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第54回感染管理抄読会のご報告

4月に開催された感染管理抄読会の報告です。
コロナ以降、オンラインで抄読会を行っていましたが、3月からハイブリッド形式で行っています!
新年度になり、新しいメンバーの方もご参加いただき、とても嬉しかったです!
今回の抄読会でもディスカッションが活発で、学びの多い抄読会でした。
その内容をご紹介いたします。

論文タイトル
Quality of life and mortality in older adults with sepsis after one-year follow up: A prospective cohort study demonstrating the significant impact of frailty

この論文を選択した理由
フレイルと感染症、退院後の生活への影響について知見を得たいと思いこの論文を選びました。

書誌情報
Heart & Lung -The Journal of Cardiopulmonary and Acute Care-
DOI: 10.1016/j.hrtlng.2023.03.002

抄録
背景:敗血症の生存者は、炎症期以降に慢性重症化することが多く、死亡または再入院の原因となることがある。高齢者の敗血症患者の長期予後とその関連因子、特にフレイルについては、いまだ十分に研究されていない。
目的:敗血症診断から1年後の高齢患者において、フレイルが生活の質(QOL)および死亡率に及ぼす影響を調査すること。
方法:この前向き研究では、2018年5月から2019年4月までに老年専門集中治療室に入室した患者を対象とした。患者は、Clinical Frailty Scaleに従って、重度フレイル・軽度~中等度フレイル・非フレイル/脆弱に分類された。主要アウトカムは、敗血症診断から1年後のQOLとし、EQ-5および12項目ショートフォームを用いて測定した。副次アウトカムは、1年生存率とした。
結果:参加者211名のうち、75名(35.5%)がQOL調査を完了した。そのうち、37名(49.3%)が敗血症診断から1年後にベースラインのQOLに戻らなかった。また、全員が「移動の問題」があると報告した。さらに、重度フレイル群の生存者は、軽度~中程度のフレイル群、および非フレイル/脆弱群よりも、1年後のQOLが低かった。重度フレイル群の1年後の死亡率は75.9%で、調整ハザード比は1.70(95%信頼区間、1.02-2.82、p = 0.041)であった。
結論:フレイルは、敗血症を発症した高齢患者の予後に重大な影響を与えることが明らかとなった。この研究では、予後が悪い可能性のあるフレイル高齢患者には、フレイル状態の管理とリハビリテーションの必要性が明らかとなり、移行期および回復期ケアサービスの改善につながる可能性が示唆された。

ディスカッション内容
最初、論文を読んだときには、入院時にフレイルを診断することの重要性が示され、敗血症治療後の高齢患者が退院後の生活で直面する困難点を知ることができたと思いました。しかし、クリティークを進めていくうちに、なぜ敗血症にフォーカスしたのか、文献検討に基づいた説明がないこと、目的が曖昧なことから、何を明らかにしたかったのか疑問が残る内容になっているのではないかというディスカッションが行われました。この研究のPECOが描けないとのコメントが印象的でした。「敗血症患者におけるフレイルが生活の質に及ぼす影響」ではなく、「フレイル患者における敗血症が生活の質に及ぼす影響」の方が適切なのかもしれません。

(院生Y.T)


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