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拝啓,磐梯会津へ【渡辺記念育成財団】
こんなことを書くのは今しかない。
あるヒントを見つけた一年だった。
もっと大人になると、
きっとこの一年の出来事は忘れてしまうから、
大切に引き出しにしまっておきたい。
ちょっと長くなってしまったけど、
最後まで読んで欲しい。
ここまでのあらすじ
遡れば、昨年の3月、
「他の世界を見に行きたい」という理由に、
社員にまでしてくれた西野さんの会社を卒業しました。
ああでもないな、こうでもないな。
ふらつきながら、よろけながら。
気づけば自分の「やりたいこと」をググる自分。
そんな時、ある財団のHPを見つけました。
秋元康さん。小山薫堂さん。平井一夫さん。
日本を代表する、エンタメを作ってくれた方々にお会いすることができる、夢みたいな財団があることを知りました。
調べていくと、菅田将暉さんや松坂桃李さんなどを抱える芸能プロダクション トップコートの渡辺万由美社長が設立された「渡辺記念育成財団」という財団で、25歳前後のエンタメ業界のプロデューサーを志望する若手社員/学生を集め、育成する「みらい塾」という事業を行っていました。
HPでは伝わりづらいのですが、この塾のプロデューサー育成事業の力の入れ具合は凄くて、理事長がこぞって集められたエンタメ業界の雲上人の方々に胸をお借りることができています。(現在、4期生募集中。)
同世代との出会い
ぽっとでの僕の他には、既にプロデューサーとして名を挙げている人もいたり、それぞれの全く違う背景を持った優秀な同期と出会うことができました。(この4人は必ず売れるので、注目です←)
東宝プロデューサーの栢木くん。作ってくれる料理が絶品。
アイドルプロデューサーの岩上くん。サッカーが上手い。
テレビ局内定の端山くん。ピクサー大臣。
90万フォロワーのジェンさん。梨泰院クラスのイソに似ていると話題。
本当にお恥ずかしいのですが、
正直応募した時は、"プロデューサー"が何をする仕事すら具体的にわかっていませんでしたが、エンタメ業界で活躍する先輩でもある同期のメンバーに本当に助けられました。
それぞれが違うジャンルのエンタメを作っているので、それぞれのぶっちゃけ話をつまみに飲むハイボールが何よりの楽しみです。
コロナの影響で、財団の前半戦はエンタメ業界の大ボスとのご対面はオンラインに変更になってしまいました...
いつかリアルでもご一緒できるように...その時、までがんばります!
後半戦からはリアルの体験もともない、活動が本格化していきました。
一年間の学びを形に
財団から、最終課題として、こんな課題をもらいました。
①エンタメの力で『磐梯会津』のプロモーションせよ
②もちろん考えて終わるんじゃなくて、実現まで自分たちでやってきてね
この無茶振りの感じ、どこかで身に覚えがあるぞ...
舞台となった福島県の『磐梯会津エリア』は、東京から車で4時間程度かかる、大地に囲まれた田舎町でした。会津磐梯の中心には、磐梯山と猪苗代湖が広がっていて、それらを取り囲むように現地の方々の生活がありました。
かろうじて、僕は"アルツ磐梯"に友達と一度スノボをしに行ったことあって、宿舎からコンビニまで車で15分かかったエピソードが心に残っていました。
『あそこにはなにもないから...違うところの方が...』
ココだけの話、場所を聞いた時、ハズレくじを引いたような感覚でした。笑
それからというもの。
平日は都内で仕事。
週末は磐梯で会議。
9月からはこんな生活を繰り返し、合計8回の訪問を行いました。
さつまいも。プチトマト。ネギ。現地農家さんの旬の野菜を収穫を体験。
採れたての現地の野菜やジビエを使ってBBQ。
現地の若手農家のジオファーマーズさん。
(飲みの席で、地域プロモーションの現地の窓口として全面的に協力していただけることに!)
本企画のメンターの本田さん。
地酒を片手に、愛のある特別なお話。
今後、本田さんに、足を向けて寝れません。
秘境。エクストリーム天然温泉。
このままだと遊んでいる?という声が聞こえてきそうなので、宿泊していたLACで、しっかり会議してる感じの写真もお届けします。
結論、磐梯は僕の第2の地元になりました。笑
(僕の心は山の天気よりもすぐに変わります)
なんと言っても、
やっぱり現地の人が魅力的で。眩しくて。
「会津の三泣き」という、現地の気風を表した言い伝えがあるのですが...
「会津の三泣き」
①初めて会津に来た人は、よそ者に対する会津人の厳しさに泣き
②やがて会津での生活になれてくると、温かな心と人情に触れて泣く
③そして最後、会津を去るときには、離れることの辛さに三度目の涙を流す
現地の方々の人情に、泣かされました。
この言葉にほんとに集約されているなと。
この勤勉で実直で真面目な、
この農家さん達のためになにができるか、
磐梯のためになにができるか、
沢山考えを巡らせました。
「綺麗な名所を繋げただけのコテコテの観光プロモーションビデオって、めっちゃ嘘くさくて、イケてないよね。」
プロジェクトが動き出したのは、メンバー全員が共通したこの違和感からでした。
地域プロモーションのテンプレートを作ってきた日本の先輩方に、五人揃って、石を投げる準備を始めた夜となりました。
今までにない『映画』を作ろう
自分たちのやりたいことだけを載せた一方通行なコンテンツを作っても、磐梯で暮らす農家さんの喜ぶものにできません。
ありふれた地域プロモーションを反面教師に、僕たちは早々に「押し付けがましい地域プロモーション」を猪苗代湖に放り投げ、磐梯の「ありのまま」の姿ををいかに魅力的に伝えるかを考えはじめました。(長々と説明してきましたが、やっと「エンタメ」の話です。)
興味の引き出しを作ってくれるのはエンタメ。
それぞれの得意技を持ち合わせ、いかに広がるコンテンツを作れるか。
沢山の于洋曲折もありながら、
最終的には「みんなが喜ぶ頓智を作れるのはエンタメの力」、
完全にオリジナルのストーリーに載せて、磐梯の魅力を発信することを決意しました。
当初、周りのメンバーの映画偏差値に負けてられないと思い、睡眠と引き換えに閲覧した映画の数は、120本の映画を突破しました。
中でも一番、衝撃を受けた映画は「えんとつ町のプペル」。
みらい塾の活動として、折角やるなら全員やったこと無い役割でやろうということで、短編映画企画が進んでいきました。
普段、東宝でPをやっている栢木くんが映画業界の生の情報をシェアしてもらいながら、脚本・監督に。
統括Pが岩上くん。
ビジネスPが端山くん。
宣伝Pがジェンさん。
企画Pが僕。
(この経験が、僕の中の考えを変える体験になりました。)
予算獲得。
映画企画作り。
ビジネス・宣伝企画作り。
予算・スケジュール管理。
キャスト・スタッフ・ロケ地の決定。
ご飯・移動・宿泊の手配。
行政・現地スタッフ協力のお願い。
備品管理。
現場調整。
コロナ対策。
など。
それぞれ助け合い(半分喧嘩し)ながら、仕上げていきます。
撮影前の最後の2週間は本当に忙しかった。
「プロデューサーは現場でやることないっしょ」と高を括り、現場の人件費をカットする為、現場制作部として名乗り出たプロデューサー陣。
この後、しんどすぎて死にました。笑
クリスマスと年末を返上して、撮影に参加してくれた総勢20名以上の制作スタッフの方々には、本当に感謝しかありません。あなたたちがいなかったら、映画は完成しなかった。
「撮影が押してます」
「雪が降っててドローンが飛ばないです」
「突然、濃霧に襲われて、撮影がストップしました」
インカムには望まない状況報告が、何度も飛んびこんできた。
最終日、カットが入り、OKがでる。
「クランクアップです!」
磐梯の空に拍手が響く。
トラブル続きの4日間でしたが、無事、事故なく、感染なく撮影を終え、最高の素材を撮ることができました。
是非、予告編をご覧ください。
沢山の方の感謝を載せて実現した
12分間の短編映画『YELLOW』
作品のあらすじ
物語の主人公である、オンライン世界の住人「Yellow Man」が、実世界に飛び出てきて、ひとりぼっちの少女と出会う。「Yellow Man」には、「実際にその土地々々の魅力を感じてほしい」「籠もってないで飛び出そう」という、オンラインでの生活を強いられる現代人へのメッセージが込められている。
キャストは、ドラマ「テセウスの船」「極主夫道」、映画「ステップ」「永い言い訳」ご出演の白鳥玉季さん。
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「半沢直樹」映画「キッズ・リターン」ご出演のモロ師岡さん。
そして、エキストラで、磐梯町のご家族にご協力頂きました。
作品をどう届けていくか、どう広げていくか。
映画は、短編映画祭『SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2021』に出典後、独自のプラットフォーム『フィルムギフト』(開発中)での一般に配信していきます。
メインターゲットとして磐梯の人が自発的にお金を払って作品を届けていく体験は、沢山の人に届いて欲しいと、心の底から思います。
エンタメの力で『磐梯会津』のプロモーションせよ
この企画を通して出会えた人に感謝して、
携わってくれた人を磐梯ファンにする、
映画をみてくれた人に磐梯を思い出してもらう。
そんなあたたかい世界を届けていけたらと思っています。
プロデューサーとは「ルフィー」だと思う
率直に、
面白いと思えた。
こんな仕事があるんだと思った。
これしかないと思えた。
仲間を集め、最初から最後まで全体の舵をとって進めていく船この仕事は、大真面目に、一言で表すと「ルフィー」そのものに見えた。
これからは、自分が考えて、自分が動いて、自分の中にいる"プロデューサー像"を育てていきたい。
ずっと考えていた自分の「やりたいこと」の答えのヒントが、出たような気がしました。右も左もわからなかったやつが、結果的に、プロデューサーいう仕事はこれは自分が目指すべき姿だと言えるまでになりました。
エンドクレジット,特産品,ツアー
映画の制作費を集めるクラウドファンディングが【残り3日】となりました。
今回の撮影でかかった、映画の総制作費は300万。
これは、前例がなく、手探りで進めている部分もある僕らにとって、まだまだ作品単体で取り戻せる額ではありません。
地域の企業、農家さんに全面協力頂き、
地の魅力が詰まった返礼品。
実際に現地を堪能するツアー。
が実現できました。
そして、すべてのリターンにはエンドクレジットへの名前の掲載を。
一緒に届けたいと思ってくれたら、
最後のひと押しに、力を貸してください。
支援出来なくても、発信してくれる人がいたら、うれしいです。
(もちろん、そうでなくても、いつか磐梯会津に足を運んでくれたらそれだけで、僕はうれしい。)
そして、
理事長である万由美さんから、
映画の最終データをご覧頂いて、
こんな言葉を贈って頂きました。
磐梯に浸れました!
オープニングの世界観と
本編のあたたかい力強いメッセージ。
皆がやりたい事が伝わりました。
この言葉をもらって、
改めて頑張ってよかったなあ。。。
ひとつ報われた思いでした。
でも、きっともっと沢山の人に届いてくれるはず。
現地の方々と一緒に見たら完成した映画を、
きっと泣いちゃうかもなあ。。
最後に…
自信をもって一言だけ。
拝啓,磐梯会津さま
あなたに見てもらう姿を思い浮かべながら、『ありのまま』の魅力が詰まった短編映画『YELLOW』が完成しました。
一人でも磐梯会津の多くの人に届くことを心から願っています。
一緒に届けていきましょう。
小田周介
最後までお読み頂きありがとうございました。