あれに見えるなぁって思った話(2)
もう1mmも動けないくらいの超絶満員電車に乗ってるとき何にも出来ないじゃない。常に誰かのバッグとか背中が当たってる状態でスマホも見れず、みんな餌を待つ鯉みたいにモニターとか広告を眺めるしかない。そこで『ダイキン』の広告に出会ったんですけど、これがとても良い広告だったもんで7駅の移動時間があっという間でした。
電車ドア上の広告なんですけど「ヒートポンプ式暖房っていう技術を使って2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すぜ」みたいな企業広告。「ヒートポンプ式暖房」は、石油やガスを燃焼させて熱を生む代わりに空気中の熱を集めて水や空気を温める技術だと。添えられる写真は、男の子と幼児が窓越しに雪景色を見ている様子。環境に配慮した暖かい家で楽しく越冬できるイメージだろうか。子供たちがニコニコして見ているのは画面右側の影。チーターかトラのような獣が走ってるように見えた。画面左側の家と同じくらい大きな獣が雪の中を走る“非現実的”な景色に見えるのだ。そう、この窓はスクリーンである。子供たちがアニメや映画を観るのと同じで、外出が困難な時期に室内に居ながら暖かなエンターテインメントを映し出しますよ、と。室内(日常)と室外(非現実)の対比。そしてヒートポンプ式暖房を日常にしていきましょうね、みたいな。ええ広告やなぁと思いながら、そんなことを考えていたら次第に乗客は少なくなり、最寄駅に着きました。おつかれさまです。