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【他社戦略】安さでもない、品質でもない、「あなただけ」という戦略!

水曜日なので今日のブログは【他社戦略】!

安いものが売れる。
品質の良いものが売れる。
これは当然に思える(もちろん伝わっていれば)。しかし、戦略としてはこれしかないのだろうか?他にはない?

今日はその「他」をやっている会社さんの紹介です。なんと我が福井県のセーレンさん!こんな取り組みもしていたのですね。

セーレンが自社の衣料ブランドでゴルフウエアの販売を始めた。注文に応じて1着から製造できる独自のシステム「ビスコテックス」の強みを生かし、流通が少ない色や柄も自由に組み合わせて選べるようにして需要の開拓を狙う。アパレルの余剰在庫の大量廃棄が問題になるなか、在庫を持たずに展開する戦略で消費者の共感を広げる。

同社の電子商取引(EC)サイトなどで販売するゴルフウエアは、31パターンの柄と14色のカラーを自由に組み合わせてデザインできるのが特徴だ。ブランド名の「Viscotecs make your brand(ビスコテックスメイクユアブランド)」には「好みの服を顧客がつくる」というコンセプトが織り込まれ、4Lという一般的には用意しにくいサイズも展開している。

同社のスポーツ・ファッション事業を統括する久嶋祐司事業部長は「ゴルフウエアは選べる色が少ないという不満を持つ顧客も多い」と指摘する。一般的なアパレル事業者がつくるゴルフウエアは在庫や製造ラインを考慮して商品数をしぼるため、需要が底堅い、似通った色の服が多くなりやすいという。緑やピンクといった流通が少ない色のウエアを試してみたいという2着目需要にも訴求しやすいと見込む。

同社の多品種を実現しているのが、ITを活用して必要な分だけの製造を実現するデジタルプロダクションシステム「ビスコテックス」だ。データに基づいたデザインを設定に応じて生地に染色する。発注に合わせて1着ずつ作れるため在庫を抱える必要もない。

日経MJ 2024/1/24 P5

1着ずつ作ってくれる「私だけのゴルフウェア」!なるほど。ゴルフウェアって確かにあまり種類がなさそうに思える。

それもそのはず。一般的な服と違ってゴルフウェアを購入する人は人数が少ない。少ない人数のために沢山のラインナップを用意することはできないよね。

でもそこにシステムを引っ提げて「1着から作る」システムというのは嬉しい人も多いのではないだろうか?男性よりも女性かな?

安さでもない、品質一辺倒でもない、「あなたのため」。
これも強みの一つの方向性なんですよね!

【今回の注目ポイント】
「あなたのため」で強みを作っている点


<注目した背景>
※何度も読んだって人は読み飛ばしてね
今回これに注目した理由の理論は佐藤義典先生の、「戦略BASiCS」から。以下、「戦略BASiCS」を簡単に説明する。

戦略BASiCSの解説

この「戦略BASiCS」は、佐藤義典先生の中核的な理論。この理論、見た目は簡単でも、非常に奥が深い。ここで書くのは、あくまでもさわりのところだけ。詳しくは是非佐藤義典先生の本を読んでみてね。

「戦略BASiCS」とは、経営戦略・マーケティング理論は世の中に数多あるが、まとめると5つのパターンに分類され、それを再構築した経営戦略理論。その5つを一貫性具体性を持って考えることで強い経営戦略ができるという実践理論。その5つは以下の通り

attlefield (戦場・競合)
sset (独自資源)
trength (強み)
i
ustomer (顧客)
Sellingmessage (メッセージ)

頭文字をとって「BASiCS(ベーシックス)」。それぞれを簡単に説明すると、
 :自社が戦っている戦場・戦っている相手(競合)を明確にし
 :競合が真似できない強みを支える独自な資源を構築し
S :資源を強み(買ってもらえる理由)にし、
 :自社の強みを選んでくれるお客様に対し
Sm :メッセージを伝えて選んでもらおう
とこのような考え方で構築される理論。

「お客様(C)が、競合(B)でなく、自社を選んでもらう理由を強み(S)とし、それを独自資源(A)で支え、それを伝えよう(Sm)」という言ってみれば当たり前のこと。だけど、これを自社で考えると難しい。この理論、すべてにおいて「一貫性」を持つことが重要。

例えば、とても高品質なワンピースを作れる縫製技術(A)があるが、それを「ウチの強み(S)は『安さ』です!」といって売り出していたら?『安さ』といっても、高品質なもの。ユニクロと比べて安いか?しまむらと比べては?こう考えると、この会社は、「独自資源(A)」と「強み(S)」の一貫性がとれていないよね。

一貫性を5つ全てでとるというのは、非常に難しい。この一貫性だけど、以下の「3つの差別化軸」で考えると一貫性を取りやすくなる

※3つの差別化軸
佐藤先生の理論では、上記強み(S)のパターンは大別して3つしかない
商品軸:(競合より)高品質・新技術
密着軸:(競合より)個別ニーズに対応
手軽軸:(競合より)早い、安い、便利
強みはこの3つのパターンしかないので、これを考えることで一貫性がとりやすくなる。

例えば、先ほどの縫製技術の話だったら、他社よりも「破れにくい」という強み(S)を生み出せる技術力(A)があるなら、安くするのではなく、高くても「破れにくい服を欲しがるお客様」(C)を探す。といった感じ(具体性はないが…)。

これは①商品軸の例。このように、自社が戦える(戦いたい)軸は何かを考え、それに合わせて一貫性を取った戦略を作っていくことで、BASiCSの一貫性がとれるようになる。

簡単ではないが、できればとても強い経営戦略となる。そうしたら自信を持って、経営戦略を遂行していくだけ!是非この「戦略BASiCS」考えてみよう!!


安い
最高品質
これらが強み(選ばれる理由)になりやすいのはなんとなく分かるだろう。

しかし、佐藤義典先生の戦略BASiCSの強みのもう一つの方向性として
密着軸
というのもあると言われている。

お客様に合わせる
という強みの方向性だ。他社が「安い!」「最高品質!」と言っているところに「あなただけのもの」で差別化できるのだ。

最高品質のものを作っているというところは「これが最高!」という形で「あなたが合わせてね」という形になるだろう。ブランドバックとかそうだよね。

安さがウリの所は、同じ商品を大量生産して、ラインナップは少ないかもしれないが「安いです!」と伝えるだろう。

どちらも「ワタシだけのもの」というのは難しい。
だからこそ「あなただけのものですよ」と提供することが差別化になる、強みになる。

セーレンさんは独自のシステムを使ってそうやって強みを作っている。
それに最近問題になっている洋服の廃棄問題も減らせるしね。

安さではないブランド最高品質でもない、「あなただけ」。この強みも自社でできないか考えてみたいよね!

最後まで読んでくれてありがとう!!
vol.2096


意思決定インストラクター
FSAコンサルティング株式会社 代表取締役 谷川俊太郎

まずは経理情報を経営の羅針盤情報に
そして経営をシンプルに考えられる理論
・佐藤義典先生の戦略BASiCS
・MG(マネジメントゲーム)
・TOC
この3つのシンプル経営理論を駆使し企業改革の後押しを行う「意思決定インストラクター」として福井で企業をお手伝い中!

ご質問等ある方はコチラまで!



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