黄色の鍵

数年前のこと、表参道の交差点を 渡ろうとしたところ、突然 自分の名前を呼ばれ
“えっ?!” と、 びっくりして 立ち止まったことがありました。

なぜ、びっくりしたかと言うと、小学生の頃の
ニックネームだったからです。




振り向くと、同じ歳くらいの男性が立っていました。なんだか見たような顔です…
『わかる?僕だよ?』と言います。

『あっ!!! せいちゃん?』

幼稚園、小学校、と一緒だった同級生でした。 しかし 卒業して以来 15年以上会っていません。

驚きすぎて、交差点を渡ることなど忘れてしまいました。

こんな所でバッタリ会うなんて、その確率を思ったら、すぐにお別れをするのは勿体無いと思い、少し お茶をする事にしました。

子供の頃の話や、最近の話などを、互いにしました。
姿形は大人ですが、昔話をすれば、当時の面影が見えてきます。

ふいに、せいちゃんは 真面目な顔で言いました。
せい『 実はさ、僕 …ゲイなんだ』

私 『・・・・えっ⁈ ‥‥ あのさ、知ってるよ?』

せい 『えっ⁈ 本当⁈ どうして知ってるの⁈』

私 『どうしてって、幼稚園の頃から、知ってますけど… (え、知られてないと思ってたの?逆にびっくりなんだけど)』



せいちゃんは、幼稚園の頃から、女の子と遊ぶ事が多く 木登りなどもするけれど、ママごとをしている時間の方が長くて
玩具も指輪セットや、王冠、魔法のステッキなどキラキラした
装飾品ぽい物が好きでした。

肌の色も白くて、喋り方も柔らかく 他の男の子とは違う風です。

立派な男児の名前でしたが、その本名が当時全盛期のアイドル・松田聖子に 若干似ていたので、セイコちゃん、セイちゃんと皆から呼ばれていました。

その頃はゲイというものは、知らなかったけれど
“女の子みたいな男の子”
が 居るのは すごく普通の事と、思っていました。

そして、セイちゃんは、

『今 、お姉系の芸人をしているのだけど
親にカミングアウトするのに、とても勇気がいったんだよ』
と、言いました。

(へ~~ 親は、わりと 気付いてないもんなんだな…。)

その後 暫くして、テレビで何度か顔をみたけれど、

最近は、見ません。

これまた 数年前の事、
友人達と、いつも行くBarへ飲みに行った時、とても、綺麗な女性が 近くの席に座っていました。

その周りの方が知り合いだったので、その綺麗な女性も一緒に呑む事になり、話をしていると、

『私 じつは、昔 あなたに 会った事あるのよ。北海道でね でも その時は私、、、男だったんだけど!』
と、言います。

『え!?』

なんの事か全くさっぱりわかりません。

しかし、いつの事かと よくよく聞けば、その時の、その場の事を とても覚えています。

顔は覚えていないけれど確かに、その時 そこに青年がいました。

(それにしてもよくこんな所で偶然会ったな!ものすごい確率だ)


今は身体も全て女性になり、戸籍上も女性とのこと
『まぁ、御立派になられて…。』

この偶然の再会から私達は、友人となりました。

彼女は、今 女性として、猫と一緒に普通に生活をしてます。


私の友人の娘さんのお話

『人は何処からやってくるのか』

について、一気に語りだした娘さん(6歳談)。

『雲の上にアース様(本名:ミラクルフェルシェ)
という女性が、沢山の卵を守っていて、
偉くて優しい夫婦のところへ、その卵を投げてくれる。
その卵は、男の子なら青いカギ、女の子なら赤い鍵、
ニューハーフなら黄色い鍵を持たされ、赤ちゃんとなって産まれる。

産まれた瞬間、その鍵はアース様の元へ返され、
また別の卵に引き継がれる。
大昔からずっと繰り返されてた事。』

とのこと、らしい。

そうか、ということは、彼ら(彼女ら)は、黄色い鍵を、渡されてたんだな。

やんちゃな、息子2人を、
追いかけながら毎日、育児しているけれど、もしかしたら、将来
『実は、ボク黄色い鍵なんだよ!。』
と、言われるかもしれない…。
(だったら、今から大人しい女子ぽい性質であってほしいけど)

えっ? 息子が娘へ?…。

もし、そうだったとしても、その時は 静かに、受け入れよう…
と、暑い日海みながら、考えてました。

“女の子みたいな男の子”

が、子供の頃からいつも近くにいたので、
そういう子がいるのは普通の事だと、自然に思っていましたけど、
自分の子供が… と思うと、やっぱり 驚いてしまうかもしれません。


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