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日本の近代政治と政策起業家(中編)

先日東洋経済オンラインにて、以下の記事が掲載され、私の本も紹介していただきました^^
政策起業家が拡がってきた背景などもわかりやすくまとまっておりますのでよければご覧ください。

 さて、前回までに第2の局面である「富」の時代を見ました。そこでは経済成長のための効率化が重視され、「上位下達を基本とする縦型ネットワークや官民を問わない官僚体質、ピラミッド組織を形成」が進み、官僚主導主義が構築されました。
 一方で中間組織の加入率の低下やインターネット時代の到来、「経済が低成長となり、『利益の分配』から『負の利益の分配』に課題が変化した」ことから、従来の政治プロセスでは合意形成ができなくなったことを確認しました。

 このような中で、橋本内閣が1996年に「6大改革」を打ち出しました。これは、官僚主義の弊害が声高に叫ばれる中で、内閣機能を強化し、トップダウンの政策形成を目指したものです。また、当時の小泉純一郎首相が「聖域なき構造改革」をスローガンに改革を行い、官僚主導から、官邸主導へと進めていったのです。
また橋本内閣の時代に、「政策評価制度の導入」が行われました。「厳しい財政事情の下で、『成果重視の行政への転換』『国民への説明責任』『効率的行政の実現』を企図して導入されたもの」とされています。2002年から「行政機関が行う政策の評価に関する法律(政策評価法)」も施行されました。

 そして第三の局面は、「『知』がコアとなる情報社会の時代であり、今日の日本の経済社会はこの第三の局面」に移行していると言えます。
「情報共有が分断された縦割りのネットワークを超えて急速に進展し、経済社会の諸活動が相互連関性を強める中で、権限・財源・情報などの寡占的体質が大きく変化する時代」と捉えられます。
これにより、
「①縦割りの垣根を越え、細分化した専門領域の融合が求められる。
②官僚等特定層の寡占的位置付けが開放的位置付けになり、民間化、住民参加の充実がすすむ。
③国、都道府県、市町村の行政の関係性の見直しが迫られる。」

などがあるとされています。
第三の局面はインターネットの登場によって否が応でも移行しなければならなかったという背景もありつつ、第二の局面時の官僚主導の限界による1990年代の改革からの一流れで捉えられる流れでもあります。

これら①〜③において、なぜ政策起業家が必要なのか、その果たす役割が見えてくるのではないかと思うのです。

後編では、「知」の時代における政策評価法の登場による現在のEBPMの流れを整理し、まとめをしたいと思います。

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参考

小倉將信(2020)『EBPM[エビデンス(証拠・根拠)に基づく政策立案]とは何か―令和の新たな政策形成』中央公論事業出版

千正康裕(2021)『官邸は今日も間違える』新潮社

宮脇淳・若生幸也(2016)『地域を創る!「政策思考力」入門編』ぎょうせい

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これまでの政策起業家に関する記事はこちらから見ることができます。

また、政策起業家の行動原理など、海外の30年間の研究蓄積がまとまっている書籍の翻訳本の出版を行います。30年分の差を、この1冊で埋められるとは思っていませんが、少しでも日本で早く「政策起業」が拡がればという思いでいます。

また、2022年4月21日にABEMAニュースにて、書籍の紹介をしていただきました!12分にまとめっていて非常にわかりやすいのでよければぜひご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。
日本では「政策起業家」に関する研究が非常に遅れています。
研究を応援いただける場合には、
「サポート」していただけますと大変嬉しく思います。
サポート資金は全額、「博士後期課程」への進学資金にさせていただき、
更なる政策起業家研究に使わせていただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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