル「・・・」

村人たち「・・・」

フリーレン「もういい。私がやる。」

まるでこのフリーレンの言葉が合図であったかのように村の村長が割って入った。

村長
「これでは魔族と同じだな。 別に人を食わないと生きていけない訳じゃないんだろう? 償う機会を与えてやってもいいじゃないか。」

「な、村長っ!! ふざけないでよ!!」

村長の言葉で村人たちの多くは魔族の子供に同情心を向けた。

「みんな、どうしてそんな目を・・・? 私が・・・、娘を食べられた私たちが悪いの?! なんでよ!! どうしてそうなるのよ!! だったら娘を返して!! お願い!! 娘を・・、娘を返して、あぁぁ・・・・!!!」

村人はもちろん、娘を殺された母親に同情していないわけではない。

しかし、幼いその魔族の子どもにもやはり母親がおり、母親にすがるように「お母さん、痛いよ」と言葉を発している。 人々に殺意の目を向けられた魔族の少女はの後ろに母親の影がちらつく。 彼らにとって、食われた少女と魔族の少女は微妙なラインで重なる。

誰にこの怒りをぶつければいいのか?
答えは今は出せない。

その落としどころは、「償いの機会を与える」というものとなった。
つまり、結論を先送りする弱い人間の常套手段であった。

村長「家で手当をしよう。 ちょうど畑の手伝いを探していたところだ。」

村長がそう言うと、村長の一人娘のマルシルが父親の後ろで隠れるのをやめ、件の魔族の子に手を差し伸べた。」

その後、村長の家に招かれた魔族の少女は、まず熱い湯で体を拭いてもらった。 翌日は朝食を村長とマルシルと3人で食べた。 村長から、これからどう償いをしていけばいいかを聞かされ、その後、この家でのルールを言い渡された。

村長「さて、私から以上だ。 それじゃさっそく畑仕事を手伝って貰うよ。わかったね?」

「・・・・」

村長「こういうときは『はい』って、返事をするものだよ、え~
と・・・。」

ここで村長は魔族の子供の名前を言おうとして言葉をつまらせる。

村長「そうか、まだ名前を聞いてなかったね。 君の名前を教えてくれるかい?」

「・・・、僕に名前はありません。」

村長「え、でもお母さんはいたんだよね? だったら生まれた時に名前をつけてもらっているはずだ。」

「魔族にそんな習慣はありません。 僕は産み落とされたときからずっと一人でした。」

村長「ん? ではどうしてお母さんに助けを求めるような言葉を口にしたんだ?」

「魔法の言葉だから。」

村長「魔法の言葉? それはどういう意味だい?」

「僕は目がいい。 見たモノを模倣することができるくらいには目がいいです。 だから、ずっと人間を見ていた。 人間は生まれると母親が抱っこする。 父親が高い高いをする。 子どもたちは、友人を作り野を駆け回り、イタズラをすると大人たちが叱る。 悲しい時、嬉しいとき、楽しい時、さみしい時。 人間の子供は『お母さん』っていう。 そうすると、その子のお母さんは微笑みを浮かべて子どもを抱きしめる。 だから、僕も悲しい時、嬉しいとき、楽しい時、さみしい時、人間の子供のマネ(エア・マーザー|模倣する魔法)をして、『お母さん』っていうと、なんだか体の中心にモゾモゾとあったかい魔法が起きるんだ。」

村長「・・・。」
マルシル「・・・。」

「まるで魔法のような素敵な言葉・・・ だから昨日も痛くて怖くて寂しくて『お母さん』って言った。」

マルシル「あなたはずっと家族が欲しかったのね! いいわ、私は今日からあなたのお姉さんよ! そして、あなたは私の妹のマルシェ! オーメン村のマルシルとマルシェ姉妹よ! ね、いいでしょパパ。 この子の名前はマルシェで決まりよ!」

村長「ふはは、そうか。 私に2人めの娘ができたのか。 というわけだが、マルシェもそれでいいね?」

マルシェ「・・・・。」

村長「マルシェ、こういうときは、なんていうんだっけ?」

マルシェ「・・・、はい。」

村長「うん、じゃ畑仕事に行こう!」






「お姉ちゃん・・・」
「お父さん・・・、みんな・・・。」

マルシェの目には村が燃え盛る光景が映っていた。
魔族の軍勢が村を襲っていたのだ。

マルシェは状況を振り返る。

村が魔族の軍勢に襲われた時、マルシェは村長とマルシルによって一人、逃された。

マルシル「逃げてマルシェ! あなたは逃げて生きるの! もともとあなたは魔族、ここから離れれば追われて殺されることもない。さぁ早く行って!!」

マルシェ「逃げるの? どうして? 僕は家族じゃないの?」

マルシル「バカねこの子は。 こんな時に、一番言ってほしかったことをやっと言ってくれた。 でもそうね、家族だからよ。 家族だからあなたには生きてほしいの。」

マルシェ「わかりません。 僕は明日の朝の朝食は何を食べばいいのですか? 畑の収穫も間近です。 僕のカボチャ、村長や村のみんなと一緒に食べる約束をしてます。 僕はここに残ります。」

マルシル「お願い!黙って!! これ以上言わないで・・・。 覚悟が揺らぐよ・・・。」

この言葉にはマルシルの焦りが反映されていた。 まだ「この子と共に生きたい」という願望に舵を取れば二人共、襲ってきた魔族に追われ、今夜のうちに殺される。 それがわかるからだった。 

マルシル「マルシェいい? 女の子は『僕』じゃなくって『私』っていうの。 ぜんぜん真似できてないじゃない。 だからあなたはやっぱり人間じゃない。 それはつまりあなたは魔族に殺されない、アイツ等は、あなたと同じ種族だから。 だから、あなただけなら逃げられるの!」

マルシェ「わかりません。 僕はまだ償っていない。 まだ村のみんなから許されていない。 人間のことは、まだ何もわからない。 牛や豚を食べるのに、犬や猫を大切にしたり、名前をつけた牛や豚だと食べられなくなったり、僕は見ただけじゃ理解できないことはまだまだたくさんあります。 それに僕は『お母さん』なんて魔法の言葉を口にしたくないです。 この村に来てからは、もっと素敵な魔法があるから、それを知ってしまったから、もうお母さんって魔法の言葉じゃ満足できないです。」

マルシル「もう困らせないでよ。 いいわ、あなたにお守りをあげる。 このお守りがあれば私はいつだってあなたのそばにいる。」

マルシルは自分の首からぶら下げていた真紅の首飾りをマルシェに手渡した。

マルシル「これは覇王の卵っていうベヘリット。 つまりお守りよ。 私のお母さんが死んじゃったときに、叔父さんが占い師のお婆さんから買ったものなの。 これを持つ者は自分の血と肉と引き換えに死者と再会できるのよ。」

マルシルはこのように説明したが、これは占い師の説明がそもそも間違ったモノだった。その状況で叔父からマルシルに伝わっていたために、マルシルはこのベヘリットをお守りと本気で思っていた。

マルシェ「これは・・・、嫌です。 人の顔みたいで気持ち悪い。 僕はいまいる家族と村の人たちと畑の収穫をしたいだけです。 こんなのいらないです。」

マルシル「いい加減にして!!」

マルシェが村に来てから1年半が過ぎていたが、マルシルがこんな声を出したのは初めてだった。 そして、マルシェもこれまでずっと村ではほとんど無表情であったが、この時初めて彼女の顔は人間の驚いたときの表情となっていった。

マルシル「・・・ごめんマルシェ。 でも言ったでしょ、女の子は『僕』じゃなくて『私』っていうのよ。 あなたの姉の私は『僕』って言わないでしょう? 妹のあなたもそうしなさい。 お母さんが死んで寂しかった私に妹ができて私はうれしかったんだよ、マルシェ。」

マルシルは、一旦ベヘリットの覇王の卵をマルシェの手から取り戻し、それをマルシェの首にかけた。

マルシル「あなた、傷の再生は早いはずよね? 魔族なのだから・・・。 いい? ちょっと痛いかもしれないけど、あなた聞き分けないからさ、いい加減これで逃げなさいね・・・。」

マルシルは空間から片手サイズの杖を取り出した。

マルシル「逃げて生きてマルシェ! ・・・ゾルトラークバシルーラ!!!」

マルシルは魔族の少女に向かって魔法を放った。




マルシルは猛牛に突進されたかのように吹き飛ばされ、森の茂み奥深くまで飛ばされた。 気を失ったマルシェは目を覚ますと、自分の置かれた状況を振り返り、何が起きたかを思い出す。 そして首にかけられた、まるで血に染まったかのようなベヘリットを目にして、「ハッ」とした表情で森から駆け出した。

森を出ると、およそ160m先に火に包まれた村が目に飛び込んだ。 まだ幼い魔族の彼女には、感情らしい感情はない。 本能的に周囲を観察することで、200年300年かけて人間を模倣するのが魔族である。 だが、マルシェはこの時、大きな変化を感じていた。

過去に「お母さん」という言葉を話すと温かな気持ちになった彼女の内側から、まったく異なる何かが溢れ出ようとしていた。 それを人は感情と呼ぶのだが、そのマルシェの感情に呼応するかのように、真紅のベヘリットは震え、血の涙を流し、悲しみの咆哮を上げた。

「うああああああああああああああああああああああああああああ」

マルシェもそれに続き、悲鳴のような叫び声をあげ、その場に崩れ落ちた。

マルシェ「助けてください! 助けてください! お父さんを! マルシルを! 私の家族を!!!!」

そう叫ぶマルシェの耳に、どこからともなく声が聞こえる。

???「供物を供えよ。 供物をあるか?  生がいい。 生肉がいい。」

マルシェはそんな声を無視して、ただただ嘆いた。

マルシェ「お父さん!! お姉ちゃん!! 私はどうしたらいいの! 魔族として生きるの? また一人で生きるの?」

マルシェの悲痛は、マルシェに語り掛ける『囁き』を、より鮮明に聞こえるようにしていった。

???「供物を用意しろ。 あの方たちが力になるぞ。 生肉がいい。 新鮮な生の肉と血がいい。『捧げる。』 たった一言そう言えばいい。 お前がそう言うだけで、あの方たちがすぐに現れる。 お前に大きな力を与えてくれるぞ。」

マルシェは、その声がベヘリットを中心に聞こえていることに気づいた。 しかし、声はベヘリットだけではなく、空間や木々、空や地面など、あちらこちらと淀む魔(マナ)のように四方から聞こえている。 だが、それは神秘的な囁きでもあった。

ベヘリットからは、血の涙が止まることなく滴っている。このような首飾りがまともなわけがないのは一目瞭然であった。 だが、マルシェは幼い魔族にしてはありえないほど、人間に匹敵する感情が彼女の中で内在していた。

彼女を襲う悲しみ、寂しさ、虚無。 さまざまな感情が彼女の心を負で満たしていく中で、その感情は最終的に「怒り」となり彼女を取り込むのであった。

何を捧げるのか彼女はわからなかった。 ただ、怒りだけが純粋にはっきりと彼女には認識できていた。 もうどうなってもいい。 すべてが終わってもいい。 怒りが彼女の背中を後押しする。

マルシェ「捧げる」

その瞬間、土だった地面は一瞬にして、人の顔らしきオブジェのような文様に変わった。 空はなくなり、やはり顔のような文様で埋め尽くされている。

ゴッドハンドの降臨だった。




ボイド「物語は始まった 因果が紡いだ運命の糸に少女は選ばれた」

ユービック「偽りの父と姉と収穫を喜びともに生きたかったか、少女よ?」

コンラッド「全てを失い 終わってしまったぬくもりを 後悔と悲しみに心が嘆く 貴様の願いは我らゴッドハンドがしかと受け取った」

ユービック コンラッド
「「666人の血と肉 新鮮な供仏 生饌を よくぞ捧げたマルシェよ 我らゴッドハンドの力を授けよう」」

ボイド「それを可能にするのは女神なり 母なる人差し指の聖典に記されし古の女神が今舞い降りた お前は会話を許された さぁ何を申す?」

マルシェ「女神・・・。 女神っ!!?? 聖典の女神ですか! それじゃ回復魔法? いや蘇生魔法? お願いします! とにかくなんでもいいから私の家族を助けてください。 救ってください!!!」

女神スラン「助けませんよ。」 
女神はあっさりとマルシェにそう言い放った。

その表情は無表情に近い。が、慈悲と慈愛に満ちた微笑みを浮かべているように見えた。

マルシェ「『助けない』って・・・、え? どういうことですか? 私は捧げるって言いました!」

女神スラン「あなたが『生饌』として捧げたのは『その家族の血肉』です。 捧げた供物を生き返らせるということは供物を取り下げること。 666人の生の肉と血液を今更、取り下げることはできません。 それがあなたが私たちゴッドハンドに捧げたものなのですから。」

マルシェはめまいがした。 何もわからず、ただ怒りから言われるままに「捧げる」といったが、それが自分が助けてほしいと願った人たちであったのだ。

女神スラン「その代わり、あなたは神となり神の力を宿すのです。 『覇王の卵』は、ベヘリットの中でも特別な最上位の、『神となる存在』が、最終的に手にする真紅の転生の卵。 あなたはその覇王の卵に神になるよう選ばれたのです。 今この場に朽ちた村人たちの血と生肉が献上され、すべての条件は揃いました。 精霊が天使が私たち神でさえ、あなたの誕生を祝福しています。」


ボイド、スラン、ユービック、コンラッド、女神スラン
「「「「死神マルシェよ!」」」」

人を食い、殺し、そして人と共に暮らし魔族に相応しい神
生と死、再生と終焉、その両方を司る神

死神

その大鎌は、稲を刈りとり、人々の人生を最良の収穫のタイミングで命を刈る。刈られた麦は次の畑に蒔かれ、蘇生と復活を遂げる。

女神スラン「あなたは供物となった666人の血肉と引き換えに、666人の死者を蘇生できる力を手に入れました。 ただしそこにはルールがあります。 蘇生魔法で一人、生き返りが成功すれば13ヶ月あなたは誰も蘇生できなくなります。 つまり、蘇生魔法は使えなくなります。」

「その代わり、回復魔法が使えるようになります。 そして13ヶ月間後に蘇生魔法がまた使えるようになり、今度は回復魔法が使えなくなります。 ただし、あなたは何の制約もなく鎌を一振すれば、森羅万象に存在するすべての命を刈り取る事ができます。 つまり、あなたが慈悲と慈愛を持って願えば、いつでもどこでも人の人生を終わらせることができます。」

「ですが忘れてはいけません。 あなたは神となるのです。 しかも、もっとも誇り高き高潔でいて温厚な死神に。 いいですか? あなたが死者の蘇生ができるのは生饌となった666人と同じ666回だけ。 あなたの父と姉とそして亡くなった村人たちが、蘇生魔法の時にランダムに選ばれ、あなたは彼らと再会できるでしょう、生饌として。」

死神マルシェ またの名を「生饌のマルシェ」

供物となった村人の魂と引き換えに、この世でもっとも慈悲と慈愛に満ちた魔法を使う「生饌のマルシェ」の旅がいま始まろうとしていた。

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