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第九話 一つ一つの悲しみを忘れちゃいけない。


2011年の5月3日~5日と5月20日~22日と
引き続き陸前高田市広田町に
現地入りをさせていただいた 。

その中で見てきた事。
感じてきた事。

それは決して、新聞やニュースだけでは分からないものだった。
そしてメディアも案の定取り上げなくなっている。
ますます、被災地の現状が分からなくなっていく。
今でも亡くなる方はいる。
今でも苦しんでいる方はいる。

じゃぁ分からないままでいいの?
知らないままでいいの?

8.「ありきたりの日常が壊された。」


これは高校の分校。
想像してみてほしい。
今まで普通に自分達が勉強していた教室が
突然こうなることを。

私たちが知ること。
私たちが忘れない事。

それだけで多くの方が救われる事実もある。

広田町にいる、ある75歳のおばあちゃんは、
こう語りかけてくれた。

「私は生きていて良いのか、地震が起こってから分からなかったのよ。
だけど、君たちみたいな若い子が来てくれて初めて、生きていて良かった。
と思えた。生きる希望がわいたよ。

ひとつだけお願いがある。
こんなおばあちゃんがいたことを忘れないでね。」

って。

被災地の方々が一番恐れているのは、
忘れられる事。
だから私は忘れない。

そして、この「忘れない」の意味。
それは、被災されて今も苦しんでいる方もそうだし、
この震災で亡くなられた方も、
忘れてはいけないのだと思う。
この一つ一つの悲しみを、 忘れてはいけない。

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