僕はコンシーラーを使っています
「さらしゅんさんって、コンシーラー使ってるんですか?」
「。。。うん、そうだよ」
「へぇ〜」
ここだけ見ると、なんの変哲も無い会話に思うかもしれないけれど、この会話の裏には自分なりの長年の苦悩が隠されていました。
きっかけ
大学3年生の3月ごろ、テレビでこんなフレーズを目にしました。
(参考:https://www.wantedly.com/companies/gmail17/post_articles/152653)
「メイク男子」
最初は「そんな人もいるんだー自分の住む世界とは違うなぁ」くらいにしか思っていませんでした。
けれども自分にはこれまで、そして今でも悩んでいることがあったため、そのフレーズが少し胸の奥に引っかかります。
その悩みとは、ニキビ、肌荒れです。
自分の自堕落な生活が原因でもありますが、遺伝的な理由も強く、中学生の頃から今までずっと悩んできました。年齢を重ねて少しずつ軽くなってきたものの、それと反比例するように人の目を強く気にするようになって。
中学生の頃、ある女の子に「さらしゅんっていつも顔真っ赤だよね!」と無邪気に言われたことがある。
「赤面症なんだよね!すぐ恥ずかしくなっちゃって」と嘘をつく。
日焼けすればその赤さでごまかせると思い、日焼け止めを塗らずに部活の屋外での練習に打ち込んだりもした。
(今もですが)大学生の頃、これまた可愛らしい女の子に「さらしゅんの肌ってどうにかならないの?」と笑いながら言われたことがある。
「遺伝で肌荒れしやすくて。。。ごめんねみっともなくて!」と笑いながら話す。内心穴があったら入りたい状態。そんな公開処刑にしなくて良くない?
ケアは自分なりにしていたものの、どうしても年中肌荒れ持ちの顔。(ニキビだけでは無いが)それゆえ自分の顔にはずっと自信がなく、写真もできる限り撮って欲しくありませんでした。人前に立つのもその分少し勇気が必要だった。自分を知ってる人は余計に「そうなの?」と思うかもしれないが。
そしてそんな自分だからこそ、男友達の綺麗な肌に憧れたし、なんなら女性の綺麗な肌にも憧れました。今振り返ると、自分の容姿に自信がなかったから、自分に自信を持って堂々とステージで輝く女性に憧れを持つようになったのかもしれない。そこから自分の女性に対する尊敬の心が生まれたのかも。
(椎名林檎が好きになったのは、この辺りもきっかけであると思う。また、幼少期恥ずかしがり屋ですぐリンゴのように頬を真っ赤にしていたという理由で林檎という名前をつけた、という点も非常に共感できた。)
話は大学3年生の3月に戻ります。
そんな自分が「メイク男子」という言葉を知ることになる。最初はそんな人もいるのか程度にしか思わなかったけれど、ちょっと考えてみると、
「それって、自分も公にメイクができるのではないか。。。?」
と思いました。
とは言っても、あくまで自分はこれまで坊主でスポーツしかやってこなかった日本男児。メイクの知識などなく、興味があってもどうしていいかわかりませんでした。
しかし、このコンプレックスの塊のような顔の、肌荒れだけでもなんとかできれば、もう少しだけ自分に自信を持てるかもしれない。
そして、大学3年生の当時人前に立つことが増え、余計に自分の顔を気にして話さなければならず、余計なところでメンタルにダメージを食らいつつありました。水滴が岩に滴り落ちてだんだん窪んでいくように、自分の心も凹んでいく感覚。
このままではまずい、これをきっかけに何か変えられるかもしれない。
そう思い、とりあえず「肌荒れ 隠すには」と検索。
するとメイク道具の一つに「コンシーラー」というものがあり、それを使うとピンポイントで肌の気になる部分を隠せるというのです。
そんな画期的なものがあるのか、その時はそのくらいの衝撃を受けました。何せメイクのメの字も知らない男子なのです。
そして、その心の盛り上がりのままドラッグストアに行き、コンシーラーとやらを探す。しかしどこにそれが陳列されているかが全くわからなかったので、勇気を出して「すみません...コンシーラーってどこにありますか」とおばちゃん店員に声をかける。
「こちらですよ」とコンシーラーの置いてある棚に誘導してもらう。その棚には口紅やファンデーションとやらが並んでおり、自分が初めて対峙する商品棚であった。
ちょこんと並んでいた2種類のコンシーラー。よくわからないけどライトブラウンをチョイスしレジへ。
そして無事、初めてのコンシーラーの購入が完了したのです。
(参考:https://toyokeizai.net/articles/-/270080)
使ってみて
このタイトルだとレビュー記事みたいになっていますが、「このコンシーラーが良い!」という話はしません、自分じゃあまり違いはわからないですし笑
初めて自分の顔面にコンシーラーを塗った時のことは今でも覚えています。
もちろん完全には消えないものの、自分が嫌という程見てきたニキビや肌荒れがよく見ないとわからないくらいにまで薄まっているのです。
「すごい...これなら自信持って人前に立てるかもしれない」
感動とはこういうことを言うのか、そんな気持ちでした。
その状態のまま外出、友達と会う。
別に特に何も言われるわけでもないのですが、自分の心の中では、初めて自分の顔面のことを気にせず話に集中できた気がしました。いつもどこか違うことを気にしてしまい、うまく話ができていなかった気もします。
もちろん、メイクにおける初心者マークもつけられないような、仮免も取得できていないような自分ですので、「さらしゅん顔白くない?なんか塗ってる?」みたいなことを言われる時もしばしば。言わなくても当時みんなそう思っていたかもしれません。恥ずかしい。
でもそれ以上に、自分がどう思えるかが大切でした。
「今の自分の顔なら、人前に立てる。人と話せる。」
そう思えることが、自分にとってのコンシーラーの価値でした。
今でもまだ肌荒れには悩んでおり、もう少しお財布に余裕ができたら肌のケアにも投資をしたいなとも思っていますが、しばらくはこのスティック一本に助けてもらおうと思います。
普段メイクをする人に対する尊敬と言葉の重さ
自分がコンシーラーを使うようになって気づいたこと、
それは「世の中の普段メイクをしている人はすごい」ということ。
自分はコンシーラー一本しか使っていないのでメイクとも言えないのですが、それでも朝の5分ほどをそいつに確保される。たった5分、されど5分なのだ。そしてなんかピンと来なければなかなか鏡の前から離れられない。髪のセットも同じかもしれないけれど、メイクは人によってはもっと時間がかかると聞いたことがある。彼ら彼女らは、人と会う日は毎度その努力を重ねてきているのである。すごい、尊敬の気持ちしかない。
ただその一方、メイクをすることがメイクをしている人にとって非常に重要なことであることも知りました。メイク一つで気持ちの持ちようが一変する。コンシーラー一本で何が変わるかと思われるかもしれないけれど、自分はこの一本に救われました。人と話す分には最低限自信を持つことができるようになった。
おそらく世の中には自分と同じような悩みを抱えている男性も多いのではないでしょうか。そんな人には、コンシーラーを使うことをお勧めしたい。手間と少しのお金はかかるものの、それで救われる場面は数知れないと思います。世の中、少しずつ男性のメイクにも寛容になってきていると思うので、ちょっとだけ勇気を出して自分をその悩みから解放してあげてください。その少しの自信が、あなたの挑戦の背中を押してくれるはずです。
そして最後の締めくくりとして伝えたいのは、肌荒れがひどい友達や先輩後輩がいても、それについて言及しないであげてほしいです。自分も専門家ではないので確かではないですが、言われれば言われるほど気にしてしまい、気にすれば気にするほど気が滅入り余計に症状がひどくなる。症状はもちろんだが、何よりそれで自信をなくしてしまうことが大問題だと思います。あなたにとっては些細な一言でも、言われた当の本人にとっては、何年も抜けずに苦しまされる矢のような存在感を放っているかも知れない。