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図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版](5)

最近耳にする「電力不足」や「電気代高騰」。
カーボンニュートラル宣言以降、多くの注目を集め、またライフラインとして重要な位置づけがされている電力について解説した『図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]』(木舟辰平 著)から抜粋記事を5回連載でお送りします。
今回は第5回目「1-4 主力電源の変遷」です。


【 1-4 主力電源の変遷 】

 日本の安定供給を支える主力電源は時代によって変遷してきました。戦後の高度経済成長、オイルショック、そして地球温暖化の脅威。こうした経済・社会状況の変化を受けて、理想的な電源構成のあり方は変わっています。

▶水主火従から火主水従へ

 明治時代の黎明期から高度成長期までの発電の主役は、石炭や石油を燃料とする火力と水力でした。明治時代にまず小規模の火力発電の開発が進みました。その後、明治後半から大正にかけて電気の用途が電灯以外にも広がる中で水力が発電の中心になり、設備も数千kW規模から数万kW規模へと大型化しました。
 戦後、右肩上がりで伸びる電力需要を賄うため、全国各地でさらに大規模の水力発電所が開発されました。51年に発足した9電力会社に加え、52年に設立された国策会社電源開発(Jパワー)も開発の主体になりました。
 高度経済成長に伴い電力需要が急増する中で、水力は新規開発の余地がほぼなくなります。その結果、火力発電の建設ラッシュが起きます。50年代まで電力供給の柱を担ってきた水力発電は、60年代前半には発電電力量で火力発電に抜かれました。いわゆる水主火従から火主水従への電力供給体制の移行です。
 この時期に全国で導入が進んだ火力発電の燃料は石油です。それが2度のオイルショックを契機に脱石油の必要性が生じます。電力会社は公害問題への対応も迫られたことで、天然ガス火力や原子力の導入が本格化します。
 天然ガスは、1969年の東京電力・南横浜火力を皮切りに、他の大手電力も追随して導入に乗り出しました。原子力も大手電力各社が導入を進め、2000年代初頭には発電電力量全体の3分の1程度を賄う主力電源になりました。06年に策定された原子力立国計画では30年以降も電源構成の30〜40%を原子力が占めるとの中長期的な方針が示されました。
 ですが、その計画は福島第一原発の事故により破綻しました。地球温暖化の深刻さが増す中、原子力と入れ替わる形で再生可能エネルギーが新たに主力電源に躍り出ようとしています。21年10月策定の第6次エネルギー基本計画には、脱炭素社会の実現に向けて、再エネを最優先で導入するという方針が盛り込まれました。

1-4 主力電源の変遷
図解入門ビジネス 最新電力システムの基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]

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