ロマンポルノ無能助監督日記・第34回[『少女暴行事件・赤い靴』と『魔法の天使クリィミーマミ』と島田満さん]
撮影所に大悪評が巻き起こった『宇能鴻一郎の濡れて学ぶ』は、伊藤秀裕監督・渡辺良子主演『猟色』との同時上映で6月10日(83年)に公開され、客の入りも相当悪かった。
鈴木潤一監督は、この後の児玉高志監督『ケンちゃんちのお姉さん』(12月2日公開)のプロデューサーとなり(当時、監督がプロデューサーを命じられるのは“降格”というイメージがあった)、何か出演者トラブルがあったようで、鈴木さんも児玉さんも、その後2年ほど仕事が無い状態になってしまった。会社から干されたのだ。
前回でも書いたように、僕はこの年の末に『宇能鴻一郎の濡れて打つ』で監督デビュー(公開は翌84年2月17日)することになるのだが、それまでの間は、上垣保朗監督・井上麻衣主演『少女暴行事件・赤い靴』(7月22日公開・崔洋一監督『性的犯罪』と同時上映)、2時間TVドラマ『白い涙』(中井貴恵主演・佐伯孚治監督)、お正月映画の五月みどり主演・小沼勝監督『奥様はお固いのがお好き』(12月23日公開・山城新伍監督『女猫』と同時上映)の現場で、3本チーフをやったが、ちょっと焦燥感にかられていて、思い出しても楽しく無い日々が多くて、記憶も記録も曖昧になっている。
今にして思うと、脚本も書いた『濡れて学ぶ』の失敗で、自分の才能に自信を失いかけているのを認めたく無い気持ちが無意識的にあっても本心を抑えて隠し、監督への道が遠のいたかも知れないという焦りから“他罰的”になっていて、気持ちが荒れていたようだ。
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