#6 蓮根模様
ある商品をインターネットで買った後で、
「こんな類似の製品はいかがですか?」と勧めてくる機能は、リコメンド機能と言われています。
何度も繰り返し買う商品だったら違うかもしれませんが、
「もう買ってしまったんだから今さらね…」と思うことが多く、私はほとんど使うことはありません。
ただ、Amazon Musicのリコメンド機能のおかげで、何曲かいい曲に出会いました。
リコメンドされなかったら決して聞くことはなかったであろう名曲。
その中の一つが島崎智子さんの『蓮根模様(れんこんもよう)』です。
これほどあからさまで、思いがつまった重い歌には、最近、出会ったことがなかったです。
「この歌には作った人の血が流れている」と言っても大げさではない気がします。
英語で感動することをmovedと表現しますが、魂(自分の中の大切な何か)を揺さぶられました。
恥ずかしいですが聴いて泣きました。
詳しく歌の解説をするのも野暮な気がしますので、YouTube等でぜひ本人の歌う歌を聴いてもらいたいのですが、
この歌と学校で教えている学生の姿とがダブるときがあります。
一教員として、学生のみんなが初めに持っていた志(こころざし)を最後まで持ち続けて
どうかそれを果たしてもらいたい、という親心的な気持ちがまず最初にあります。
夢や願いが叶うことに越したことはありません。
ただ、もちろんそれだけではありません。
10代後半は、社会の現実と初めて接触して、理想と現実のギャップを知るときでもあります。
現実は思ったほど甘くなかったり、汚かったり、自分の初志だって心変わりすることだってあります。
現実の壁にぶつかって挫折するのは、大人になるために欠かせない通過儀礼なのかもしれません。
そんな時は、「選択を間違った」「今までの努力は無駄だった」
「取り返しがつかない。もう終わりだぁー」と思うかもしれませんが、
もちろんそんなことはありません。
それまでの努力は無駄ではありません。
100%すべての願いはかなわなくても、かなえられるものも中にはあるし、
努力したことで、思いもよらなかった方向に道が開けていくことがあります。
そんな世知にたけた、ろうかいな大人の知恵を学生のみんなにわかってもらいたいと思っています。
一生懸命に努力して追い求めたことで、結果として、
探していたものとは違う、別の模様のドンブリが手に入ることだってときにあるものです。
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