[重要] ご存知ですか? 大学院へ進学する前に準備すべきこと 5選
こんにちは , こんばんは もしくはおはようございます.
社会人大学院生のしゅうとです.
前回の記事で, 大学院へ進学した際のメリットをまとめてみました.
記事をみて大学院へ進学しようと思った人がいるのか, いないのかは定かではありませんが, もしも進学しようという方が一人でもいらっしゃるのであれば, 準備や心構えなどについてもまとめておかなくては無作法というもの.
と
あの上弦の壱もおっしゃています.
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...ww
遅めの新年初すべりも無事に終えたところで本題へ入りましょう.
まず, 結論から申し上げますと
(1) 英語・研究法の勉強
(2) 院生が使える研究資金 , 設備, データベースの確認
(3) 研究テーマに関する文献レビュー(+ まとめ作業)
(4) 研究計画のスライド作成・倫理審査研究計画書や説明文書の仮作成
(5) 貯金
と, 個人的には思っています.
その他は, 急を要しませんが
翻訳ソフトや文献管理ソフトの選定
TeamsやSlackなどのコラボレーションツールの操作に慣れておく
などもオススメです.
では今回も1つずつその中身を解説していきます.
(1) 英語・研究法の勉強
個人的ダントツ1位です. 恵まれた研究環境で短期間に実績を積み上げるためには, 必須の勉強だと思っています. 院試では必ずと言っていいほど英語の試験がありますので, 試験勉強だと思って論文の翻訳に挑戦したりすると, 一石二鳥です. ただし, 論文投稿の前に英文校正をお願いすると思いますので, そこまで心血を注ぐ必要性もないのではと思います.
(教室が求める英語レベルや到達したいレベルに合わせて学習して下さい)
ベタですが, 単語は以下の書籍2冊で事足りると思います.
院試前と現在も使用しています.
時には辞書を使用することもありましたが, ジーニアスは王道なので既にお持ちの方も多いかもしれませんね.
そして, もっと大事なのが研究法の勉強です.
こちら, つい最近ツイートしたのですが, こう考えている方が非常に多いです.
実は例に漏れず僕もそうでした.
案の定, 充実した研究環境を上手く活用できずせっかく書き上げた修士論文もとてもではありませんが, 論文投稿できるような内容ではなかったのが今でも悔やまれます.
研究法を修士課程在籍中に学ぶのは至難の業ですし, そもそも教授たちも専門分野のプロ中のプロではありますが, 研究法や統計解析のプロではないということを知っておきましょう.
修士課程在籍中に誤った考え方をしていたなと思った僕は, 膨大な時間を費やして研究法について学習してきました. その時は本業以外にも収入源があったので, 〇〇十万円分もの関連書籍を買い漁り, 良書にも沢山出会うことができました. 中でもオススメの書籍を紹介しておきます.
まずは, 日本の疫学界隈では知らない人はまずいないであろう
東京大学大学院医学研究科の康永先生の著書ですね.
自分が今まで見てきた, 考えてきた研究に関する考え方を根本から覆されます. 今までなんとなくデータを解析して有意差出せばいいんでしょと思っていた人こそ読んで欲しいです.
何年に1度かに再燃するp-value至上主義への論争をもうご存知で, 理解されている方はスルーで問題ありません.
元京都大学大学院医学研究科の木原正博先生が翻訳されている著書です.
大変読みやすく研究法の基礎がまとめられています. ただし, 今まで雰囲気でなんとなく統計解析をしていた方は最初のほうは読んでも意味が分からないことが多く苦労するかもしれません.
最後は, 京都大学大学院医学研究科 医療疫学分野の教授 福原先生の名著
こちらは, 京都大学大学院へ入学するすべての院生のテキストになっているようです. どちらかというと研究初心者の方向けなので, 入学前にこの書籍の内容を理解しておくと, 在籍予定の研究室でどんな研究ができて, どんな研究はできそうにないかが頭の中で整理されて, 予め研究テーマを絞って考えることができてオススメです.
(2) 院生が使える研究資金 , 設備, データベースの確認
研究室の特徴 , 強みを熟知しておくことは重要です. 資金や設備によっては自分が行いたい研究ができない可能性が高くなります. そうすると入学後にいきなりモチベーションが下がってしまうなんてことも十分にあり得ます.
研究資金に関しては研究室の予算から使わせてもらえるのか, 毎年院生が出願できる助成制度があるかを確認しておきましょう. 出願には書類審査が必ずあるので, 早めに作成に取りかかっておくとバタバタしません.
また, ランダム化比較試験などの介入研究をする気がないのであれば, 使用できるデータベースを確認して, どんなデータが蓄積されているかは把握しておいたほうがいいでしょう.
最近流行りのDPCデータを扱える研究施設は限られているので, 確認が必要ですし, 統計解析に関してはデータの数が膨大なためエクセルファイルで管理することができません. したがって データの切り出しや解析は外部委託をお願いしなくてはなりませんので, 予め委託先を決めておくのも良いでしょう.
(3) 研究テーマに関する文献レビュー(+ まとめ作業)
むしろしていない人が圧倒的に多い部分ではあると思うのですが, 入学前から研究テーマに関連した文献をレビューしてまとめておく作業は, 入学後の自分をとてもラクにしてくれます. 僕はかなりの機械音痴なのでipadで華麗に論文を管理して〜 なんてことがとても苦手です. 便利なアプリケーションもあるのでしょうか, そんなオシャレなテクニックはあいにく持ち合わせておりません.
かと言って, ここまで紹介しておいて後は自分で考えてレビューからまとめ作業まで頑張って下さいというのもひどい話しだと思いますので, 僕が実際に行っているレビューの方法やまとめ方については後日まとめようと思っています.
文献をどのように管理するかは個人の好みもありますので, 右も左も分からないような方がいらっしゃれば, あくまで一例として次回の記事を参考にしてみて下さい.
(4) 研究計画のスライド作成・倫理審査研究計画書や説明文書の仮作成
思いったが吉日!いい研究アイデアが浮かんだら早速データを取って, 解析して学会発表だぁ! なーんて, こんなスムーズに研究できたら苦労はしません.
多くの研究室では, 研究実施前に月1あるいは2ヶ月に1回ペースでリサーチミーティングというものが開催されます. 僕の研究室では自分の研究計画をパワーポイントでまとめて, 背景から方法, 結果が出たあとの展望までを細かくプレゼンテーションします. 特に介入研究では不測の事態が数多くあることが予測されるため, そういったアクシデントが起きたときの対処などを研究室の院生や先生に細かく指摘をいただいては修正を繰り返すという作業を約1年かけて詰めていきます. もしも合格が早々に決まっており, なおかつ研究テーマが既に思い浮かんでいるのであれば, プレゼン用の資料は作成しておきましょう. 自分が考えていることを文字情報だけで伝えるというのはとても難しいです. 聴いた人が建設的な意見を言いやすいような内容にしておくとスムーズに研究が進むはずです.
さらに, 研究テーマの骨格(アウトライン)がかたまってきたら, 研究計画書の作成にも同時に取り掛かるとよいでしょう. 研究計画書の作成が僕は一番嫌いなので, 記載できる部分があれば随時書き足すようにしています.
今回これら2つを, 入学前に準備しておいたほうがいいとオススメする理由は, 修士課程の時間的制約をかいくぐるためです. 基本的に修士課程は2年間で修了することになっています (僕は長期履修制度を利用したので3年かかりました). 入学後にさらに実感することになりますが, この2年間は本当にあっという間です. 2年目の9 , 10月に修士論文を提出することを考えると, 1年目の終わりから2年目の4 , 5月頃には研究が終了しているのが理想です. となると, 倫理審査研究計画書などの提出が遅れてしまうほど取り掛かりがどんどん遅くなってしまい, 修論提出がギリギリになってしまうこともあります(当時の僕). 入学後になるべく研究のデータ収集に時間を割けるよう, 入学前から準備できる資料や提出書類などは指導教員に確認し, 取り掛かっておくと良いでしょう.
(5) 貯金
この記事をみている方が, 働きながら大学院へ進学するのか, それとも大学院1本で考えられてるのかはそれぞれだと思うのですが, いずれにしても金銭的余裕を作っておくことは重要です. そういった点で, やや大変ではありますが社会人大学院生として進学することがオススメです. やはり収入源があるとうことは心の余裕を確保することにも繋がりますし, その他にも沢山のメリットがあります. 事実社会人大学院生になって後悔したことは一度もありません. ただし, 中にはカリキュラムの問題で日中働くことが困難な大学院もあるので, そこは事前に確認しておきましょう.
ここからはちょっとディープなお金の話しになります.
まずは入学から学位取得までにかかる費用をリサーチしましょう.
参考までにこれは僕が通っている大学院の学費です.
入学金 282'000円 (初年度のみ)
+
年間授業料 535'800円 × (修士課程2年間 + 博士課程4年間)
合計 3'493'600円
かなり立派な結婚式が挙げられますねw
ちなみに, 国公立大学院に準じた授業料なのでこれでも安いほうになります.
ではさらにもう1つ参考までに, 某私立大学大学院でかかる学費です.
入学金 300'000円 (初年度のみ)
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年間授業料 900'000円 × 修士課程2年間
+
施設設備資金 350'000円
+
実験実習料 50'000円
+
年間授業料 600'000円 × 博士課程4年間
+
施設設備資金 100'000円
+
実験実習料 50'000円
合計 5'005'000円
海外と国内で1回ずつ結婚式が挙げれそうですねw 恐るべし私立大学大学院w
ここまで見てお分かりいただけたように, 大学院にかかる学費も馬鹿になりません. もしも進学をお考えでしたら安定した収入源を確保しつつ, 合計の学費の半分程度の貯金があるのが理想的でしょう. 僕は次年度の学費を貯金しつつ, 生活防衛資金としての貯金も少額ではありますがここ最近始めました.元々物欲の強いほうだったのですが, 最近はミニマリスト傾向で, お昼の弁当代でお金を使うくらいです. お酒もタバコもギャンブルもしないので, その辺の支出が抑えられている分, ストレスはあまりありません.
可能な範囲で, 年間の総収入や, 貯金可能額, 支出額を把握しておくと計画が立てやすいと思います. 生活費がギリギリの状態で自己投資にお金を掛けすぎるのは精神衛生上危険ですので, 絶対にやめたほうがいいです.
最近はCOVID-19の影響で, ほとんどの大学院でオンライン講義が導入されており, 交通費や時間などの心配をすることが少なくなってきています. 学費以外のコストがかかりづらくなっているのは, 社会人大学院生にとっては追い風だと思います.
ある程度の貯金ができるまでは, 実家で過ごしたり, 進学を遅らせたりして金銭的余裕のある状態で, 進学するのがオススメです.
その他
論文執筆をスムーズにするためにも文献管理ソフトの選定は重要です.
文献管理ソフトとしての王道はEndNoteでしょうが, やや高額で手が出しづらいです. ウェビナーに参加しただけで実際使用したことはありません.
Mendeleyは無料で使える文献管理ソフトとして先輩にオススメしてもらったのですが, 僕はあまり馴染めませんでした. 使用方法はネットで検索すればいくらでも出てきます.
最近は専らZoteroを使用しています. 論文の書誌情報のみの取り込みになるのでPDFで本文をみることはできませんが, 動作が速いのでストレスがあまりありません(デスクトップに論文PDFがあれば開ける).
是非色々と試してみて下さい.
次にコラボレーションツールですが, 研究室でTeamsやSlackを使用しているところがコロナ禍で格段に増えてきましたね.
もし在籍予定の研究室や協力をお願いする予定の研究室が使用しているツールがあれば, メンバーとして招待してもらいましょう. 基本的にメールのような堅苦しい前置きを飛ばして, チャット感覚でコミュニケーションが取れるので, プロジェクトをスピーディーに進めたい人にとっては大変便利です. 操作も難しくないので, 運用方法に慣れておくといいです.
ちなみに僕が在籍している研究室はメールでのやり取りですw
職場はTeams で, 県士会のやり取りはslackを使用しています.
いかがだったでしょうか?
今回は大学院へ進学する前に準備しておいたほうがいいことについてまとめてみました.
恐らくですが, 僕の性格上かなり慎重派な意見に偏っていることをお許しください.
次回は文献レビューや, そのまとめ方について記事にしようと思っています. 程度が分からないのですが, ややマニアックになると思いますので, なるべく分かりやすく解説できればと思います.
それでは, ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
皆さんの参考になれば幸いです.
またねー!