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気づけば365日ほぼ使っている、私の仕事道具7選

カレンダーを見て震えている。
2025年が始まって、すでに1週間以上が過ぎたらしい。
先日、「今年(2024年)がまもなく終わる」と聞いて、はて? と首をひねったばかりなのに。

月曜日から、会う人みなさんに「今年もよろしく」と言ったり言われたりしながら、「ついこないだもこのやり取りやったよね? はて・・・・」と思う。 

新年早々、脳がバグっております。

今年が終わる。たいした成果もなく、成長もなく、感謝されることもなく、終わる。

日記、というほどのものではないが、スマホのメモアプリの便利さに気づいてから、なんとなく日記代わりのメモを取る習慣が根付いた。

上の一文は、ちょうど仕事納めとなった(結果的にならなかったがそれはもう毎度のことなのでなんとも思わない)2024年12月27日のメモに書かれたもの。

よかった、と思う。

誰かに多大な迷惑をかけず、大きな事故を起こさず、怒りを買うこともなく、終わったのだから。
50代後半、初老の身としては、ありがたいことだ。相変わらず体はいつもどっかが痛いし、見た目はどんどん老けていくが、それも「そういうもの」と受け入れられるようになった。
辛ければまずはストレッチ、余裕があるときは筋トレ、そしてちゃんと食べて、ちゃんと寝る。夜中に中途覚醒してしまったら、amazonでポチったufitの電動フォームローラーで20分筋膜リリースをすれば再び眠りにつける。 

そんなふうに、老いを受け入れ、セルフメンテのコツも日々更新している。これらをできるのは自分一人の力ではなく、周りに助けられているのだということを忘れてはならんな、とも思う。

と書くと、まるで余生を生きているように思われてしまうかもしれないが、まだまだ仕事への欲はある。
誤解を恐れず言えば、売れる本を作りたいし、売れるために知恵を絞り、手足を動かしたい。読んだ人が同じように手足を動かしたくなる本を作りたい。
つまり、汗をかくのを、放棄するつもりはない。

いわゆる“大手”“総合”と呼ばれる出版社に勤めていると、余裕ぶっこいて働き続けられると思われがちだが、そんなことはない。私の勤め先は労働組合があり、従業員の権利と保障の面では会社と闘ってきた歴史があるので声は上げやすいと思うが、実際に声を上げるのは対価としてとても大きな犠牲も伴う。

また、編集者はある種の人気商売だ。

こちらから著者(作家)に書いてくださいとお願いしても、著者(作家)が「この人(=私)とは仕事したくないな」「この人と組んでも売れるものは生まれないな」と思ったら仕事は成立しない。ライターさんやデザイナーさんも、いくら看板はデカくとも、ポンコツで不誠実な編集者とは、お仕事したくないだろう。

だから、心身のメンテナンスに加え、まだ働く編集者でいるために、身も心も臨戦態勢でいるためのアップデートは必要なんである。

と大上段にかまえてみましたが、何もITのスキルを上げるとか、ビジネス書を年間100冊読むとかではなく(そういう戦略については私以外の編集者がたくさん役立つ文章を書かれているのでそちらを読んでほしい。私もときどき読んでハッとさせられています!)、仕事道具を整えるだけで、なんとなく「ヨシッ!」な気分になるものだ。

今回は、編集者歴30年以上、手書き原稿とファクスが当たり前の時代に社会人スタートし、ワープロで原稿作成してフロッピーディスク入稿、ピッチ(PHS)とガラケーを通過し、パソコンを30万円以上かけて自腹で購入していた時代を経て、見様見真似でデジタルっぽい技術をなんとか身につけてきた私の、手離せない仕事道具についてお話ししたいと思います。

その1:   
まず、校正のときに必須の赤ペン一式。赤ペン? え、ペン!? と、驚かないでください。私はいまだに、確認作業は「紙とペン」なのです。
(紙は、人に渡すもの以外は、一度使った紙、いわゆる“ウラ紙”を使用。あるビジネス書を読んでいたら、「ウラ紙使う人はデキない人」と書かれていてギョッとしました。確かに、紙詰まりとかまあまあ多いし、迷惑ですよね・・・・・・)

そして赤ペンは、買い占めたいほど愛してる「ダーマトペン」、油性、ボールペンの3種を常備。これらを紙の質に合わせて使い分けます(ちなみに一説によると、「ダーマトグラフ」は三菱鉛筆の商品名で、一般的には「グリースペンシル」という呼び名もあるそう。ここでは「ダーマト」で統一します)。

ダーマトへの愛が深いのは、どんな紙にも書ける点。加えて、幼いときにクレヨン「クーピー」を初めて手にしたときの感動体験が尾を引いてます。使いごごちが、似てるんです。

その2:
次に、黒の油性マジック。お馴染み、マッキーの登場です。私は文字は大きく、太く書くのが好きなので、極太の使用頻度が高い。そして油性は、「雨に濡れても落ちない」安心感がある。 

書類袋にも、何が入っているかわかんなくなるので(←大丈夫か?)中身を(自分にしかわからない暗号で)デカく表記します。マッキーで書くと、脳に刻まれるようで安心なのです。

その3:
次に(どんどんいくよ!)、老眼鏡。もうこれはね……いくつあっても足りません。そして、持ち忘れたときは買わざるを得ないため、いつのまにか数も増えました。 

その4:
拡大鏡は、ペーパーウェイトタイプが便利でおすすめ。初めて使ったときは、「ゲラの上に置くだけで焦点が合う! ちっちゃなキャプションが読める!」と感動したものです。

その5: 
次に、クリアファイル。自分用と、ひと様に渡す用で使い分けます。ひと様用はできるだけ新品を用意しますが、自分用は使い回す。ときどき、ミュージアムショップや、推しのアイドルのものも混ざり込みます。ほんとは勿体無くてほぼ使ってないんですが・・・・・・。

 その6:
次に、首からぶら下げるタイプのペンケース。 

昔、某美術大学の教授を取材したとき、その方が身に着けてるのを見て一目惚れ。作業中に「あれ?さっきまで使ってた鉛筆がない。どこ?」とキョロキョロして時間をロスしがちな私にとって、いつも胸元で揺れている状態は理想的なんです。

 その7:
最後に、そのペンケースに常に入っている鉛筆。私の年間の鉛筆消費量ってどのくらいなんだろ…と考えると、優に小学生時代を超えてます。しかし小学生の頃に比べ、圧倒的に筆圧の弱くなった今は、当時はまず使うことのなかった2Bを愛用。まさか大人になってから、こんなに2Bの世話になるとは驚きです。 

そしてこれで、なんでもメモるし、タイトル案なども書きます。カバー表紙のラフ案も、必ず鉛筆で。なぜかそのほうがアイデアが浮かぶし、書きながら自分の目指す方向が定まる感じが好きなのです。
チビてきたら、アルミ製の補助軸で延命。これも、小学生時代に使ってたなあ。歴史はくり返す。 

今回の記事は、書いていてすごく楽しかったのですけれど、読んでくださった方のお役に立てたかどうかは、自信がありません。

今年もきっと年末ギリギリまで、ウラ紙を溜め込み、老眼鏡をかけ、鉛筆と赤ペンで作業する年の瀬となりそうです(早い!)。

ではみなさん、良いお年を。ではなく、今年もよろしくお願いいたします!

文/マルチーズ竹下(出版社勤務、書籍編集職)

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