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【お店】 ラベンダーのチーズケーキについて

こんにちは、and Cの西田です。

SNSにはあらゆる美味しそうな商品が毎日UPされて、私達の脳は刺激させられる。

そんな商品の数々、実は語られない多くの物語があると思うのです。

なぜ、その商品をやろうと思ったのか、どういう試行錯誤をして辿り着いたのか。

インスタグラムには完成形の綺麗な写真と少しの補足説明だけで裏話は語られない。

今回は、自分たちのお店の核ともいえるメニュー「ラベンダーのチーズケーキ」について少しばかり語ってみたいと思う。

約 4年前だっただろうか。

私たちは悩んでいた。

BARと古着屋として一緒の店舗でオープンし、当初の目論見ではお酒を飲みながら服を選んでくれればいい。そんなノリだった。

しかし、古着を見たい人は古着だけを見るし、お酒を飲みたい人はお酒だけを飲む。

そうなると当然、客層もバラバラで統一感のあるお店とはいえず、また、お酒を飲みに来てくれるお客さんも「なにか食べるもの。」を求めるようになった。

お酒のつまみといえば、唐揚げや餃子などがすぐに思い浮かぶかもしれない。

ただ、同じ空間に服があると、匂いが出るものや油を使うものは絶対によくない。

そこで、デザートに着手することにした。

とはいえ、私たちはお菓子作りのプロではないので、ドリンクは作れても新しいデザートやお菓子を1から考えることは不可能に近かった。

(モンブランとか最初に考えた人は天才だと思う。)

そして、話し合いの結果、ある一定の美味しさが担保されているチーズケーキを作る方針に決まった。

ここでいう、美味しさの担保とは、

基本、美味しくないチーズケーキは滅多にない。ということだ。

一方で、世の中にたくさんのチーズケーキが溢れている。

そこで、一つ抜きんでるには何かしらの特徴を作ることが必要だと考え、

①グルテンフリーにすること。

②一般的ではない味。

を目指すことに。

①のグルテンフリーについて。

グルテンとは、小麦粉に水を加えてこねたときにできる成分のことを言い、食べ物の食感を増して美味しくする働きがありますが、身体へのさまざまな影響があることで知られている。

つまり、材料に小麦粉を使わないこと。

それと同時に白砂糖は一切使用しないことで、より身体に負担のないものを目指しました。

②一般的ではない味について

これは、他店と差別化する為にはシンプルなチーズケーキを目指すのではなく、変わった味でアプローチすることにしました。

結果的に妻の好みでラベンダーに辿り着いたという感じで、当時はお花を使ったチーズケーキというのが少なかったように思います。

総じて、グルテンフリーにしたのも、ラベンダーの味にしたものも妻自身が食べたいもので、ある種、その業界に居ないからこそ、お客様目線で辿り着けたのだと思います。

ただ、取り掛かってから、すぐに完成したかというとそうではなくて、最初にケーキの本を5~6冊買って手探りで試行錯誤していました。

グルテンフリーで美味しいクッキー生地をどうやって作るか。とか、ラベンダーをどうやってケーキに沁み込ませるか。とか、

通常の営業をしながら試作をしていたので、帰宅してから夜ご飯は適当に済まして、そこからケーキ作りの日々が数ヶ月続いたと思います。

当時は機械もなく、全て手作業で行っていたので時間はかかったし、チーズケーキを試食しすぎるのもしんどいので、時間をかけてゆっくりと完成しました。

それを初めてツイッターに投稿した時には、想像以上の反響があって驚きました。

決してその道の職人だから、プロだから、とかではなくとも多くの人を魅了するものは作れるんだなと感じた瞬間です。

このケーキをきっかけで、ノンアルコールカクテルの幅を広げ、カフェ営業を主に今の形に変遷していきました。

ラベンダーのチーズケーキは、当時の自分達を救ってくれた1品で、1つの商品開発で大きくお店の状況を変えられるのは、飲食業の強みでもあると思います。

お店ではペアリングを推奨しており、ラベンダーのチーズケーキとのおすすめのペアリングはノンアルコールジンNEMAを使った、ボタニカルジントニックです。


このNEMAにもラベンダーが使用されていて、お互いを引き立て合い、相性が良くておすすめです。

ペアリングを推奨する理由は、例えばコーヒーの場合、コーヒーの苦味とスイーツの甘味は基本的に相性が良いとされてます。(コーヒーとドーナツとか最高ですよね。)

もちろん、コーヒーにも浅煎りや深煎りでペアリングのスイーツの甘さを事細かに変えてるお店もあるでしょうが、基本的には事故は起きないと思います。

ところがカクテルの場合、それ自体で味の主張が強く、個性もバラバラ。

ラベンダーのチーズケーキを作った時、ボタニカルジントニックにはよく合うけど、別の金木犀のレモネードには全然合いませんでした。

なので、店舗に来たお客様にはペアリングの案内をさせて頂いています。


あれから、4年が経とうとしています。

店舗の場所が京都でも中心地からは少しズレた場所なだけあって、「1年前に食べて美味しかったので、また来ました。」など、長いサイクルでのリピーターがたくさん居て頂いてます。

そして、4年ぶりに実はいま新しいチーズケーキにも着手しております。

あの時のように、毎日試作に励んでいます。

常に新しいものを作り続けるのは宿命なのです。

        END

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ShunyaNishida
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