見出し画像

わがやのアマリリスでございます

アマリリスは、存在感のある美しい花です。元の持ち主であるHさんは、昨夏に老人養護施設へと入りました。

以前から知人や友人に、花を持って行ってくださいとおっしゃっていたので、花が大好きな妻は、他にもたくさんいただいています。

しかし、このアマリリス、昨年は咲きませんでした。

Hさんと離れ離れになって、さみしかったのでしょうか。

Hさんは年の離れた妻のお友達です。

少しおっちょこちょいのHさんは、公園で友達がバトミントンをしているのを見かけて、「やらせて」と言って加えてもらいました。

こっちのバドミントンは、歳をとっていてもバチバチです。

Hさんは、元々テニスをやっていたので自信があったようですが、バック中に転んで尾てい骨を骨折してしまいます。

そして、妻と入院先の病院で知り合いました。当時、妻は10年以上勤めていた図書館司書の仕事を外され、病院の事務の仕事をしていました。

当時は、まだご主人も存命中で、鬱で足を病んでいると聞いていましたが、妻が玄関で「こんにちは」と言うとうれしそうに這って出てきていたそうです。

そんなこんなで、10年近くが経ちました。

入所にはまだ少し早いと思われ反対していましたが、緑内障と物忘れで普段の生活に支障が出はじめていたのと、現在のキョロナ禍の状況を考えれば、入所はよいタイミングだった気がします。

ただし、貯金も亡夫の年金の入る通帳もお嫁さんが早々に管理するようになっていました。

何に使うかわからないという理由のためです。

50キロほど離れて暮らしているので、お嫁さんには何ら世話になっている様子もないのですが、結婚して幼子を二人残して、すぐに亡くなった息子のことをすまなく思っているのか、Hさんは、お嫁さんに頭があがりません。

お嫁さんと孫の二人は、お正月だけ訪ねてきていました。

前日の大晦日は、私のうちでそばを打ったり、食事をするのが恒例で、「明日は、嫁と孫が来るの」とHさんは、うれしそうに言っていました。

毎年、Hさんは、ごちそうやお年玉を用意して待っていました。

Hさんは寂しい一人暮らしよりも今の生活の方が幸せらしく、うれしそうに妻に電話してきます。

アマリリスがきれいに咲いていることを伝えると、とても喜んでいらっしゃいました。キョロナ禍でまだ一度しか会えていません。

これも、いただいた"ちりあやめ"です。

画像1

1日だけ咲く花で、夕方にはしぼみます。

サポートありがとうございます。ほかの方へのサポートに回させていただきます。さらに、あなたからいただいたお力で『ありがとう星人 りんごの種』『ありがとう星人 詩人の自信』『ありがとう星人 裸になれた王様』『ありがとう星人vs.ドクダミシイ』など、絵本出版につなげさせていただきます。