あなたの周りを、とても明るい温かい光が取り巻いています。
この温かい光は、あなたの心を落ち着かせ、あなたに励ましと知恵と勇気を授けます。
そして何気ない日常生活の一コマ一コマに、あなたにくつろぎを与え、疲れた心を癒して、生きる意欲を授けます。
ふと気がつきますと、山肌が青く白雲がたなびき、青い空がどこまでも広がる山頂に腰を掛けています。
山の水を飲んでしばらく致しますと、再び自分が修行している山寺へと帰って行きます。
あなたは、かつて天下にこれほど広い城はないとうたわれた、北条家の家臣の一人娘でございました。
小田原城が落城と聞きますと、戦国の習いとして女子どもは皆、裏手門から逃がします。
こうして泣く泣く両親と別れますと、裏手門から逃がされ、籠に乗せられて、この山並み豊かな山寺へと連れてこられました。
これから先、自分はどうなるのだろう。
その不安でいっぱいでしたが、和尚さんはとても優しい方で、
そうは言われましたが、幼い心に焼き付いた、両親との別れ。
火の手が上がって、城が焼け落ちる姿が、とてもとても拭い去ることができませんでした。
毎日毎日、そのことで悩んでおりました。
今でも責任感や、誰かのために生きるという気持ちが、おそらく人一倍強いのでありましょう。
ある時和尚はこんな話をしました。
このようにして、山紫水明
見事な眺めの山頂において、深く静かに、あなたの心の闇が、不思議の力でほどけてゆきました。
長い間、自分はもっと働かねばならん。
もっとしっかりせねばならん。
その裏には、両親の期待に応えられなかった自分を、あるいは周囲の期待に応えられなかった自分を、許すことができない、そんな思いが潜んでいたかもしれません。
人の一代で、釈尊の悟りを、なぞるような大それたことはできないかもしれません。
しかし、いつか必ず、この釈尊の辿られた、人が自分を許すことを通じて、自分で自分を許すというその悟りの道を、再現する日が来るのであります。
今が、その時かもしれません。
あなたは、自分で自分を許す。
そして初めて人は本当の意味で人を許せるのです。