モンティ・ホール問題を丁寧に解く
「レディース、エーン、ジェントルマーン!
今宵もやってきたあ!一般参加型の究極クエスチョン!
100万円を手にするのはー、あなた!」
デデデンデデデンデーン(照明があなたを照らす)
「あなたはここまでたどり着いたことにより、知力・体力が非常に優れていることが証明されました!
残すは、、運力!
目の前にある三つの扉!
その中の一つが100万円の入っている扉です!
さあ、選んでください!」
…ウイーす。
ぬっひーです。
今日はモンティ・ホール問題について考えていきます。
100万円を手に入れることができる扉は一つ。
あなたは適当に(自分の好きな番号とか、色とか、左右とかで選ぶでしょうが)扉を一つ選びます。
するとここでまた陽気な司会者が、突然別の扉を開けて
「あなたに、最後にもう一度だけ選択するチャンスを与えましょう」
と言ってきます。
この時、二つの扉にうち当たる確率はどちらが高いだろうか、あるいは同じなのだろうか。という問題がモンティ・ホール問題です。
(…結局は同じ二分の一なんだ。己を信じて、最初に決めた扉に決めるぜ…!)
あなたの運命はいかに…!
ーこの問題は、1980年に放送されていた人気テレビゲーム番組、「レッツ・メイク・ア・ディール」という番組で、司会者の名前が「モンティ・ホール」だったことが由来です。
当時新聞コラムの記事を書いていたマリリンは、上の問いに対し、
「最初に選んだ扉から、変えた方が良い。」
と答えたのです。
この回答にアメリカ中の数学者から批判の手紙が殺到したという。
博士たちは皆、確率は変わらないと口を揃えていったのです。
現在、結論から言えば、マリリンが正しいことがわかっています。
多くの数学者を誤らせた「人間の直感」の恐ろしさを後世に語る問題となりました。
さて、それでは問題をといていきましょう。
100万円は左の扉にある時のことを考えます。
ここから、全ての扉を選ぶケースを考えて場合分けします。
①左の扉を選ぶ
司会者は、真ん中か右の扉を開けます。
これはどちらを選んでも結果は変わらないので、今回は右を開けましょう。
ここで、司会者が言います。
選択を変えるか、否か。
結果は、
扉を変える→はずれ
扉を変えない→当たり
となります。
②真ん中を選ぶ
この時、司会者が開ける扉は決まっています。
100万円の扉は開けることができませんから、右の扉を明けますよね。
ここで司会者はいいます。
選択を変えるか、否か。
結果は、
選択を変える→当たり
選択を変えない→はずれ
となります。
③右の扉を選ぶ
②同様、司会者が扉を開けられるのは真ん中の扉だけです。
結果は、
選択を変える→当たり
選択を変えない→はずれ
となります。
もうお気づきですよね?
この問題は、司会者が100万円の扉を知っているということがミソです。
司会者は答えを知っているが故に、100万円の扉を開けることができません。
それはつまり、最初にはずれの扉を選ぶと、司会者がはずれの扉を開けた後、残った部屋は必ず100万円の扉になるということです。
つまり、選択を変えるという行動をとる場合、100万円の扉にありつける確率は、最初にはずれの扉を選ぶ確率になり、2/3になります。
一方で選択を変えないという行動をとる場合、最初に100万円の扉を当てないといけませんから、確率は1/3になります。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。
それは、確率における全ての事象は同様に確からしい(ランダム)という前提のもと行われる計算だからです。
100万円の扉を知っていて、それを避けるように扉を開ける司会者の存在が、確率論を根本から破壊したと言えるでしょう。
モンティ・ホール問題が問題となり得たのは、まさに、司会者モンティ・ホールに問題があったということです。
では今日はこの辺で。
参考:レナード・ムロディナウ著 The Drunkard's Walk