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チビゴキブリの産卵方法

 先日、「Edaphologia」にて、我々の論文が公開されました。本論文では、これまで、産卵方法が解明されていなかったチビゴキブリAnaplectella ruficollis (Karny, 1915)の産卵方法を初めて報告しました。

 詳しいことは論文中に書いているのですが、簡単に説明すると

・産みだした淡褐色の卵鞘を腹部末端で時計回りに 90°回転(右回転)させる
・その後、58~72 分かけて腹部に引き込む
・体内で2~11日間抱卵した後、樹皮などの適した場所に産下し基材で隠す

卵鞘を産み出した直後のチビゴキブリ

 ゴキブリ類の産卵方法は、卵生(卵鞘を産み出し、そのまま産み落とす、または孵化まで尾部で保持する)、卵胎生(一度腹部から卵鞘を出した後、腹部に引き込み体内で孵化させる)、胎生の3つの方法が知られていました。今回のチビゴキブリで確認された方法は卵生と卵胎生の中間的な方法であり、このような方法はゴキブリで初めて確認されました。

 また、卵鞘は隆起縁を中心に左右で形が異なり、左側(回転後背面側になる部分)は凹み、右側(回転後腹面側になる部分)は膨らみ一本のキールがあります。この形は腹部に引き込む際に有利である可能性があります。

 今回は初めて生態についての論文を書きましたが、記録や記載とは違う難しさがありました。特に、チビゴキブリが産卵を開始しているのを確認した時には、数分ごとに、確認しなければならなかったので、1日が潰れることもありました。また、論文で使った画像は遠征先のホテルで撮ったものもあります。

 今後も何か論文を出していきたいと思います。

発表雑誌:Edaphologia
論文タイトル:A unique oviposition behavior and oothecal morphology in Anaplectella ruficollis 
(Karny, 1915) (Blattodea: Blattellidae).
著者:Yanagisawa S., Okazaki K. & Ohgita S. 
出版:2023年1月5日

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