見出し画像

PM自由研究 IR資料からプロダクトを研究してみる ~ グノシー編 ~

プロダクトマネージャー Advent Calendar 2020に出来心で応募してしまったのでプロダクトを研究してみます^^
今回はGunosyさんを研究してみたいと思います。
結構長文なので暇つぶしにどうぞ。

今期の業績

コロナの影響で広告ビジネスが低調らしい。前年同期比(QonQ)で56.9%の達成状況のようです。コロナで広告主の広告予算の縮小と、広告ガイドラインの刷新による広告主により広告の出稿が控えられていることが原因のようです。

画像1

戦略

この状況に対して以下のような成長戦略を立てているようです。
1. メディアとしての再成長による収益力の向上(既存領域)
2.新規事業による事業拡大(新規領域)

画像2

メディアとしての再成長による収益力の向上(既存領域)

メディア事業のビジネス観点のKPIツリーはこういう考えで検討されていると思います。(おそらく)

画像5

勝ち筋は
1. たくさんニュースを見てもらうことによる(滞在時間 | 滞在頻度向上)
2. ニュース以外の情報に触れてもらうことによる(滞在時間 | 滞在頻度向上)
3. 広告配信ロジック改善等(広告単価向上)
と考えられます。

1. たくさんニュースを見てもらう(滞在時間 | 滞在頻度向上)についてはまだまだ成長の余地はありそうです。首位のYahoo Japanと比較するとユーザー数で 1/5, 平均利用回数は1/3と共に大きなギャップがあるので、大きな成長余力があると思います。(出典:ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率にMonthly Totalレポートを導入~トータルデジタルにおける透明性のある人ベースの媒体評価を容易にする標準指標を提供)

画像4

ただし、既存のニュースメディアにはすでに強力なライバルが多数存在し、差別化が難しいため大きく成長することは難易度が高いです。
そこで、2のニュース以外のメディアの拡大する方向性として動画、音声メディアに力を入れているものと思います。

3 についても継続的に改善していると言及されている状況です。

新規事業による事業拡大

続いて、新規事業について確認します。
新規事業でGame事業(Game8)とクーポン事業(コマース事業)を推進しているようです。新規事業の中でクーポン事業が気になったのでそこを分析しようと思います。

クーポンの提供方法として次の2つのサービスを提供しています。
1. グノシーアプリ内のクーポンタブ
2. 「オトクル」アプリ

グノシー内のクーポンタブとオトクルアプリの違いは、商品/店舗の件数とポイントサービスです。クーポンタブの存在は知っていましたが、別で独自アプリを提供している理由がわからなかったので少し「リーンキャンバス」を使い考えてみました。(リーンキャンバスについてはこちらを参照)

画像5

赤字がグノシーサービス内と比較したオトクルの長所になります。
ここだけ見ると独自アプリを作る必要性が薄いように思います。(一般的に新規でアプリをインストールして利用してもらうハードルは高い)
ではなぜオトクルを提供しているのでしょうか?

なぜクーポン専用に独自アプリを作った?

それはメディア事業に代わる新たな収益基盤の構築と将来的やYahooや楽天のようにプラットフォームビジネスを構築するため新たに作るしかなかったのではないかと思います。

クーポンアプリはすでに強力な競合アプリが存在するするマーケットですが圧倒的に勝っているサービスがありません。参入障壁も比較的低いと思います。そこで勝ち抜くためには競合よりも多くアプリに訪問してもらうためのきっかけが必要になります。

クーポンアプリとして成長するためにはユーザーの訪問が欠かせません。ユーザーの訪問頻度を増やすためには下記の点が重要となります。
1. 購買時に想起される、第一位選択(第一位再生知名)となり「とりあえず訪問」を増やす(参考
2. 別機能フックで訪問する機会を増やす(ポイント等)

これらの条件を満たしクーポンサービスとして他社と差別化するためには、ニュースアプリ内の一機能ではなく独自サービスとしてさらなるサービスの充実化が必要と考えたのではないかと思います。(逆にGunosy上で進めるとGunosyのニュース面がカオス状態になり既存のニュースユーザーを既存しかねない)

ちなみに、今更ながらすでに成長しているサービス上で新たな成長エンジンを育てようとしていたのかもしてません。クーポンを単なるPVを上げるためのコンテンツと考えているのかと思っていましたが、新規サービスのテストマーケティングとしてグノシーアプリ上でクーポンを提供していたのだとすると良い成長シナリオだと思います。(すばらしい!)

クーポンメディア「オトクル」の成長ロードマップを妄想する

最後に恐らく新たな成長エンジンとして期待されている「オトクル」の成長シナリオを勝手にプロダクトマネジメント目線で想像します。

先程のリーンキャンバスにも記載しているように、現時点でのオトクルはそこまで明確な強みがありません。
先述の通りクーポンメディアとして勝つためには下記のいずれかが必要と考えます。

1. 購買時に想起される、第一位選択(第一位再生知名)となり「とりあえず訪問」を増やす(参考
2. 別機能フックで訪問する機会を増やす(ポイント等)

まずは、ユーザーの第一位選択となるために、サービスとしての魅力が必要となります。
そこで、対応店舗と取扱商品の増加を目的とした施策として、各店舗からのセルフサーブ型のクーポンを増やし、とりあえずオトクルを開けばほしいものがあるとユーザーが思う状況を作ろうとするのではないかと思います。
大手のチェーン店のクーポンはすでにどのサービスからも提供されていますし、値引率は各社の独自クーポンに勝てません。
そのため、ここで重要になるのは中小店舗も加えた商品の品揃えサービス認知の拡大。

商品の揃え拡大のため、各店舗が自由に提供可能となるためのバックエンドのCMSと商品点数が増えてもユーザーに適したコンテンツを提供できるだけのレコメンドエンジン、検索機能が必要となります。
後者のレコメンドエンジン、検索機能はすでにGunosyの強みであると思うので、前者の対応により商品を充実化させたあとにガンガンプロモーションを売って認知+継続利用者の獲得を狙っているのではないかと思います。例えば↓のようなCMですね。(余談ですが、Youtubeで「グノシー CM」と検索するとこの1年くらいはクーポン推ししかしていないのですね。ええんかグノシー)

2. 別機能フックで訪問する機会を増やす(ポイント等)については、株式会社Skyfall のSkyflagというサービスを利用しているようです。
(オトクルのサービスからの遷移先より確認、以下ドメインの保持者情報)

[ JPRS database provides information on network administration. Its use is    ]
[ restricted to network administration purposes. For further information,     ]
[ use 'whois -h whois.jprs.jp help'. To suppress Japanese output, add'/e'     ]
[ at the end of command, e.g. 'whois -h whois.jprs.jp xxx/e'.                 ]

Domain Information: [ドメイン情報]
[Domain Name]                   SKYFLAG.JP

[登録者名]                      株式会社Skyfall
[Registrant]                    Skyfall inc.

[Name Server]                   dns01.muumuu-domain.com
[Name Server]                   dns02.muumuu-domain.com
[Signing Key]                   

[登録年月日]                    2019/05/15
[有効期限]                      2021/05/31
[状態]                          Active
[最終更新]                      2020/06/01 01:05:09 (JST)

Contact Information: [公開連絡窓口]
[名前]                          [代理公開情報]GMOペパボ株式会社
[Name]                          GMO Pepabo, Inc.
[Email]                         admin@muumuu-domain.com
[Web Page]                      http://muumuu-domain.com/?mode=whois-policy
[郵便番号]                      810-0001
[住所]                          福岡県福岡市中央区天神2丁目7-21
                               Tenjin Prime 8F
[Postal Address]                Tenjin Prime 8F, 2-7-21, Tenjin
                               Chuo-ku, Fukuoka-City, Fukuoka
                               8100001,Japan
[電話番号]                      092-713-7999
[FAX番号]                       092-713-7944

なぜ独自でサービスを提供していないかなどはわからなかったのですが、まずは参入コストの低い他社サービスとの連携をすることで、スピーディーな導入を狙ったのかもしれません。

まとめ

今回せっかく機会を得たので新しいインプットを得るためにサービス研究をプロダクトマネジメントのフレームワークを使ってみることにしました。なかなかフレームワークを使う機会はないので今回はいい機会になったと思います^^

ただ心残りはフレームワークを使う場合に一番重要なユーザーのペルソナとユーザーニーズや課題を深堀りできなかった点です。この点は次にやるときはもう少しやり方を考えたいなと思います。

また、上場企業を研究対象にすると少なくとも3ヶ月に一度は決算説明会で事業の状況やサービスの成長戦略の一端を覗き見れるのは非常にありがたいと思いました^^
上場企業最高です!皆さんどんどん上場してください〜

参考

Gunosy2021年5月期 第一四半期決算説明会資料
 https://ssl4.eir-parts.net/doc/6047/tdnet/1890409/00.pdf
ニールセン、デジタルコンテンツ視聴率にMonthly Totalレポートを導入~トータルデジタルにおける透明性のある人ベースの媒体評価を容易にする標準指標を提供https://www.netratings.co.jp/news_release/2020/06/Newsrelease20200611.html
リーンキャンバス テンプレート(書き方と事例あり )https://notepm.jp/template/lean-canvas
これからは「一番最初に思い出してもらえるブランド」しか生き残れないhttps://note.com/ikedanoriyuki/n/n36cf5cb14fc3

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?