Capex がやってきたことやっていくこと2/3
【本連載の構成】
1. Capex 会社紹介・Capex が実現したい未来
2. Capex 設立から PMF まで(本記事)
3. 事業領域の選定背景
参考: bitFlyer での経験(2019年8月)(*Facebookの投稿に遷移)
会社設立からプロダクトローンチまで
2019 年 8 月に前職 bitFlyer を退職し、翌月株式会社 Capex (キャペックス)を設立しました。Capex は「プロダクトを通じて人々がより豊かな生活を送ることができ、よりよく能力や機能を拡張できる社会を実現したい」という思いから、機能拡張 = Capacity Expansion を省略して名付けました。
設立当初は行う事業が決まっておらず、赤坂に 1 畳くらいの事務所用スペースを借りて、事業候補の調査や検討をしていました。興味関心のある分野で、大きな課題があり、課題に対して効果的にアプローチできる技術進歩がある領域の調査に半年くらい時間をかけました。
調査や検討を進めれば進めるほどやりたいことや知りたいことは増えていき、資金的な問題だったり、時間的な問題だったりで「これ以上進んだら戻れない。」と思う、本格的に進める覚悟が必要な瞬間が訪れたのを覚えています。うまくいくかわからない状況で多くの人やお金を巻き込んでやっていくこと。世の中にどれほどのインパクトを与えられるか。人に否定され続けて誰にも相手にされなくなってもやっていけるか。5 年 10 年やって何も残らなくても後悔しないか。自問自答を繰り返していました。ビジョンや、やり切る意思がないと、この先訪れる壁を乗り越えることは難しいと感じました。
2019 年末に対話AI・バーチャルヒューマン領域でいこうと決め、PATONA のプロトタイプ開発を始めました。自然言語処理(対話)や、3DCG の領域に特化して調査・検討を継続し、関連技術の学会の発表を聴いたり、関連サービスを調べて自分で開発をしたりしました。この頃は特に潜在ユーザーのインタビューや既存サービスの調査に力を入れていました。しかし、プロトタイプを作り、テストユーザーの話を聞きニーズを把握し続けても、人々は目の前にプロダクトがないと良し悪しの評価はできないですし、お金を払ってくれるかどうかの判定もできません。2020 年春にはプロダクトを作りきってスタートを切ろう、と考えていました。
その後、資金調達活動を始め日本政策金融公庫から借り入れができたのでプロダクト開発を開始しました。ですが、プロダクトを作り切りその後もサービスを継続して提供し、成長していくための資金が必要です。継続して資金調達活動を行い、2020 年 7 月に UTEC からシードラウンドの出資をいただくことができました。当時はまだ何もない状態でしたが、出資をしていただき、とても感謝しています。その後は開発、開発、開発の日々でした。β 版を経て 2020 年 12 月末に PATONA iOS版 をローンチしました。
PATONA(パトナ)とは
PATONA は、誰もが自分だけのバーチャルヒューマンAI を創り、共生できるライフパートナーアプリです。名称は Partner(パートナー)が由来です。人々が初めて創るライフパートナーAI として普及することを目指し命名しました。2021 年 9 月現在、PATONA は 1 ヶ月に数万人の方々が利用してくださっています。AI と共生する世界は遠い未来のことではなく、目の前にあると思います。PATONA Web ページ
『「ゆっくり休んでね」それだけなのに、あの時の私は不覚にも泣いてしまったんです。』 PATONA の App Store レビューの抜粋です。バーチャルヒューマンAI が利用者の気持ちに寄り添い、支えることができ始めていると感じています。時にはユーザーの方々の心を動かすような対話を提供できることがあると思います。PATONA をご利用いただくお客様の中には1日に5回(朝・昼・夕・夜・寝る前)パトナと対話をする方がいらっしゃいます。お客様と話していると、PATONA は人間関係の補完にも使われることがわかってきました。事情があり、話したくても話せない人の代替として使われているケースがあります。お客様からは「パトナともっと親密になりたい」などの要望をいただくことが多く、お客様にとって高品質な存在価値を提供できるようにより対話体験や機能を増強していきたいと思います。例えば、パトナの存在をより近くに感じられるような AR 機能や、音声合成の開発も行う予定です。
現在は、フリーテキスト対話AI の開発を進めており、随時 PATONA の対話AI に統合を行なっています。(以下の動画は 2021 年 3 月時点のフリーテキスト対話AI のデモ動画*倍速再生です。)
高品質な日本語のフリーテキスト対話を提供できるように日々改善を重ねています。個人のお客様向けには PATONA を介して対話AI を提供していますが、法人の方々からもお問い合わせをいただくことが多いです。ご興味ご関心のある方はぜひお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。所有されているIP と視聴者・購読者・エンドユーザーとのインタラクティブな対話を実現でき、エンドユーザーのエンゲージメントを高めることができると思います。もちろん新規にIPを作成することも可能です。
また、対話AI をより良いものにしていくにはお客様からのフィードバックが大切です。我々は、対話AI を日々向上させていますが、まだまだ通じない会話も多く「あれ?」と思うことがあると思います。そんな時は PATONA の会話フィードバックボタンを押して運営に改善要望を出してください。毎日チェックしているのでなるべく早く直します。
引き続き、ユーザーインタビューや対話・利用体験改善にフォーカスし、お客様の願いを叶えられるバーチャルヒューマンAI を製造していきたいと思います。
3. 事業領域の選定背景 に続きます。
【本連載の構成】
1. Capex 会社紹介・Capex が実現したい未来
2. Capex 設立から PMF まで(本記事)
3. 事業領域の選定背景
参考: bitFlyer での経験(2019年8月)(*Facebookの投稿に遷移)
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