【第二十二場AA…イマワノクニ】
(s…第二十二場Aと第二十二場Bとの間に挿入)
詩人さんとキリット大統領は、いさんで進みました。道案内は黄色いカラスがしてくれますので心配ありません。幸いイマワノクニは水の豊富な国でしたし、食べ物は、山で採った木の実がありましたので、何とか飢えをしのげました。しかし、二人は、言葉に苦労しました。背が低く、平べったい顔をしたイマワノクニの人々の話す言葉が、さっぱりわかりません。向こうも、こちらの言葉がわかりませんので、
「オニダ! オニダ!」
と言って石を投げてきます。何を言っているのかわかりませんが、これでは、近づくこともできず、術を学ぶなんてとんでもありません。二人が困っていると、北東の方でピカッと光りました。
『きっと何かあるに違いない』
そう思った二人は、一目散にその方向へと歩きはじめました。さっそく、黄色いカラスが道案内しはじめます。
フヤマ県に入ると、山の上で光っているのが見えました。ここまで来ると疲れもふっとびます。二人はせっせと山を登りはじめました。
山の途中には、怪しげな男たちを何人か見かけました。二人があいさつしても、何も言いません。じろりとにらむだけです。
ようやく頂上にたどり着きますと、古い木の鳥居がありまして、そこをくぐると茅葺きの社がありました。そこにも怪しげな男がひとりしゃがんでいて、二人をじっとにらみます。二人があいさつしても、やはり返事はありません。その男は黙って右手を上げて二本指を立てました。すると、
「やめろ! おまえごときが術をかけてもムダじゃ!」
社の扉が開いて現れたのは、イマワノクニの王様に仕えていたモンゼン・ラミ太郎というおじいさんでした。キリット大統領のようなほりの深い顔をしています。おじいさんがそう言うと、怪しげな男は手を下ろしました。彼は、足止めの術をかけて、二人を動かなくしようとしていたのです。
「待ってましたぞ。思っていたより、ずいぶんお若いようですな」
おじいさんが、気安く声をかけてきたので、二人はほっとしました。怪しげな男たちは、おじいさんの元部下である弟子たちでした。
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