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濡れた犬のぶるぶると熱エネルギー
こんにちは。
皆さんはお風呂からあがった後、体をタオルで拭きますよね?
それはなぜですか?
え、、、、? 風邪ひくから… ?
はい、ありがとうございます。
では、なぜ風邪をひくのですか?
体が冷えるから?
そうですね、体が冷えるからです。
では、なぜ体が冷えるのですか?
…
なぜなぜ言ってごめんなさい。
もう質問しないので、画面を戻すのをやめてください。
ですが、この「なぜ」こそが科学です。
まずは体が冷える原理を勉強していきましょう。
「熱」とは、エネルギーの一種であり、運動の一つの形態と言われていました。これらのエネルギーは新しく生み出したり、突然消失することはなく、ある形からある形へ変化するだけです。これをエネルギーの保存と言います。(熱力学第一法則)
さらに研究が進み、今日では「熱」はエネルギーの移動の一形態として定義されました。そして熱は、二つの物体の温度が異なる時だけ存在します。やがて熱は二つの物体の間を流れ、平衡に達します。
難しい定義を話しましたが、要は、熱は熱いところから冷たいところに流れるということです。
そして、熱の流れやすさを熱伝導率といい、水は空気の25倍の熱伝導率を持ちます。簡単に言うと、水はあったまりやすく冷めやすいです。
お風呂からあがった時、体表にある水の熱を流れを見てみましょう。
水は冷めやすいので、空気の温度に急速に近づきます。
体温は37度くらいですから、温度の高い体から体表の水へ熱が移動します。
これが、濡れた体が冷える理由です。
汗の理屈も同じですね。汗をかくことで温まりすぎた体温を調節することが可能です。
では、犬の場合はどうでしょう。
皆さんは、髪の毛をタオルで拭いた後、ドライヤーで乾かすと思いますが、野生のワンちゃんはそうはいきません。
犬の体毛は熱を伝導しにくい空気を層状に閉じ込めており、その断熱性を高めています。全身がびしょびしょに濡れてしまうと、通常の水による熱伝導に加え、断熱した空気が全て水になってしまうのですから、体温が素早く奪われてしまいます。
犬はいち早く濡れた体毛を乾かさなければなりません。それが、犬のぶるぶるです。
研究者ディッカーソンは、ラブラドールレトリバーの体毛に印をつけて、両側に約90度ずつ回転することを知りました。
これは、犬の毛が合計180度(半回転)動いていることを示しています。
その秘密は、外皮と筋肉の間の組織にある、コラーゲンと弾性繊維にあります。このタプタプのおかげで、犬は体表を180度ねじらせることができるというわけです。人間ができないのはそのせいです。
犬が可愛らしいのも、このコラーゲンたっぷりの身体のせいなのかもしれません。
それではまた。
参考:マティン・ドラーニ、リズ・カローガー著 動物たちのすごいワザを物理で解く