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政策起業とロビイングの違いについて(1)

先日PEPサミット2021という、年に一回の政策起業家のイベントが開催されました。

お話を聞いていて感じたことですが、日本の議論の中では、政策起業家とロビイストの違いがあまり明確になっていないと感じています。

今回からは複数回に渡り、この違いを明確にしていきたいと思います。

最近読んでいるこちらの本があります。

その中でこういう趣旨のことが書かれています。

資本主義が行きすぎてしまっているということは至る所で言われているわけですが、では、なぜそうなってしまったのか。経済理論的には経済成長と個人の自由を最大化させていくとされていたのに逆機能してしまっているのはなぜなのか?と。

この本では、市場が本来の機能を果たさなくなった理由を以下の3つと書いてあります。

①外部生が適切に価値づけされてない。
②多くの人は、本当の意味で機会の自由を手にするために必要なスキルを持っていない。
③企業は自社に有利な形でゲームのルールを書き換えられるようになっている。

もちろん今回フォーカスを置きたいのは、③なのですが、①と②についても簡単に触れさせてもらいます。

①については、つまり石油などの価格には、石油自体のコストは含まれているが、環境破壊のコストや再生可能な量を鑑みての値段設定にはなっていないということです。これは社会的共通資本の宇沢教授もおっしゃっていたことです。

②についても、想像つくかと思うのですが、親の年収で子供の大学がある程度傾向が決まってしまったり、貧富の差は拡大し続けていくというようなことです。

で、今回は③を掘り下げてみたいと思います。

先ほどの著書に掲載されている事例を紹介しますと、1997年にウォルトディズニー社がロビイングした「著作権延長法」というものがあります。これは企業の著作権を75年からさらに20年伸ばすというものです。
ウォルトディズニー社はこのロビー活動に200万ドル強、実に2億円近いお金を費やしました。その結果、ミッキーの著作権は伸びて、追加的なディズニーの収益は16億ドル(1600億円)と試算されました。

本では、以下のように書かれています。

健全なイメージを売りにし、アメリカ中の家庭に必須の娯楽施設とも言えるテーマパークを抱えるディズニーが、当の家庭にコストを押し付け、投資家を10億ドル以上豊かにする一方、それに匹敵する社会的なメリットは何ら生み出すことのない法的基盤を築いたのだ。

他にも化石燃料企業が気候変動に関連する法律に反対をして法律を通さないようなことを行なったりしています

このようなことから市場は機能しなくなっているとされています。

ではロビイングと政策起業の違いは何なのでしょうか?

上記の記事でも紹介しましたが、日本では政策起業家に関する発信などを行っている一般社団法人アジア・パシフィック・イニシアティブにおいては以下のように定義されています。

「社会課題等の解決手段となる特定政策を実現するために、情熱・時間・資金・人脈、そして革新的なアイデアと専門性といった自らの資源をそそぎ込み、多様な利害関心層の議論を主宰し、その力や利害を糾合することで、当該政策の実現に対し影響力を与える意思を持つ個人(または集団)」

つまり、ロビイングとの違いは「社会課題の解決手段となる特定政策」というのがポイントとなりそうです。つまり「公益なのかどうか」が重要なのです。

そこらへんの前提を整理しつつ、ロビイングの歴史や変遷、
そして現在言われているパブリックアフェアーズや草の根ロビイングなどとの違いについても次回以降、整理していければと思います。

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