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【身体知♡】

30代に武道に目覚め、合氣道、杖道、居合道の3つの武道を習っていたことがある。男性に混じって、夢中で稽古をして、少しずつ出来ることが増えていくのがとても楽しかった。もっと上達出来るようにと、昔の武道の達人の伝記や、ダンサーのフレッド・アステア、一流アスリートのマイケル・ジョーダン、歌舞伎役者の玉三郎さんなどの身体の使い方の本を読んだり、動画を観たりして、身体の仕組みについて自分なりに理解を深めた。その時、初めて知ったのが「身体知」だった。

私たちの身体は、60〜80兆個の細胞からできているというが、世界の人口が70億人だからその約1万倍となる!すごい数の細胞たちが、バランス、調和してこの身体を維持していることだけでも、ものすごいことだと思う。

日々刻々と、情報や物質を全身に巡らせて、私たちのいのちを動かしている。その小さな細胞一つ一つに知性があり、それを「身体知」という。60〜80兆個の知性を使って膨大な量の仕事を無意識のうちに緻密にこなしている…まさに奇跡の創造物だ。

そして、優秀な頭脳を結集して進歩した現代の科学や医療を持ってしても、私たちの身体について未だ解明されていないことはたくさんある。

そんな「身体知」を使って私たちは、いろいろ感じて生きている。感覚を使うとは、この「身体知」を使うことだ。
  
なんとなく氣になる…とか、
なんとなく違和感がある…とか、
なんとなく○○○等々

すでに身体の知性が察知していても、言語化されていない感覚がたくさんある。実は、この領域に、ものごとの本質や私たちの真実が隠れているように思う。


やまとうたは ひとのこころを たねとして
よろずの ことのはとぞ なれりける

よのなかにある ひと こと わざ 
しげき ものなれば

こころに おもうことを みるもの 
きくものにつけて いいいだせるなり

(古今和歌集の仮名序より引用)


私たち日本人は、世の中のものごとを感覚で捉え、その想いを一音一音「母音」に込めて歌にしたためた。感覚を大切にして、お互いに共感・共有してきた文化があり、その心の情景を表す日本語を語り継いできた。

大和言葉は、小さな大脳が支配する利己的で理性的なものを遥かに超える、60〜80兆個の身体知が総動員された、自然と調和する利他的で情感豊かな美しい「ことば」として編み出されたものに違いない。

私たちは、頭(大脳)だけに頼らずに、もっとこの膨大な「身体知』(感覚)を大切にして、信頼していいのではないかと思う。身体の声を聞け!

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