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整形外科骨代謝疾患

骨関連疾患の総合ガイド

注)自分の専門医試験対策用にまとめたものです。間違いがある可能性もあるので発見した際はやさしく教えていただけると幸いです。

Fanconi症候群

Fanconi症候群は、小児ではくる病、成人では骨軟化症を引き起こします。これは腎尿細管の機能不全によるもので、グルコース、アミノ酸、尿酸、リン酸、重炭酸イオンなどの再吸収障害を引き起こし、様々な代謝異常が発生します。

くる病

くる病は、骨の発育に影響を与え、以下のような特徴を持ちます。

低リン血症性くる病

  • 症状: 歩行開始遅延、O脚、低身長、齲歯

  • 組織学的特徴: 石灰化障害により未石灰化骨(類骨)が増加

  • 検査所見: 低リン血症、ALP高値、カルシウム正常値

  • 治療: 薬物療法が基本。下肢変形の改善が不十分な場合は装具療法や骨切り術を行う

ビタミンD欠乏性くる病

  • 原因: 慢性下痢、完全母乳栄養、食物アレルギー、日光暴露不足など

  • 症状: ALP上昇、副甲状腺ホルモン上昇、カルシウム低値、リン低値

  • 治療: 日光浴やビタミンDの投与

  • 注意点: ビタミンD欠乏性くる病は発展途上国で特に多く見られますが、近年では室内生活の増加に伴い先進国でも問題となっています。栄養バランスの取れた食事と適度な日光浴が予防に重要です。

骨軟化症

骨軟化症は、骨の石灰化障害を本態とし、石灰化不十分な骨組織(類骨)が増加する疾患です。

  • 症状: 骨折、骨痛、筋力低下

  • 血液生化学所見: リン値低下、ALP高値

  • 原因: ビタミンD欠乏、胃腸管切除、消化吸収障害、腎尿細管障害

  • 治療: 半減期の短い活性型ビタミンDが使用され、ビタミンD中毒症を回避するために管理されます。治療効果が現れると血清ALP値が低下します。

  • 注意点: 骨軟化症は、特に高齢者や栄養状態の悪い人々に多く見られます。ビタミンDの不足が主要な原因ですが、慢性腎臓病や消化器系の手術歴がある人々にもリスクが高いです。

骨Paget病

骨Paget病は、骨代謝回転が異常に亢進する病気であり、モザイクパターンが特徴です。治療にはビスホスホネート(BP)が有効です。

  • 注意点: 骨Paget病は50歳以上の人々に多く見られ、欧米諸国での発症率が高いです。骨痛、骨変形、骨折のリスクが増加し、まれに聴力障害や神経障害を引き起こすこともあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症では、骨年齢の遅延や股関節部の斑点状大腿骨端核が特徴です。乳歯脱落遅延、骨端線の不整、ALP低値、骨端核の出現遅延なども見られます。

  • 全身症状: 甲状腺機能低下症は、慢性的な疲労感、体重増加、寒がり、乾燥肌などの全身症状も引き起こします。甲状腺ホルモンの補充療法が主要な治療法で、定期的な血液検査で治療効果をモニタリングします。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症では、骨代謝回転が亢進し、血清オステオカルシンが増加します。

  • 原因と症状: 甲状腺機能亢進症の主な原因はバセドウ病です。体重減少、心拍数増加、神経過敏、発汗過多などの症状が見られます。抗甲状腺薬、放射性ヨード治療、手術などが治療法として用いられます。

ビタミンDの役割

ビタミンDは血清カルシウムを維持し、腸でのカルシウム吸収を亢進します。ビタミンD製剤には転倒抑制効果が報告されており、過剰状態では高カルシウム血症を引き起こし、反応性に副甲状腺ホルモンが低下します。

  • 追加機能: ビタミンDは免疫機能の調節にも関与しており、感染症の予防や自己免疫疾患のリスク低減に寄与する可能性があります。日常的に適度な日光浴とビタミンDを含む食事が重要です。

副甲状腺機能亢進症

続発性副甲状腺機能亢進症は低カルシウムをきたす疾患で、ビタミンD製剤の投与が治療法です。原発性副甲状腺機能亢進症では、血清リン値の低下、ALPの上昇、カルシウムの上昇、多飲、多尿、脊椎ラガージャージ像、褐色腫、骨膜下骨吸収が特徴です。
注意点: 原発性副甲状腺機能亢進症は、骨密度の低下や腎結石のリスクが増加します。診断には血液検査と骨密度測定が必要で、手術が治療の第一選択となります。


Albright症候群

Albright症候群は、線維性骨異形成症、皮膚の色素沈着、性的早熟を三徴とする疾患です。
遺伝性と治療: Albright症候群は、Pseudohypoparathyroidismの一形態であり、骨変形や発育不全が特徴です。遺伝性疾患であり、家族歴が重要な診断要素となります。治療は症状に応じた支持療法が中心です。

骨粗鬆症治療薬

抗RANKL抗体
腎機能障害患者に低カルシウム血症が発生しやすい。骨芽細胞に発現するランクリガンドに結合し、間接的に破骨細胞分化・活性を抑制します。

ビスホスホネート(BP)
初回投与で生じるインフルエンザ様症状は短期に改善し再発は少ない。消化管からの吸収は悪く、さらにカルシウム存在下ではより吸収が阻害されるため、カルシウム製剤は併用しません。

メナテトレノン製剤
ビタミンK2製剤です。

薬物選択の考慮: 骨粗鬆症治療薬の選択は患者の年齢、骨折リスク、併存疾患などを考慮して行われます。適切な薬物療法に加え、栄養管理や運動療法も重要です。

閉経と骨健康

閉経後早期には骨吸収と骨形成がともに増加し、骨代謝回転が亢進して骨量が急速に減少します。副甲状腺ホルモン、血清カルシウム、リンの値は変化しません。

ステロイド性骨粗鬆症

プレドニン換算で1日5mgを3ヶ月以上使用すると骨折リスクが増加します。

慢性腎臓病と骨折リスク

慢性腎臓病では、続発性副甲状腺機能亢進症、無形性骨、ビタミンD欠乏、低カルシウム血症、高リン血症、骨形態の変化、転倒リスクの上昇、栄養障害、酸化ストレスの増大などが骨折リスクを高めます。

原発性副甲状腺機能亢進症

破骨細胞性骨吸収と骨髄の線維化、線維性骨の形成が特徴です。

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