【最終回】半生を自己分析も兼ねて(大学生AGESTOCK編)
「久しぶり〜。いつぶりだろ会うの。」
「二年ぶりとかじゃない?同窓会で会ったきりよね。」
「でもなんかもっと久しぶり感あるね。飲み物何頼む?」
「ビールで。お前何好きだっけ?」
「ビールよりはハイボールかなぁ。ハイボール一つ。」
「最近何してるの?就活?」
「いや、就活してなくて。次の夏から休学してアメリカに留学行ってくる。一年くらいかなぁ。」
「まじか、お前すごいな。俺なんかまだ大学生になって海外一回も行けてないぞ。」
「いやお前はいいだろ、なんか色々聞いたぞ。会社始めたんだって?それこそすごいな。」
「いや、立てるのは誰でもできるからこれからよ。結果出さなきゃ。」
「会社立てる前は何やってたんだっけ?去年までもなんか色々やってたよね。」
「あー、大学生向けのイベントを主催で開催してた。去年はその団体の代表やってた。」
「どんなイベントなの?」
「簡単にいうと、大学生でもこれだけすごいことができるんだぞ〜っていうのを見てもらうために、大学生のダンサーとかバンドにステージを用意して、大学生パフォーマーの魅力を多くの人に見てもらおう、っていうイベント。そんで、大学生パフォーマーに花を添えるっていう意味で、有名なアーティストとか芸能人とかにも出てもらったりして。」
「へぇ。すごいな。この前とかもあれよね?欅坂?呼んでたよね。」
「あれね、ひらがなけやきね笑。もう名前変わっちゃったけど。」
(引用:モデルプレス)
「なんでさらしゅんはAGESTOCKに入ったの?」
「大学一年生の春、やたら意識高かったのよ俺笑。今でもそんな変わらんと思うけど。
その頃、『なんでもいいから企画ができる、学べるところに入りたい』って思ってて。商品開発でもなんでもよかったんだけど。その基準で明治大学の団体とかサークルをまず片っ端から見て。そしたら自分が納得できるものがなかったのね。雰囲気もザ・大学生みたいなところばかりで笑。んで、大学の中に求めるものがないってわかったから大学の外に出てまた探し始めて。そうして1ヶ月くらい探して見つかったのがAGESTOCKだった。
最初、説明会に参加しないといけなくて、一人で行ってみたのよ。そしたら、めちゃくちゃかっこいい映像と、当時の自分にとっては考えられないくらい規模感の活動内容と、ひたすらにかっこよく見えた先輩たちが待っていて。『今年は日本武道館で音楽フェスやります!』なんて言われちゃったらさ、もうイチコロよ笑。愛知県では感じることのなかったワクワク感をそこで感じて、自分も東京で大きいことしたいと思ったのが入団の理由だったかな。」
「そうなんだ。さらしゅん高校生の時からエンタメ好きだったもんね。」
「そうそう。過去に自分の好きなアーティストとかも呼んでた、ってのも入団理由の一つかもしれん。」
「さっき、昨年、三年生の時は代表をやってた、って言ってたけど、一、二年生の時は何してたの?」
「イベントのステージの内容を企画する部署で活動してた!どんなパフォーマーに出てもらうか決めて、どんな演出、構成で何を表現するのかを考える、みたいな。イベント当日はステージの上で機材とかを運んだり、ステージの進行を指示したりとか、色々やったなぁ。」
「どんなステージを企画したの?」
「俺がやったのは、ジャズバンドのステージ企画。『音楽を魅せる』っていうことをテーマに、ソロパートとか、セッションとかにこだわった構成を企画した覚えがあるなぁ。
あと、学園祭でやるトークショーの企画とかもしたよ。トークショーはステージの企画とまた違くて、本当に面白いかどうか、最初から最後まで繋がっているかどうか、みたいなところが考えてみて難しかったな〜」
「イベント企画の魅力って何?」
「俺がイベントを本当に好きになったのは、ステージ袖で自分の企画したステージを見た時。すごいのよ。自分の頭の中にあったイメージが、目の前で実現してる。照明からお立ち台一つにまでこだわった企画が本当に実現している。それを見た瞬間、涙が止まらなかったし、イベント企画っていいな、って思った。
あと、イベント全体の魅力としては、一人じゃできないこともみんなでやればできる、っていうことが肌で感じることができるし、逆に自分がいなければこのイベントは回らないんだ、ということも感じられるから責任感を覚えることはできるかも。運営スタッフの一行動で、イベント全体がおじゃんになる可能性も十分にあるからね。」
「話聞いてて、自分もスタッフやりたくなった笑。トランシーバーつけてみたい!」
「あれね、かっこいいよね笑。トランシーバーつけるのは俺も憧れだったわ。」
「そんで、なんで代表になろうと思ったの?」
「うーん、振り返るとすごい恥ずかしいんだよね笑。多分当時は綺麗な言葉で飾っていたけれども、今思えばただ『トップに立って認められたかったから』だと思う。居場所が欲しかったのよ。今起業して、一応肩書きは『社長』だけど、その肩書きに守られたいがためになった、というのも理由の一つだと思うし。もちろん、それを成立させるためには並々ならぬ努力が必要だけれども。
あとは、もともと会社とか、組織、チームづくりに興味があって、将来は世界に誇れるチーム(会社)をつくりたい、っていう想いがあって。それを考えると、今回の『AGESTOCKの代表』っていうのは、選挙で当選しさえすれば300~500人くらいのメンバーのトップに即なることができて、かつ家庭や自分の生活を気にせずトップとして無茶できる、マネジメントを学べる、という意味でめちゃくちゃコスパがいいなと笑。なかなか何百人もの社員のトップになる機会なんてないし、なろうと思ってもなれない。だったらやらないわけないな、と。」
「ぶっ飛んでるなぁ笑。でも確かに貴重な機会かもね。」
「じゃあ、代表をやってみてどうだった?思った通りにできた?」
「うーん、半々、っていうのが答えかも。
自分の理想のリーダーにはなれた気がするけど、結果は全然残せなかった。」
「そうなの?どんなリーダーを目指していたの?」
「代表になると決めて、最初に志したのは『どんなリーダーになるか』。自分が目指したリーダー像は、みんなが想像する圧倒的なリーダーではなくて、誰よりもメンバーの身近にいて、かつメンバーが困った時には頼りになれるような、縁の下の力持ち的なリーダー。あくまで代表っていうのは肩書きだから、俺はパフォーマーだけじゃなく団体のメンバーみんなも輝けるようなステージ(団体)をつくりたかった。
ただ、もちろん綺麗事だし、メリハリはすごい重要で。お前は覚えてると思うけど、高校の時キレキャラだった俺は、あれから人を叱るっていうのが怖くなっちゃって笑。でもそういうのが必要な場面はたくさんあったから、それと向き合うのが個人的には悩んだかも。『締めるところは締める』っていうのが高校卒業したらできなくなってしまって。一年かけてやっと思い出し始めたというか。」
「懐かしいなそのエピソード笑。当時はみんなさらしゅんが何か言うとピリッとしたもんね。」
「今ではその要素が自分には足りていないなと思っちゃうけどね笑。
でも、さっき言った理想のリーダー像っていうのは、引退してから後輩とか同期とかから話を聞いていると、多少は形になっていたのかななんて思ったりもして。その点に関してだけは、自分を褒めてあげたい。よくこだわり抜いたね、って。
あとは、自分がイベントの部署出身の代表だったから、『イベントのことしか考えていないんだろ?』って言われるのがすごい嫌だった。だから、何もわからなかったけど他の部署の活動にできる限り寄り添うことを意識したかも。AGESTOCKってイベントだけじゃなくて、フリーペーパー作ってたり、広報活動専門の部署があったり、営業してたり、団体運営もしてたりするのよ。だから、フリーペーパーのこともできる限り調べたし、世の中の広報活動についても勉強したり、営業で誰よりも成果を出さなきゃとも思っていたし、飲み会や合宿もみんなが楽しめるように試行錯誤してた。」
「そっか。後輩がそう言ってくれるのは嬉しいね。活動もいろんなことしてるんだねぇ楽しそう。俺は飲み会だけ参加するわ笑。」
「全然それもウェルカムよ笑」
「じゃあ、残りの半分の『結果』についてはどうだったの?」
「これがてんでダメで。1年間っていう短い期間ではあったけど、自分の実力が顕著に出たなと。当初はもっとやりたいことがあった。イベントをもっと増やすとか、離団率を極限まで下げるとか、本格的な広告代理店業を始めるとか。でかいことを言うのは得意だし、それしか自分はできないと思ってるけど、もっと形にできたかな、って。
俺って、すごい怠惰な人間で、だからこそ何も考えずやるべきだと思ったことをあえて口に出して、誰かに聞いてもらって、『よし、やるぞ』と奮い立たせているのだけれど、当時も、代表だし、団体的にももっと結果にこだわらなきゃと思ってたからひたすら『結果にこだわる。結果が全て。』って口癖のように言ってたのよ。メンバーからは嫌がられていたけど笑。
だからこそ、もっと結果で後輩たち、同期を奮い立たせたかったし、ついていきたくなるような代表でありたかった。そこが弱かった。」
「ソフトバンクとか日向坂46とかじゃ満足できなかったの?」
「うん。もっと、『この代表はすごい、言ったこと全部実現させやがる』みたいなくらいまで結果を出したかった。それは自分の巻き込み力とかが足りなかったんだろうな。もっと、面白いこと、ワクワクすることができたはず。」
「厳しいなぁ。他に心残りなことはある?」
「心残りは数え切れないほどあるけど、なんだろ、もっと後輩と同期に残せるものがあったらよかったなとは思う。
後輩には、『感じたワクワクから目を背けない』ということ、要はやりたいことが一つでも頭の中にあるのなら、実現できるように頑張る姿勢を持つとより活動が楽しくなる、ということを伝え切れなかった気がする。代表として、一個人として、その姿勢はこだわったつもりだけど、結果が伴わなかったからあまり伝えられなかった。もっとみんなをワクワクさせたかった。
同期には、もっと頼られるような代表でありたかったのと、純粋にポジティブな思い出だけ抱えて引退して欲しかった。人生としては、酸いも甘いも経験してた方がその人のためにはなると思うけど、俺の同期は辛いことが多すぎた。最後の一年くらい、『もう何も言うことがないくらい楽しかった!』ってみんなに思って欲しかった。そう思ってくれていたら何よりだけど。。。」
「相変わらず真面目やなぁ。でも、代表をやってよかったこともあるでしょ?」
「たくさんある。強いて挙げるなら三つかな!
一つは、決断力がついたこと。ここで言う決断力っていうのは『選択肢がいくつかあった時に、すぐどれかを選んで、選んだものを正解にできるように努力できる力』のこと。決断って、正しい選択をするのではなくて、選んだ選択を正解にすることだと思っていて。まだまだ自分の選んだ選択を正解にする力は弱いかもしれないけど、その考え方と、正解にしよう!って努力ができるようになったのは一つ成長だったと思う。最近は悩むことが極端に減った気がする。行動する、ということにおいてハードルが下がった。
二つ目は、トップが見る景色を見ることができたこと。キングダムを読んでいる人はわかるんだけど、将軍には将軍の見る景色があって。それはそこに立たなければ見れないもの。そしてそこに立てる人はごくわずか。そんな景色をみんなに見せてもらった。あの景色を見ることができたのは、今後の自分の糧に絶対になる。
そして三つ目は、自分のことがよくわかったということ。何ができて、何ができないのか。何が得意で、何が不得意なのか。代表は嫌でも自分と向き合わないといけないし、自分のできないことを誰かにやってもらわないといけない。自分が得意だと思っていたことが案外違っていたり、逆に苦手だと思っていたことが実は得意なことの一つであった、そんな発見もたくさんあった。
あとはありきたりだけど、本当にかけがえのない仲間ができたことも付け加えたい。四つになっちゃった笑。」
「すごい貴重な経験だったね。経験したくても全員ができるわけじゃないよ。その経験をしたぶん、これからも頑張らなきゃね。」
「本当にそう。AGESTOCKがゴールじゃなくて、自分のスタート地点として頑張らないといけない。『AGESTOCK出身ですごい奴が出てきた』って言われるようになるのが、一番の恩返しだと思うから。」
「そうだね。じゃあ、これからはどうするの?なんか考えている?」
「もちろん直近の1~3年は自分の会社に専念する。この会社のサービスでも学生を応援できたらとは思っているんだけど。
そんで、その後はAGESTOCKで感じた喜びと後悔を胸に、もう一度チームづくりに挑戦したい。要は会社づくりだね。日本を、世界を代表するビジョナリーカンパニーを残したい。」
「熱いね。じゃあ俺はお前の通訳として活躍できるようにアメリカで修行してくるわ。」
「俺も英語勉強しなきゃ。。。お前の留学、マジで応援してる!」
「これからも楽しみだね!またでっかくなって二人で会おう!」
(自分について以外の話、登場人物はフィクションです笑。でも、実在する親友をイメージして書いてみました。その親友も休学して留学に行くそう。彼の成長を祈って、今回は締めたいと思います。よし、頑張ろう。)