更新しながら保たれる風景　「三富新田のくずはき」

角川武蔵野ミュージアムから自転車で15分のところにある『三富新田』。冬の雑木林で行われる「くずはき」に参加する。

落ち葉は集められ、酒粕を混ぜられる。そのうち60度を越える発酵熱で湯気が出始める。手を入れると冬でも暖かい。

こうして、水を保てず栄養価の低い関東ローム層の上に、落ち葉堆肥の層を400年以上重ね続けている。

ここ等の雑木林は背が低い。昔から農業木は大きくなりすぎる前に伐採され、燃料や民具として活用されてきた。だから20年以上放置される林はなかった。

くぬぎなどの落葉樹は伐採しても切り株の横から芽が出てすぐに成長するのだ。この風景は、木を守るのではなく更新することで保たれてれいる。
しかし時代は移り、切られないまま立派に成長した木が増えてきた。農業林としての役割は終えつつある。

一緒に手伝いに来ていたミュージアムレストランのスタッフが昼ごはんを用意してくれた。鹿肉のシチューに、菜の花のサンド。むちゃくちゃ美味くて、景色もよくて、みんなでご飯を食べることも久しぶりで。

武蔵野の冬だ。