被災地で最もラディカルな造形は土木だ。しかし、 石巻『リボーンアートフェスティバル』
2019年に開催された、宮城県石巻市で開催された芸術祭『リボーンアートフェスティバル2019』を観に行った。その中で、牡鹿半島の先にある鮎川浜で展示していた、石川竜一と島袋道浩の作品が心に残っている。
石川竜一はスコップと小型ショベルカーを使い、ひたすら『穴』を掘り続けていた。対して、島袋道浩は、車道から海岸までの道を整備していた。
たった1人でひたすら地面を掘り続ける行為と、海と私たちを繋ぐための白い小道。ただそれだけなのに、胸にくるものがあった。
東北被災地域で最もラディカルな造形は土木だ。津波により地形が変わり、人間の手により山が削られ巨大な堤防が作られる。
展覧会場を移動する際、常に大型トラックとすれ違い、大型ショベルカーや盛り土が否応なく目に入る。
そんな風景が続く牡鹿半島の先の先につくられた、表現としての土木。
同じ技術を使うことで、その大きな力のベクトルを捉え直す。少なくとも僕はそんな風に感じて、今も心に残っている。