
Unity 1週間ゲームジャム お題「ない」に参加した話
久々にUnity1週間ゲームジャムに参加しました!振り返り記事も久々です。
今回作ったゲームはこちら。
文字のない世界の、記号を解読して進めるパズルゲームです。
今回けっこう難易度を上げてしまったのもあり、攻略記事を別途作りました。もしクリアしていない場合は参考にしてみてください。
ちなみにこの記事にはネタバレはありません。
作り始め
前から言語解読系のゲームを作ってみたいな~という気持ちがあり架空文字を使った謎解きなどをぼんやりネタ帳にメモしてました。
今回のお題発表時点では特にこれを作ろうというつもりはなかったのですが、架空文字ではなくて絵を解読することにすれば「文字がない」としてお題回収できるのではと考えました。
ただまあ、現実世界にある文章をそのまま絵に置き換えるだけだとなんか手抜きというか、せっかくなら「その言語がどういう背景で生まれて、どういう人が使っているのか」みたいなことも考えたいと思いました。
というわけで架空言語およびこのゲームを作るときに考えたことを書いてきます。
架空言語デザイン
絵のような言語は現代だとあまりなさそうで、甲骨文字やヒエログリフのような象形文字をイメージしました。なので「文字のない世界の~」とは言いつつ、まあ広義にはこれも文字でしょうね……。そんなわけで、一般的な文化とは異なりつつ、でもゲームを作れるってことは技術レベルは我々の世界と同じだろう……という、パラレルワールド的な世界観で使われているのを想定しました。パラレルワールドで作られたゲームがたまたまこちらの世界でも遊べるようになった、というテイで。
さて、言語を作るときに気を付けることがいくつもありそうです。ざっと考えたのは、
縦書きか横書きか
左から読むのか右から読むのか(縦書きの日本語やアラビア文字などは右からですね)
数字の取り扱いは?(十進数がメジャーとも限らない)
翻字はどうやって行う?(絵からアルファベットなどへの変換ができるのか)
発音はできる?
は~~~~めんどくせ~~~~~
言語学の知見が全くないので突っ込まれたら負けますがまあ……いいでしょ……ということで、この辺は雑に決めることにしました。
文法は1から作ることができなかったので、基本的には英語をもとにしています。「名詞」「動詞」「形容詞」くらいの組み合わせでカタコトで表現できればいいかなというつもりでした。英語の文法としても破綻してたらごめんね
もうちょっとふざけた設定として、パラレルワールドでは犬や猫から進化した獣人が覇権を取っています。
これ。

で、彼らの祖先がそうだったように、彼らは色覚に関して人間とは異なる反応性を持っています。具体的に言うと赤色の判別がしづらいという特徴があり、人間で言うと1型色覚に近いようです。
そのため、特に目立つ色として選びがちなのは「濃い青」と「黄色」という設定があり、広く普及している文字にもその2色が使われています。そしてゲーム内でも、我々の世界とのつながりを示す場所以外では赤色や緑色は使われていません。(実際のところは彼らの世界に他の色もあると思われますが、プリミティブなパズルゲームでは原色が使われがちなんでしょう。)
これは謎解きに全く関係しませんが、グラフィックデザイン上のルールとして設定しておくことでなんとな~~~くその世界の統一感を演出できたんじゃないかなと思っています。
そんなわけでどういう人が使っているのか、どういう背景でそのようなデザインなのかを考えながら言語を作るのは楽しかったです。とはいえゲーム的な都合でこじつけた部分も多く、実際に人工言語を作れるような知見では全くない……。この辺りは本格的に勉強してみたいですね。
また、解読問題作成に当たっては日本言語学オリンピックという学生向けの言語学パズル問題を参考にして作りました。問題文からルールを導き出し回答するという、パズルゲームにも似た解き味です。言語解読系のゲームを作るうえで、実際の言語を勉強しつつパズルのアイデアを得られるとても良い資料でした。
パズルデザイン
パズル本体の作成方針ですが、言語解読と合わせてルール解読系のパズルを組み合わせたら相性がいいんじゃないかと考えました。主に参考にしたのは7 Days to End with YouとUnderstandというゲームです。
特にUnderstandはゲーム性も含め近しい体験かなと思います。一方であまりそちらに寄せすぎないようにとも考えたところで、最終的に言語解読とパズル試行を並行して進めないといけない、というそこそこ独自性のある差異は作れたんじゃないかなと。
そういえば、本来はあくまでパラレルワールドのユーザーに向けて作られたゲームである、という設定はけっこう遵守するようにしました。具体的には、仮に言語解読要素がなくともパズルとして成立するようにしたということがあります。つまり、この言語のネイティブ話者が見てもきちんと楽しめるようにするということですね。
クリアした方はお分かりかと思いますが、言語解読要素を抜いても後半は非常に難易度が高いです。これは上記の設定に基づいたものなんですが、結果的に言語解読と合わせて死ぬほど難易度が上がってしまいました。
反省……。
多くの方にご意見いただいてたびたびアップデートしたのですが、やはり難易度調整は大いにミスった感があります。自分の中ではこの道筋で解けるだろう……という予測があったのですが、ゲームに対して未知のユーザーが考える選択肢ははるかに多いもので、かなり悩ませてしまいました。構造的に「言語の完全な解読ができているかわからない状態でミスする」というのを避けられない(ある程度意図したものではありますが)ことに結構なストレスを感じさせてしまったと思います。
アイデア自体の着眼点はよかったと思うのですが、ユーザー体験というところでもう二・三歩改善しないといけないと感じました。(今はアップデートで多少まともになっている……はず……)
反省点は多かったですが、やりたかったことにチャレンジできたよい回でした。今後の活動に大いに生かせると思います!
個人的おすすめゲーム紹介
最後におまけとして、遊んだ中で個人的なイチオシゲームを勝手に紹介します。今回気になる作品がとても多かったです!
スティムレス/池田明平さん
カードゲームという点と雰囲気からInscryptionオマージュと思いきや、かなり独自性のあるオートバトル戦略ゲーム。
プレイヤーの介入はゲームルールの改変だけで残りは自動進行なのですが、しっかりカードゲーム的なシナジーがあったり、経過時間がスコアになるため処理に時間がかかるコンボは不利になるなど一筋縄ではいかない思考要素があります。サクサク進むアクションは気持ちよく、ゲーム性に関連したフレーバーも素敵です。ぜひこのゲームのさらなる展開を見てみたいと思わされました。
絶対にクリアできないダンジョン/ぐみしさん
とある要素を使った謎解きパズル。
驚くようなギミックを使用したパズルゲームです。しかし一発ネタに終わらず、きちんとパズルとして気持ちよい謎解きが用意されています。ギミックを活かした納得感ある攻略、上手なヒントによる誘導と、非常にレベルデザインが優れておりうならされてしまいました。
ハイパーはかない人/竹林さん
全裸で踊るおじさんの股間をできるだけ見せないようマウスで隠す、リズムアクション(?)ゲームです。
ネタ的な面白さも随一なのですが、リズムを正確にとらえることで有利に股間を隠せるというゲームシステムも秀逸です。今までのリズムゲームに無い遊びの組み込み方だと感じ、爆笑しながらも感心するすごいゲームでした。
ピックサバイバル/寸前みやこさん
文字で展開するサバイバルアクションゲーム。
ほぼUnity標準のUGUIで構成されており、ゲームの構成としてはシンプルながらもしっかりと緊迫感あるアクションが成立しており驚きです。練られたテキストやサウンドと同期した演出など、グラフィックに頼らないこだわりが詰められておりとても丁寧な作品だと感じました。
両替パズル/リュウマ@こてひなさん
硬貨を使ったマージパズル。
なじみのあるモチーフでしっかりとパズルが成立しており、ほどよい難易度でつい何回も遊んでしまいます。サクサク進めると思い適当に触っているといきなり手詰まりになることもあったりと、短い時間で思考と気持ちよさが味わえるとてもよいパズルでした。
そんなわけで久々のu1wでしたが、楽しく作れ、またいろいろなゲームを遊ぶことができました!個人的にはとても満足です。
また次回、余裕のある時にチャレンジしようと思います!