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白石島レポ 1 〜離島の日常に赴く〜
いわゆる「離島」に赴いたのは、かれこれ26年生きてきて初めての機会であったかもしれない。
岡山県は笠岡市白石島。
瀬戸内海に浮かぶ周囲約10キロの島であり、離島といっても笠岡陸地部で一番近い港である神島港から15分程度で着いてしまう程、そこまで遠くない場所にあるというのもまた興味深い。(もっとも便利な陸地部の笠岡港からは普通船で35分)
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私にとっては小型船への乗船だけでも物珍しさから一大イベントであり、26歳大の大人が大はしゃぎであるが、地元の人にとっては日常の足なんだなぁなどと思う。
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本土からの最終便で時刻は18時を回っている。船内には学校帰りと見える学生が2人ほど乗っていた。学生は夕焼けの景色になどまるで関心がないように、楽しそうに2人でおしゃべりをしている。こんな素晴らしい景色も、船を日常の足として毎日使っている彼女等にとっては日常の一コマなのだろう。そんな情景からもまた、離島に住む人の暮らしが垣間見えて楽しい。
港に到着し船から降りると、先ほどとは別の陸地に降り立ったという感覚が足から伝わってくる。(これは船や飛行機から降りるといつも感じる)
早速地元の方から「よぉ、お帰り。」と声をかけられた。といっても私にではない。そもそも今回私が白石島を訪れたのは、友人が白石島に2年ほど前から地域おこし協力隊として移住していて、ようやく会いに来ることが叶ったという経緯だ。友人にとっては島に帰ってきたので「お帰り」なのである。
島民は400人ほどらしく、多くの人がお互い顔見知りという地域コミュニティだ。東京のマンションでは、隣の部屋の人でさえ、お互いに顔を知らないような生活をしている私にとって、こうした島民どうしでの繋がりや気さくなコミュニケーションがとても温かく見えた。
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私が旅をする中での楽しみとしていることの一つに、いかにその土地の日常や当たり前を感じることができるかということがある。いわゆる観光地というのもそれはそれでありがたいものかもしれないが、どうにもなんだか「はい、これを見ておけば間違い無いでしょ!」という風にお膳立てされた感じがしてしまう。それよりも、ガイドブックに乗っていないような、地域の暮らしや地域の基盤、日々の生活がどのように成り立っているのか?朝はどんなものを食べ、夜はどんな場所で飲んでいるのか、そういったことに魅力を感じる。
その場所や土地に、自分なりにその土地なりの魅力を見出していく瞬間が、最も私をワクワクさせる。
そこまでその土地を味わい尽くしたいために、可能であれば1箇所になるべく長い時間滞在するようにしている。今回は3泊4日。しかも島民である友人のフルアテンドをいただいたおかげで、思う存分魅力を感じさせていただくことができた旅であった。
語り尽くせないほどの島の魅力を、少しずつ小分けで書いていきたいと思う。
〜続く〜